内分泌の病気

犬のクッシング症候群に良い食事。治る病気?予後や寿命はどうなる?

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このページではクッシング症候群の原因、症状、治療、予防法、食事対策について解説しています。

 

クッシング症候群は別名「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれるホルモンの病気です。

一般的にはメスの高齢犬(8歳以上)がかかりやすいと言われています。

 

副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌されることが原因で高血糖となり、様々な症状を引き起こします。

 

 

完治は難しい病気ですが、症状によっては適切な治療と食事対策を行うことで、その犬の寿命を全うできるケースも少なくありません。

 

あなたの大切な愛犬が元気で長生きするためには、クッシング症候群のメカニズムや治療法について理解を深めることが大切です。

 

まずはクッシング症候群とはどんな病気なのかを見ていきましょう。

 

● すぐに見たい項目があれば下の目次[表示]から選んでください。

 




目次

犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは?


クッシング症候群は副腎皮質で作られるホルモンのうちの、「コルチゾール」が過剰になる病気です。

コルチゾールは炎症を抑える働きや炭水化物の代謝、ストレスを軽減させるなどの働きのあるホルモンです。

 

コルチゾールは血糖を増加させる作用があるため、高血糖状態になって「糖尿病」を併発するケースが多いです。

 

副腎皮質の働き

副腎皮質から分泌されるホルモンと作用
ホルモン 作用
電解質コルチコイド 副腎皮質の球状帯で分泌されるステロイドホルモン。

カリウムの排泄やナトリウムの保持といった、血中の塩分濃度、血圧、血液量の調節を行う機能がある。

性ホルモン 性器の分化、性的な発達に関係
糖質コルチコイド 副腎皮質の束状帯で分泌されるステロイドホルモンで、コルチゾールが代表格。

グリコーゲン・血糖の増加を促す、たんぱく質の分解、脂肪分解、水分排出の促進、免疫抑制、炎症反応の阻止、胃酸分泌の刺激など作用は多岐に渡る。

副腎は腎臓の隣に左右1対ある小さな臓器で、数種類のホルモンを分泌しています。

その中の1つであるコルチゾールは、炎症を抑える働きや炭水化物の代謝、ストレスを軽減させるなどの働きがあり、生きていくために重要なホルモンと言っても過言ではありません。

 

副腎皮質が働く仕組み


副腎は、脳の『下垂体』という部分から出される指令によって、コルチゾールを出す量を調節しています。

その指令は下垂体から『副腎皮質刺激ホルモン:ACTH』が分泌されることで行われます。

 

体にコルチゾールが必要な時は、下垂体から「コルチゾールをどんどん作れ!」という指令が出ます。

つまり、下垂体から『副腎皮質刺激ホルモン:ACTH』がたくさん分泌されます。

 

その指令を受けた副腎皮質が必要な量のコルチゾールを作り出す、という仕組みになっています。

 

クッシング症候群では、コルチゾールの分泌に関わる「下垂体」と「副腎」のどちらかが原因で、コルチゾールが過剰に作られてしまい、全身にさまざまな症状が出ます。

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クッシング症候群になりやすい犬種は?


クッシング症候群は、高齢犬に多く、オスよりもメスがかかりやすいと言われています。

さまざまな犬種で発症しますが、ダックスフンド、プードル、ビーグル、ポメラニアン、ボストン・テリアなどに多いです。

 

犬のクッシング症候群の原因

クッシング症候群を起こす3つの原因

① 副腎に指令を出す「下垂体」の異常(下垂体腫瘍など)

②「副腎」そのものに異常がある(主に副腎腫瘍)

③ ステロイド剤の長期投与による副作用


クッシング症候群になる原因は大きく分けて3つあります。

下垂体腫瘍や副腎腫瘍は自然発生的な要因ですので、防ぐことは難しいです。

 

しかし「③のステロイド剤の長期投与」によるクッシング症候群は、獣医と飼い主が注意していればある程度予防できるものです。

 

副腎に指令を出す「下垂体」の異常(下垂体腫瘍など)

コルチゾールは脳の下垂体から分泌される『副腎皮質刺激ホルモン:ACTH』でその量が調節されています。

下垂体に腫瘍ができると、「もっとコルチゾールを作れ!」という指令が誤って出すぎてしまいます。

その結果、副腎皮質からのコルチゾールが過剰に出すぎてしまいます。

 

「副腎」そのものに異常がある(主に副腎腫瘍)

