急いでいる方へ:すぐ病院か、様子を見ていいか

症状から確かめる →

01 症状と受診

犬が水をよく飲む。病院に行く目安と、1日の飲む量の測り方

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬が水をよく飲むとは、いつもより飲む量が明らかに増えている状態のことです。獣医学の資料では、体重1kgあたり1日100mLを超えると多飲(飲みすぎ)とされています。
  • ぐったりしている、吐く、食べない、息が荒いなどがあれば、すぐ動物病院に電話を。元気でも、飲む量が増えた状態が続くなら受診して相談しましょう。
  • 家では、計量カップで入れた水と残った水の差から、24時間の飲む量を測れます。数日分を記録して病院に持っていくと役立ちます。
  • シニア犬で飲む量が増えたときは、年のせいと決めつけず相談を。腎臓などの検査をすすめられることがあります。

犬が急に水をよく飲むようになったと感じたら、まず「1日にどのくらい飲んでいるか」を測ってみてください。獣医学の資料では、体重1kgあたり1日100mLを超えると多飲(飲みすぎ)とされています(体重5kgなら500mL、10kgなら1L)。ぐったりしている、吐く、食べない、息が荒いときは、測るのを待たずにすぐ動物病院に電話します。元気でも、飲む量が増えた状態が続くときは受診して相談しましょう。

この記事では、多飲の目安、1日の飲む量の測り方、すぐ電話したほうがいいサイン、病院で行われること、シニア犬で気をつけたいことを紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。

犬が水をよく飲むとは?どのくらいから「飲みすぎ」?

犬が水をよく飲む(多飲)とは、いつもより水を飲む量が明らかに増えている状態のことです。多くの場合、おしっこの量や回数も一緒に増えます(多尿)。この2つをあわせて「多飲多尿」と呼びます。

岐阜大学動物病院(内科)の診療テキストでは、犬の多飲を「飲水量が体重1kgあたり1日100mLを超える」、多尿を「尿量が体重1kgあたり1日50mLを超える」としています。英国の獣医専門病院の資料では、教科書的なふつうの量を体重1kgあたり1日20〜70mLとし、100mLを超えたらはっきり増えているとしています。

体重ふつうの目安(20〜70mL/kg)多飲とされる量(100mL/kgを超える)
3kg約60〜210mL300mLを超える
5kg約100〜350mL500mLを超える
10kg約200〜700mL1,000mLを超える
20kg約400〜1,400mL2,000mLを超える

出典:岐阜大学 動物病院 内科 テキスト「多飲多尿」、Veterinary Specialists Scotland「Polydipsia in dogs and cats」をもとに編集部が体重別に計算(2026年10月23日に確認)

ただし、この数字はあくまで目安です。ドライフードを食べている犬は、ウェットフードの犬より水をたくさん飲みます。暑い日や、散歩・運動のあとも飲む量は増えます。同じ資料でも、100mLを下回っていても、その犬にとっていつもより明らかに多ければ相談する意味がある、としています。「数字」と「いつもとの違い」の両方を見てください。

犬が1日に飲む水の量は、どうやって測る?

家にある計量カップと、メモがあれば測れます。

  1. 朝、決まった時刻に、計量カップで量った水を器に入れます(例:800mL)。器にいくつか置いているなら、すべて量ります。
  2. 足すときも量って、足した量をメモします。
  3. 24時間後、残った水を計量カップで量ります。
  4. 入れた量の合計 − 残った量 が、だいたいの1日の飲む量です。
朝に計量カップで量った水を器に入れ、足すときも量ってメモし、24時間後に残りを量り、入れた量の合計から残った量を引いて1日に飲んだ量を出す手順の図(例:800mL−250mL=550mL)
入れた量の合計から、24時間後に残った量を引くと、だいたいの1日の飲む量がわかります。3日くらい続けて測ると、その日だけの多い・少ないにまどわされにくくなります。イラスト:いぬのながいき手帖
日付入れた量(合計)残った量飲んだ量体重メモ
10/23800mL250mL550mL5.2kg散歩30分・涼しい日
10/24
10/25

