犬が水を飲まない。すぐ病院に行くべきサインと、飲みやすくする工夫
この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。
この記事のポイント
- 犬が水を飲まないとは、いつもより飲む量が明らかに減った、またはまったく飲まない状態のことです。まったく飲まないときは、早めに動物病院へ電話してください。
- ぐったりしている、吐く・下痢をしている、ご飯も食べない、歯ぐきが乾いてねばつくときは、脱水が心配なので様子を見ずに病院へ。
- 元気で食欲もあるなら、ウェットフードで水分がとれていることも。器を洗う、置き場所を増やす、フードに水を足すなどの工夫を試しながら、飲む量を記録しましょう。
- シニア犬は、のどの渇きに気づきにくくなったり、器まで歩くのがつらくなったりすることがあります。飲みやすい環境づくりと、早めの相談を。
犬が水をまったく飲まないときや、ぐったりしている、吐く、下痢をしている、ご飯も食べないときは、様子を見ずに動物病院へ電話してください。体の水分が足りなくなる(脱水)おそれがあるためです。元気で食欲もあり、おしっこもいつもどおり出ているなら、器や置き場所、水の温度を変えたり、フードに水分を足したりする工夫を試しながら、飲む量を記録してみましょう。
この記事では、すぐ電話したほうがいいサイン、家でできる脱水の見分け方、病院に伝えること、飲みやすくする工夫、シニア犬で気をつけたいことを紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。
犬が水を飲まないとは?どのくらいなら心配?
犬が水を飲まないとは、いつもより水を飲む量が明らかに減った、またはまったく飲まない状態のことです。
犬は、器から飲む水だけでなく、食事からも水分をとっています。ウェットフードは水分が多く、ドライフードは少ないため、ウェットフードを食べている犬は器から飲む量が少なくても不思議ではありません。英国の獣医専門病院の資料でも、食事に含まれる水分や、運動・パンティング(ハァハァ)で失われる水分によって、飲む量は変わるとしています。
| 様子 | 考え方の目安 |
|---|---|
| まったく飲まない | 早めに動物病院へ電話 |
| 飲まない+元気がない・吐く・下痢・食べない | すぐ動物病院へ電話 |
| 少し減ったが、元気・食欲・おしっこはいつもどおり | 工夫を試しながら記録。続くなら相談 |
| フードをウェットに変えてから減った | 食事から水分がとれていることも。気になれば相談 |
出典:Petplan UK「Why is my dog not drinking water?」、Veterinary Specialists Scotland「Polydipsia in dogs and cats」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)
様子を見てよいのは、飲む量が少し減っただけで、元気・食欲があり、おしっこもいつもどおり出ているときです。その場合は、このあと紹介する工夫を試しながら、飲んだ量とおしっこの回数を記録しましょう。何時間・何日なら大丈夫という決まった目安はないので、飲む量が戻らない、まったく飲まなくなった、ほかの様子が出てきたときは、時間を待たずに電話で相談してください。シニア犬は、のどの渇きに気づきにくくなることもあるので、若い犬より早めに相談すると安心です。
ふだん、どのくらい飲んでいるかを知っておくと、減ったときに気づきやすくなります。1日の飲む量の測り方は犬が水をよく飲むときで紹介しています。
犬が水を飲まないとき、すぐ病院に電話したほうがいいサインは?
次のようなときは、様子を見ずに、すぐ動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。
こんなときは、すぐ動物病院に電話してください
- 水をまったく飲まない
- ぐったりしている、呼んでも反応がにぶい、立てない・ふらつく
- 何度も吐く、下痢が続く
- ご飯も食べない
- 歯ぐきが乾いてねばつく、よだれがねばねばしている
- 目がくぼんで見える
- おしっこがほとんど出ない、色がとても濃い
- 暑いところにいたあとで、息が荒い・ぐったりしている(熱中症が心配なとき)
- 口を痛がる、よだれが多い、飲もうとしてやめる
アメリカンケネルクラブ(AKC)の解説では、脱水のサインとして、皮膚の弾力が落ちる、食欲がない、吐く(下痢を伴うことも)、元気がない、ハァハァする、目がくぼんで乾いて見える、鼻が乾く、歯ぐきが乾いてねばつく・よだれが濃い、を挙げ、脱水の症状があるときは「医療上の緊急事態」としてすぐ受診するように、としています。英国のペット保険会社(Petplan)の解説でも、まったく飲まないときはすぐに獣医師に連絡するように、としています。
犬の脱水は、家でどう見分ける?