副腎に腫瘍ができると、指令がないのに勝手にコルチゾールを必要以上に作るようになります。

副腎性副腎皮質機能亢進症と呼ばれることもあります。

 

ステロイド剤の長期投与による副作用(医原性副腎皮質機能亢進症)

糖質コルチコイドにはさまざまな作用がありますが、抗炎症作用や免疫抑制作用もその代表的なものです。

ですので炎症やアレルギーなどを治療するため、糖質コルチコイドを配合したステロイド剤を長期的に投与することがありますが、それが原因でクッシング症候群を発症することがあります。

これによって起こる副作用を「医原性副腎皮質機能亢進症」と言います。

 

実は、このステロイド剤の過剰投与による医原性のクッシング症候群は少なくないのです。

 

病院を変えた時にはステロイド剤の量に注意が必要!

ステロイド剤が過剰投与される原因としてよくあるのが、治療の途中で病院を何度も変えてしまうケースです。

 

治療を始めても、犬が痛がったりかゆがったりするのがすぐに治まらないと、

「薬が効かない」

「もっとよく効く薬をください」

と言う飼い主さんは多いのです。

 

中には「もっと腕のいい先生に診てもらいたい」と、別の病院に移ってしまう人もいます。

 

そして次の病院で、前の病院の治療について説明せずに「うちの子が酷くかゆがっていて…」と診察を受けます。

その先生はこれまでの経緯を知らないので、もう一度ステロイド剤を投与します。

すぐには改善しないので、また新しい病院に変えてしまいます…

 

これを繰り返すことで、ステロイドの投与が重なって過剰投与になってしまうのです。

 

特にアレルギーなどは、治療を始めてすぐに効果が出ることはありませんよね。

でも飼い主さんは「とにかく早く治って欲しい」と焦ります。

医師から治療方針や使用する薬についてよく説明を受けて、納得した上で治療を開始しましょう。

 

病院を変える場合は、前の病院でどんな薬をどのくらいの期間使っていたかなどをしっかり伝えてくださいね。

 

 

ここまでクッシング症候群には、

① 副腎に指令を出す「下垂体」の異常(下垂体腫瘍など)

②「副腎」そのものに異常がある(主に副腎腫瘍)

③ ステロイド剤の長期投与による副作用

の3つの原因があることを説明してきました。

 

次はクッシング症候群の症状を解説していきます。

 

クッシング症候群の症状

クッシング症候群の主な症状

・水をたくさん飲む、おしっこの量や回数が多い(多飲多尿)

・食欲が旺盛になる(多食)

・左右対称の脱毛(かゆみはない場合が多い)

・お腹が膨らむ(腹部の下垂)

・脱力(筋力がおとろえ、足腰に力が入らない)

・無気力、元気がない、寝てばかりいる

・息が荒い

クッシング症候群の初期症状では「多飲多尿」「多食」が見られる

中でも多飲多尿、食欲の増進は早期から見られる症状です。

食欲があるのは元気な証拠と思いがちですが、

「いつもより食事を欲しがるようになった、突然たくさん食べるようになった」

という場合には、他にも変わったことがないか要注意です。

 

症状が進むと、コルチゾールがたんぱく質の分解を促進するので、皮膚が薄くなって毛が抜けてしまったり、筋肉が衰えてふらついたりするようになります。

 

ところが、クッシング症候群では食欲があって元気に見えるので、「歳のせいで毛が薄くなったり、体力が落ちたんだ」と勘違いしてしまう飼い主さんも多くいらっしゃいます

 

クッシング症候群の脱毛は左右対称の場所に起きて、かゆみがなく、毛が抜けた後の皮膚が黒ずんでしまうのが特徴です。

 

「多飲多尿」は具体的にどのくらいの量?

水を飲む量の目安は、1日に「体重1kgあたり100cc以上」の水を飲むようであれば異常があると考えます。

体重が10kgの犬なら1日に1,000cc(1ℓ)以上水を飲むようであれば、多飲です。

 

尿の量の目安は、1日に「体重1kgあたり50cc以上」であれば病気を疑います。

でも犬の尿量を正確に測るのは難しいですよね。

 

したがって飲んだ水の量を測って多飲多尿があるかを判断するのが一般的です。

 

病気がさらに進行した場合の症状は?