正確に測るためのコツです。

  • 3日くらい続けて測ると、その日だけの多い・少ないにまどわされにくくなります。
  • 器からこぼれた分や蒸発する分もあるので、少し多めに出ることがあります。気になるときは、犬が届かない場所に同じ器で水を置き、減った分を引くと近い値になります。
  • トイレの水や外の水たまりなど、器以外から飲んでいないかも気にかけます。
  • フードやおやつを変えた日、ウェットフードを足した日はメモしておきます。
  • 体重もいっしょに量っておくと、「体重1kgあたり」で考えやすくなります。

おしっこの量を測るのはむずかしいので、トイレシートの枚数や、シートの濡れた広さ、夜中のおしっこ・おもらしが増えたかをメモしておけば十分です。

犬が水をよく飲むとき、すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

次のようなときは、飲む量を測るのを待たずに、すぐ動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • ぐったりしている、呼んでも反応がにぶい、ふらつく
  • 何度も吐く、ご飯を食べない
  • 水を飲んでもすぐ吐く
  • 涼しいところで休んでも息が荒い、ハァハァが止まらない
  • おしっこが出ない、または急に極端に増えた
  • お腹がふくれている、さわると痛がる
  • 避妊手術をしていないメスで、発情期のあとしばらくして水をよく飲み、元気・食欲がない、陰部からおりものが出る
  • 人の薬・保冷剤・不凍液など、口にしてはいけないものを口にした心当たりがある

英国のペット保険会社(Petplan)の解説では、いつもより水をよく飲むときは受診を予約するように、元気がない・吐く・下痢・トイレの問題などがあれば遅れずに相談するように、としています。

元気なら、様子を見てもいい?

暑い日や運動のあとに一時的に飲む量が増え、ほかに変わったところがなければ、様子を見ることもあります。けれど、涼しい日でも飲む量が多い、数日続く、おしっこの回数やおもらしが増えた、という場合は、元気そうでも病院で相談してください。飲む量の記録があると、話が早く進みます。

犬が水をよく飲むのは、どんな病気が関係する?

水をよく飲む・おしっこが増える変化は、さまざまな体の状態と関わることがあると、獣医学の資料では説明されています。腎臓、ホルモン(内分泌)、子宮、肝臓、飲んでいる薬の影響などが、検査で調べられることがあります。どれに当てはまるかは、症状だけではわかりません。病名を当てはめて心配するよりも、記録を持って病院で調べてもらうことを大切にしてください。

国際的な腎臓病の研究グループ(IRIS)は、慢性腎臓病の早いうちに気づくサインとして、水を飲む量とおしっこの量が増えることを挙げています。腎臓のことは犬の慢性腎臓病にくわしくまとめています。

動物病院に伝えること・病院で行われること

電話のときも受診のときも、次のことを伝えられるようにしておくと安心です。

  1. いつから:増えたと感じた時期
  2. 飲む量:測った量(何日分か)と体重
  3. おしっこ:回数、量、色、おもらし・夜中のおしっこ
  4. 食欲と体重:増えた・減った
  5. ほかの様子:吐く、下痢、息が荒い、毛や皮膚の変化、お腹のふくらみ
  6. フード:ドライかウェットか、量、最近変えたもの
  7. 飲んでいる薬:お薬手帳や薬の袋
  8. メスの場合:避妊手術の有無、最後の発情期

病院では、問診と体の診察のあと、尿検査(尿の濃さ・糖・たんぱくなど)や血液検査がよく行われます。必要に応じて、超音波検査やホルモンの検査などが追加されます。尿検査をすることが多いので、尿を持っていったほうがよいか、事前に電話で聞いておきましょう。尿の取り方は犬の血尿の記事で紹介しています。

老犬が水をよく飲むときに気をつけたいことは?