AKCやPetplanの解説では、家でできる確かめ方として次の2つを紹介しています。どちらも、元気なときに一度試して「いつもの状態」を知っておくと比べやすくなります。
皮膚をつまむ:肩甲骨のあたり(首の後ろ)の皮膚をやさしくつまんで持ち上げ、離します。水分が足りている犬では、すぐ元に戻ります。戻るのがいつもより遅いときは、脱水が心配です。ブルドッグなど、皮膚にしわの多い犬種や、年をとって皮膚がゆるんだ犬では、わかりにくいことがあります。
歯ぐきを押す:歯ぐきを指で軽く押して離し、白くなったところがピンク色に戻るまでを見ます。ふつうはすぐ戻ります。戻るのが遅い、歯ぐきが乾いてねばつくときは、脱水が心配です。
| 確かめること | いつもの状態 | 心配なとき |
|---|---|---|
| 皮膚をつまんで離す | すぐ元に戻る | 戻るのが遅い |
| 歯ぐきを押して離す | すぐピンクに戻る | 戻るのが遅い |
| 歯ぐきをさわる | しっとりしている | 乾いてねばつく |
| 目 | いつもどおり | くぼんで乾いて見える |
出典:American Kennel Club「Warning Signs of Dehydration in Dogs」、Petplan UK「Why is my dog not drinking water?」(2026年10月23日に確認)
これらは目安で、確かめ方だけで脱水かどうかを決めることはできません。心配なときは、結果をそのまま病院に伝えてください。
動物病院に伝えること・病院で行われること
電話のときも受診のときも、次のことを伝えられるようにしておくと安心です。
- いつから:最後にしっかり飲んだのはいつか
- 飲んだ量:量れたら、今日・昨日の量
- 食事:食べているか、フードの種類(ドライ/ウェット)
- おしっこ:回数・量・色
- ほかの様子:吐く、下痢、元気、息が荒い、口を気にする
- 家で確かめたこと:歯ぐきの乾き、皮膚の戻り方
- 変えたこと:器、置き場所、水(浄水器・ミネラルウォーターなど)、引っ越し・来客
- 飲んでいる薬:お薬手帳や薬の袋
病院では、問診と体の診察(歯ぐき・皮膚・口の中など)のあと、必要に応じて血液検査や尿検査などが行われます。脱水があると判断された場合、皮下や静脈から点滴で水分を補うことがあると、AKCの解説では紹介しています。どんな検査や処置をするかは、犬の状態や病院の判断で変わります。
犬が水を飲まない理由として、どんなことが考えられる?
水を飲まない理由は、体の不調だけではありません。たとえば次のようなことも、きっかけになることがあります。
- 器が汚れている、においが気になる、器の素材や形が合わない
- 置き場所が遠い、落ち着かない場所にある、ほかの犬と取り合いになる
- 水を変えた(浄水器、ミネラルウォーター、引っ越し先の水道水など)
- 涼しい季節で、運動量が少ない
- ウェットフードに変えて、食事から水分がとれている
一方で、口の中の痛み、吐き気、体のだるさなど、体の不調で飲めなくなっていることもあります。とくに「急に飲まなくなった」「ほかにも元気がない」ときは、環境のせいと決めつけずに相談してください。
老犬が水を飲まないときに気をつけたいことは?
のどの渇きに気づきにくくなることも
年をとると、のどの渇きを感じにくくなったり、寝ている時間が長くなって水を飲みに行く回数が減ったりすることがあります。「飲みたくない」のではなく「飲みに行けていない」こともあるので、器の場所や高さを見直してみてください。
器まで歩くのがつらい・首を下げるのがつらい
足腰が弱ってくると、器まで歩くこと、床に置いた器まで首を下げることが負担になる場合があります。寝床のそばに器を置く、少し高さのある器台を使う、すべりにくいマットを敷くなどの工夫が役立ちます。
寝たきりの犬の水分補給
寝たきりで自分から飲めない犬の水分補給は、飲ませ方を誤るとむせたり、水が気管に入ったりするおそれがあります。スポイトやシリンジを使う場合も、体の起こし方、1回の量、ペースを、必ず動物病院で教わってから行ってください。
「寿命が近いの?」と心配なとき
年をとった愛犬が水を飲まなくなると、「もう長くないのでは」と不安になる方も多いと思います。けれど、水を飲まないことだけで寿命はわかりません。口の痛みや歩くつらさなど、理由がわかれば楽にしてあげられることもあります。不安なときこそ、かかりつけの動物病院に相談してください。ご飯も食べないときは老犬がご飯を食べないときも読んでみてください。
犬が水を飲まないとき、家でできることは?