コルチゾールは血糖を増加させる作用があるため、糖尿病や膵炎、高脂血症などの合併症を起こすことが多いです。

つまり糖尿病や膵炎に伴った、

・多飲多尿

・嘔吐

・下痢

といった症状も多く見られます。

 

他にも免疫力が低下するために感染症にかかりやすくなるなど、関連して引き起こされる症状はたくさんあります。

→【犬の糖尿病の原因・症状・治療】寿命への影響や末期に注意すること

→【犬の膵炎】原因・症状・治療法。膵炎に良いフードは?寿命はどうなる?

 

クッシング症候群の治療

クッシング症候群の治療

・クッシング症候群を引き起こした原因疾患(腫瘍)の治療

・ステロイド剤投与の見直し

・投薬での治療


クッシング症候群の治療には、「手術」「放射線治療」「投薬治療」などがあります。

 

まずはホルモン検査や血液検査、尿検査でクッシング症候群を本当に発症しているかどうかを調べます。

クッシング症候群であることがわかれば、レントゲンや超音波、CT、MRI検査で原因となっている病気がないかを突き止めます。

脳下垂体や副腎に腫瘍があればこれからの治療方針を決めることができます。

 

ステロイド剤の見直し

医原性でクッシング症候群になっている場合は、ステロイド剤の投与を止めます。

ただし、急に中止すると機能低下症を引き起こす恐れがあるため、数か月に渡って少しずつ減らしていきます。

 

腫瘍が原因になっている場合の治療

副腎腫瘍の場合には、手術で摘出することを第一に検討します。

しかし手術が難しいケースでは放射線治療が用いられることがあります。

 

下垂体は手術で切除をするのが難しい場所にあるため、基本的には放射線治療になります。

ただし、放射線治療は実施できる施設が限られていたり何度も全身麻酔が必要になり大きな負担がかかります。

 

実際には腫瘍に対する根本治療は難しいケースが多く、ミトタンやプレドニゾロン、トリロスタンなどの投薬でコルチゾールの量を抑える治療が一般的です。

 

投薬での治療

根本治療が行えない場合には、ミトタン、プレドニゾロン、トリロスタンなどの投薬治療が行われます。

しかし、薬による治療は病気そのものを治すわけではありません。

症状を緩和させることが目的なので、長期間薬を飲み続ける必要があります。(場合によっては一生涯飲み続ける必要があります。)

 

一般的に用いられるのは、副腎皮質ホルモンを分泌している副腎皮質の細胞を攻撃する薬と、副腎皮質ホルモンの分泌を下げる薬です。

 

投薬治療は副腎皮質ホルモンを下げるために行われるため、いったん治療を始めると一生涯治療必要になることもあります。

 

また、定期的にホルモン量を計測し、その症状に合わせて薬の量を調節していくため、その度に検査も必要です。

 

クッシング症候群の治療はワンちゃんの身体にも負担がかかりますが、費用も高額になります。

飼い主さんはそのことをしっかり認識する必要があります。

● クッシング症候群の検査・治療にかかる費用を見る

 

クッシング症候群の投薬治療で注意すること

投薬治療をして薬がきちんと効いていれば、症状が改善されていきます。

愛犬の様子を見て、症状の変化をチェックしてください。

定期的に水を飲む量を測ることも重要です。

また、「元気がない」「食欲がない」「嘔吐や下痢をする」など、いつもと違う症状が見られた場合には、薬が効き過ぎてコルチゾールが必要以上に下がってしまっている可能性があります。

その時はすぐに病院に連絡してください。

 

クッシング症候群の検査・治療にかかる費用

血液検査・・・5千円から1万円ほど(採血費用)
尿検査・・・3千円ほど
レントゲン検査・・・5千円ほど
超音波検査・・・5千円ほど
CT検査・・・3万円ほど
MRI検査・・・5万円ほど
入院費・・・3千円から5千円

また、手術が必要な場合、10万円から15万円の費用がかかり、投薬治療を行っていく場合にも、かなりの金銭的負担が増えることになります。

ホルモンの分泌を抑える薬は、1錠平均で1000円から1500円です。

そのため小型犬の場合、最低でも月額2万円ほど、中型犬で4万円ほど、大型犬で約6万円の費用が必要となります。

 

クッシング症候群の食事対策

~食事対策で重要な4つのポイント~

低脂肪、良質な脂質

血糖値のコントコール

良質なたんぱく質の補充

免疫力の維持


クッシング症候群ではコルチゾールが過剰になることでの高血糖・高脂血、たんぱく質不足、免疫力の低下が問題になってきます。

また、食欲がなくなり体力が低下すると治療を続けることも難しくなりますので、治療と並行して食事対策を行っていくことが大切です。

 