「年のせい」と決めつけずに相談を

年をとった犬が水をよく飲むようになると、「年だから仕方ない」と思いがちです。けれど、シニア犬で飲む量やおしっこが増えたときは、体の変化が関わっていることもあります。早めに相談して検査を受けておくと、これからのケアを考えやすくなります。

健康診断で、変化の前に気づけることも

IRISは、年をとった犬や猫には年1回の健康診断をすすめていて、定期的な血液検査で、腎臓の数値が基準値を超える前から変化に気づけることがあると説明しています。健康診断の受け方は犬の健康診断にまとめています。

息が荒い・水をよく飲むが重なるとき

「息が荒くて、水もよく飲む」という検索も多くあります。暑さや興奮のあとなら休ませて様子を見ることもありますが、涼しいところで休んでも息が荒い、ぐったりしているときは、すぐ病院に電話してください。

夜中のおしっこ・おもらしが増えたら

飲む量が増えると、夜中のおしっこやおもらしが増えることがあります。叱らずに、寝床の近くにトイレシートを敷く、寝る前にトイレに連れていくなどの工夫をしてみてください。おむつを使う場合は、こまめに替えて皮膚を清潔に保ちます。介護用品の選び方は老犬の介護用品にまとめています。

犬が水をよく飲むとき、家でできることは?

家でできること

  • 水を減らしたり、取り上げたりしない(自己判断で制限しない)
  • いつでも新しい水を飲めるよう、器を清潔にして多めに用意する
  • 1日の飲む量を3日ほど測り、体重といっしょにメモする
  • おしっこの回数・色・おもらしをメモする
  • トイレに行ける回数を増やし、おしっこを我慢させない
  • フードやおやつを急に変えない(変えたらメモする)
  • 人の薬やサプリメントを自己判断で与えない
  • 治療中なら、処方された薬や療法食を自己判断でやめない

「たくさん飲むなら減らしたほうがいいのでは」と思うかもしれませんが、体が水を必要としている場合、減らすと脱水につながることがあります。水の量は、必ず病院と相談して決めてください。

症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。夜間・休日は夜間・休日に動物病院を探すにはを参考にしてください。

病院ではどのくらい費用がかかる?

費用は、行う検査の種類や病院によって大きく変わります。受診のときに、検査の内容とおおよその費用を聞いておくと安心です。ペット保険のことはシニア犬のペット保険にまとめています。

水を飲む量の変化に気づけるのは、毎日そばにいる家族だからこそです。測ったメモは、それだけで病院にとって大切な手がかりになります。

よくある質問

犬は1日にどのくらい水を飲むのが普通ですか?

英国の獣医専門病院の資料では、教科書的な目安として体重1kgあたり1日20〜70mL、飲みすぎとはっきり言えるのは100mLを超えたときとしています。ただし、ドライフードかウェットフードか、気温や運動量でも変わります。いつもの量と比べて増えているかを見てください。

水をよく飲むなら、水を減らしたほうがいいですか?

自己判断で水を減らさないでください。体が水を必要としている場合、減らすと脱水につながることがあります。飲む量を測って、病院に相談しましょう。

老犬が水をよく飲むのは、年のせいですか?

年をとったから水をよく飲む、とは言い切れません。シニア犬で飲む量やおしっこが増えたときは、腎臓などの体の変化が関わっていることもあるため、早めに相談すると安心です。

水をよく飲んで、息も荒いです。

暑さや運動のあとなら、休ませて様子を見ることもあります。けれど、涼しいところで休んでも息が荒い、ぐったりしている、ふらつくときは、すぐ動物病院に電話してください。

病院には何を持っていけばいいですか?

数日分の1日の飲む量のメモ、体重、おしっこの回数と様子、フードの種類と量、飲んでいる薬です。尿検査をすることがあるので、尿を持っていくか事前に電話で聞いておくとよいでしょう。

犬が水をよく飲む:病院に行く前のメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • いつごろから増えたと感じるか
  • 1日の飲む量(できれば3日分)と体重
  • おしっこの回数・量・色(トイレシートの枚数でも)
  • おもらし・夜中のおしっこが増えたか
  • 食欲(増えた/減った)、体重の変化
  • 吐く・下痢・息が荒い・元気がない
  • フードの種類(ドライ/ウェット)と量、変えたもの
  • 飲んでいる薬(名前がわかるもの)
  • メスなら避妊手術の有無と、最後の発情期

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-mizu-yoku-nomu/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。
  •  出典と数字を確認し、確認できなかった点の書き方を直しました。

内容の誤りや古い情報にお気づきの方は、お問い合わせからお知らせください。

この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

急ぎの方:すぐ病院か確かめる