すぐ病院に電話するサインがなく、元気や食欲があるときは、次の工夫を試してみてください。
家でできること
- 器を毎日お湯と洗剤で洗い、水はこまめに新しくする
- 器を家の中の何か所かに置く(寝床のそば、ご飯の場所の近く)
- 器の素材や形、高さを変えてみる
- 水を変えたなら、前の水と混ぜて少しずつ切り替える
- 氷やくだいた氷を少し入れてみる
- ドライフードにぬるま湯を足す、ウェットフードを使う(持病があれば病院に確認)
- 手のひらにすくって差し出してみる
- 散歩や外出には水と器を持っていく
- 飲んだ量・おしっこの回数をメモする
- 人の飲み物(スポーツドリンク・牛乳など)は自己判断で与えない
Petplanの解説では、体の不調がないことを獣医師に確かめたうえで、器をこまめに洗う、水を変えるときは少しずつ切り替える、器を家の各所に置く、氷を入れる、ドライフードに水を足すかウェットフードにする、手からあげる、といった工夫を紹介しています。AKCの解説でも、いつでも新鮮な水を用意すること、氷をかじらせる方法などを紹介しています。
工夫しても飲む量が戻らない、少しずつ減っていく、というときは、元気そうでも病院に相談してください。症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。夜間・休日は夜間・休日に動物病院を探すにはを参考にしてください。
「ちゃんと飲んでいるかな」と気にかけて、器をのぞくこと。それ自体が、愛犬にとっていちばんの見守りです。
よくある質問
犬が水を飲まないのは、何時間くらいまで様子を見ていいですか?
何時間なら大丈夫、とは一概には言えません。まったく飲まない、ほかに元気がない・吐く・食べないなどの様子があるときは、時間を待たずに動物病院に電話してください。
水を飲まないけれど、ご飯は食べています。大丈夫ですか?
ウェットフードや手作り食など、水分の多い食事をしている犬は、器から飲む水が少なくても水分がとれていることがあります。元気・おしっこの量がいつもどおりかを見て、気になるときは相談してください。
スポイトやシリンジで無理に飲ませてもいいですか?
飲み込む力が弱っている犬に無理に飲ませると、むせたり、水が気管に入ったりするおそれがあります。飲ませ方は、自己判断せず動物病院に相談してください。
水に何か混ぜてもいいですか?
ドライフードにぬるま湯を足す、犬用のスープやミルクを使うなどの方法があります。持病があって食事の制限がある犬は、何を足してよいか病院に確認してください。人の飲み物(スポーツドリンクなど)は自己判断で与えないでください。
老犬が水を飲まないのは、寿命が近いからですか?
水を飲まないことだけで寿命はわかりません。口の中の痛み、歩くのがつらい、器が使いにくいなど、理由はさまざまです。気になるときは、かかりつけの獣医師に相談して、理由を一緒に探してもらいましょう。
犬が水を飲まない:病院に電話する前のメモ
印刷して、終わったものに印をつけて使えます。
- 最後にしっかり飲んだのはいつか
- 今日飲んだ量(量れたら)
- ご飯は食べているか、フードの種類(ドライ/ウェット)
- おしっこの回数・量・色
- 吐いた・下痢・元気がない・息が荒い
- 歯ぐきが乾いてねばつくか、皮膚をつまんだときの戻り方
- 口を気にする・よだれ・口のにおい
- 器や置き場所、水を変えたか
- 飲んでいる薬
いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-mizu-nomanai/
参考にした情報
- American Kennel Club「Warning Signs of Dehydration in Dogs」
- Petplan UK「Why is my dog not drinking water?」
- Veterinary Specialists Scotland「Polydipsia in dogs and cats(increased drinking)fact sheet」
制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。
この記事の更新履歴
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この記事を書いた人
老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。