食事対策では「低脂肪」「血糖値のコントコール」「良質なたんぱく質の補充」「免疫力の維持」の4つのポイントが重要になります。

 

低脂肪、良質な脂質

クッシング症候群の犬は、コルチゾールの分泌過剰により、高脂血症を伴うことが多くなります。

そのため、食事(ドッグフード)の脂肪量は低く抑えなければなりません。

 

ただし、単純に脂肪分を与えないのではなく、良質な脂質は十分に補う必要があります。

良質な脂質とは、動物が体内で合成することができない「オメガ3脂肪酸」です。

オメガ3脂肪酸は、犬の皮膚や被毛の健康維持には欠かせないだけでなく、炎症を抑えたり、免疫力にも関係のある良質な脂肪です。

 

血糖値のコントロール

クッシング症候群のワンちゃんは、高血糖になりやすい状態にあり、すでに糖尿病を併発していたり、糖尿病の一歩手前であることが多いです。

 

糖質や消化しやすい炭水化物が多いと、血糖値が変動しやすく、コントロールするのに負担がかかります。

 

そこで、食物繊維や消化されにくい炭水化物を適度に与えることで、糖の吸収を抑え、血糖値の変動が穏やかになります。

ただし、食物繊維は多すぎても犬の消化器に負担をかけてしまいます。

糖が吸収されにくく、胃腸に負担が少ない食物繊維を含む「玄米」「大麦」「サツマイモ」などを適量与えることがポイントになります。

 

良質なたんぱく質の補充

クッシング症候群になると、コルチゾールがたんぱく質の分解を促進して、脱毛や筋力低下などの症状が見られるようになります。

ワンちゃんは常にたんぱく質が不足するので、活気がなくなり、ふらついたり歩くのを嫌がるようになるのです。

 

そのため、クッシング症候群ではたんぱく質を十分に補充しなければなりません。

ただし、糖尿病を併発しやすいので、たんぱく質量が多すぎると腎臓などに負担をかける恐れがあります。

ですので、クッシング症候群では良質なのたんぱく質を適量与える必要があります。

 

免疫力のキープ

クッシング症候群では免疫力が低下して、感染症にかかりやすくなってしまいます。

また、もともとの原因が下垂体腫瘍や副腎腫瘍であることからも、免疫力を維持するのがとても大切なポイントになります。

 

免疫力は腸内環境と深い関わりがあります。

腸には食べた物を消化吸収する機能がありますが、「全身の免疫を司る」というもう1つの重要な役割があるのです。

 

腸は、食べ物だけでなく病原菌やウイルスなどが常に入り込んでくる場所です。

そのため腸には、病原菌やウイルスなどの外敵を撃退してくれる「免疫細胞」が集結しています。

その数は、体中の免疫細胞のおよそ60%~70%と言われています。

 

つまり、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えることが免疫細胞の活性化につながるのです。

 

「犬のクッシング症候群用療法食」の選び方

現在、犬のクッシング症候群用の特別療法食は殆どありません。

そんな中でもおすすめできるのは『犬心 糖&脂コントロール』です。

『犬心 糖&脂コントロール』は、クッシング症候群、膵炎(すいえん)、甲状腺機能低下症、高脂血症、糖尿病などに対応した国産の特別療法食です。

 

食事対策のポイント 犬心の内容
低脂肪、良質な脂質 脂質:5~9%

オメガ3脂肪酸、ココナッツオイル、ひまわり油などを配合

血糖値のコントコール 血糖値の上昇を抑える食材を使用(玄米、大麦、とうもろこし・大豆のたんぱく質など)
良質なたんぱく質の補充 生肉(牛・馬・鶏)、生魚を使用
免疫力の維持 花びらたけ、冬虫夏草、乳酸菌群、ビール酵母、オリゴ糖を配合

 

『犬心』は先ほど挙げた食事対策の4つのポイントを十分に満たしていますし、原材料の品質・安全性から見ても安心しておすすめできるドッグフードです。

国産の新鮮な食材を使っていますので、手作りご飯にも劣らない食いつきの良さも特徴です。

無料サンプルで実際に食べてくれるかチェックすることもできます。

→『犬心 糖&脂コントロール』について詳しく見る

 

もちろん、ご自身で市販のフードの中から愛犬にあったものを選んだり、手作りの食事にしても大丈夫です。

ただし、先ほどの4つのポイントはしっかり守ってください。

せっかく薬を使っているのに、毎日の食事が正しくできていなかったら愛犬の身体に負担をかけることになります。

 

犬のクッシング症候群は完治する?寿命への影響は?

クッシング症候群は完治が難しい病気です。

予後や寿命は、クッシング症候群を引き起こしている原因によって変わってきます。

 

腫瘍が大きくなってしまい、放射線治療が上手く行かない、あるいは放射治療を受けることができない場合には、数年以内に神経症状が現れたり、最期を迎えることもあります。

ただ、必ずそうなるわけではなく、腫瘍の進行度合いによって余命はさまざまです。

 

腫瘍を完全に取り切ることができれば症状は消え、寿命を全うできることが多いです。

また、完治しなくても腫瘍が小さく、飲み薬でコルチゾールがうまくコントロールできれば、症状は改善し、寿命を全うすることができる場合もあります。

 

犬のクッシング症候群で治療をしない場合はどうなる?

大半の飼い主さんは最後まで諦めずに治療を行うことを選ばれると思います。

ただし、クッシング症候群は高齢なワンちゃんで起きる病気です。

発症の年齢、犬の体力、治療効果と副作用のバランスなどをよく考慮した上で「治療をしない」という選択をする人もいらっしゃいます。(かなりの高齢犬で寿命に影響がないような場合など)

 

治療をしない場合に考えられる症状

クッシング症候群で治療をしない場合、コルチゾールが長期間体内にある状態になり、以下のような症状が出てきます。

・たんぱく質の代謝異常による全身の脱毛、筋肉の減少による脱力

・血糖値のコントロールができないことによる糖尿病や膵炎の発症

・免疫力低下により感染症にかかりやすくなる

 

ワンちゃんによっては、元気そうに過ごしていて、ある日急に亡くなる子もいます。

一概にどうなると言うことはできませんが、基本的には治療をするより、治療をしない方が寿命は短くなります。

 

治療効果と薬の副作用のバランス

以前から用いられていたお薬は「薬が効きすぎていないかなど」をきちんと把握しておかないと強い副作用が出てしまうことがありました。

しかし現在は比較的安全に薬物治療が行えるお薬が使われています。

もちろん定期的なホルモン検査など、その使用量が適切かどうかは常にチェックしなければなりません。

 

また、どんな薬にもベネフィット(効き目、効果)とリスク(副作用など)がありますので、投薬をしないで症状が悪化する危険性と副作用の症状を比べてどちらがワンちゃんにベストなのかを判断する必要があります。

 

検査や治療にかかる費用の問題

先ほども説明しましたが、クッシング症候群の検査・治療はかなり高額な費用がかかります。

● クッシング症候群の検査・治療にかかる費用を見る

 

大切な家族である愛犬のことでも、お金の問題を避けて通ることはできませんし、現実的に支払えない場合には治療を諦めざるを得ません。

飼い主さんにとっては非常に辛い決断だと思いますが、出来る限り手を尽くしたことは愛犬もわかってくれています。

どうかご自分を責めないでください。

 

これ以上、医学的な治療をしない場合でも、せめて食事療法を続けることで愛犬の身体が少しでも楽になるようにしてあげてくださいね。

 クッシング症候群の食事対策を見る

 

犬のクッシング症候群の予防法は?

下垂体腫瘍、副腎腫瘍というガンが原因となるケースが多いので、これを予防することはできません。

しかしステロイド剤の過剰投与によるクッシング症候群は防ぐことができるものです。

アレルギー皮膚炎などの治療でステロイド剤を使用する場合は、量や期間など十分に説明を受け、納得してから治療を開始してください。

 

いずれにしてもクッシング症候群の症状は、通常のシニア犬にも見られる老化に似ているため、飼い主さんも気が付きにくい病気です。

食欲があって元気そうに見えても、ある程度の年齢になったらクッシング症候群の存在を気にしてあげましょう。

もう一度クッシング症候群の症状を見る

 

まとめ:早期発見・早期治療が大切

クッシング症候群は、コルチゾールの過剰分泌で起こるホルモンの病気です。

原因には、下垂体腫瘍、副腎腫瘍、ステロイド剤の過剰投与があります。

クッシング症候群になると、多飲多尿、多食、左右対称の脱毛、脱力などが見られます。

原因になっている腫瘍を取り除くことができれば症状は回復して、寿命まで長生きできるワンちゃんもいますが、反対に徐々に悪化して亡くなることもある怖い病気です。

 

毎日の愛犬の行動や食事の様子に気を配ることで、すぐに異変に気付けるようにしてあげてくださいね。

クッシング症候群の原因をもう一度見る

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