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犬の糖尿病とは?気づくサインと治療の流れ、家での過ごし方

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬の糖尿病とは、血糖を下げるホルモン(インスリン)が足りない、またはうまく働かないために、血液中の糖が増える病気のことです。中高齢の犬に多いとされています。
  • 水をよく飲む・おしっこが増える、よく食べるのにやせる、毛づやが悪くなる、目が白くにごる(白内障)などが、気づくサインとして挙げられています。
  • 犬の糖尿病では、インスリンの注射が治療の中心になり、多くは家で飼い主が注射を続けます。注射のしかたや量は、必ず動物病院で教わってください。
  • ぐったりする、吐く、食べないときや、ふらつく・震える・けいれんするときは、すぐ動物病院に電話してください。

犬の糖尿病は、血糖を下げるホルモン(インスリン)が足りない、またはうまく働かないために、血液中の糖が増える病気で、中高齢の犬に多いとされています。水をよく飲む、おしっこが増える、よく食べるのにやせてくるといった変化に気づいたら、いつから・どのくらいかをメモして、かかりつけの動物病院に相談しましょう。犬の糖尿病では、インスリンの注射が治療の中心で、多くは家で飼い主が続けます。注射のしかたや量は、必ず病院で教わってください。

このページでは、どんな病気か、気づくサイン、すぐ電話したほうがいい様子(低血糖のサインを含む)、病院で行われること、シニア犬で気をつけたいこと、家での過ごし方、費用の例を順に紹介します。診断はしません。気になる変化があれば、かかりつけの動物病院に相談してください。

犬の糖尿病とは?どんな病気?

犬の糖尿病とは、膵臓から出るインスリンというホルモンが足りない、またはうまく働かないために、血液中の糖(ブドウ糖)が増えてしまう病気のことです。インスリンは、食べ物からとった糖を体の細胞に取りこむ役割をしています。インスリンが働かないと、血液の中に糖があふれる一方で、体はエネルギーを十分に使えなくなります。

MSD獣医マニュアルでは、犬の糖尿病は中年の犬に多く、ほかに原因となる病気がない場合は一般に生涯つきあっていく病気とされています。また、インスリンが必要で、食事や減量だけでは管理できないと説明されています。

かかりやすい年齢・犬種

国内の獣医師が監修した解説では、7歳以上の中高齢の犬に多く、オスよりメスのほうが発症しやすいとされています。かかりやすい犬種として、ミニチュア・シュナウザー、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンドなどが挙げられていますが、どの犬種でも起こりうるとされています。

ほかの病気と関係することも

MSD獣医マニュアルでは、クッシング症候群やステロイドの薬を長く使うことで体がインスリンに反応しにくくなり、糖尿病につながることがあるとされています。また、重い膵炎やくり返す膵炎で膵臓が傷つき、糖尿病になることがあるとも説明されています。関連する病気は犬のクッシング症候群、犬の膵炎にまとめています。

犬の糖尿病の症状は?気づくサイン

獣医師が監修した解説とMSD獣医マニュアルでは、次のような変化が挙げられています。MSD獣医マニュアルは、症状は数週間〜数か月かけて少しずつ進むことが多いとしています。

気づくサインどんな様子か
水をよく飲む水入れがすぐ空になる、何度も水を飲みに行く
おしっこが増えるトイレの回数・量が増える、粗相が増える
よく食べるのにやせる食欲はある(増える)のに、体重が減ってくる
毛づやが悪くなる毛がぱさつく
元気がない疲れやすい、寝ている時間が増える
目が白くにごる白内障。急に進むことがある

出典:価格.com保険「犬の糖尿病」(獣医師 三宅亜希 監修)、オリコン ペット保険「犬の糖尿病」(獣医師 松田唯 監修)、MSD Veterinary Manual「Diabetes Mellitus in Dogs and Cats」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

初めのうちは症状がわかりにくいため、飼い主が日々の様子から気づくことが大切だとされています。水を飲む量が増える理由は糖尿病のほかにもいくつもあるので、量だけで病気は決められません。どのくらい飲んでいるかを量ってメモし、相談してください。量り方は犬が水をよく飲むときにまとめています。

すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

糖尿病が進むと、血液中に「ケトン体」という物質が増える糖尿病性ケトアシドーシスという状態になることがあります。獣医師が監修した解説では、食欲が落ちる、元気がなくなる、吐く、下痢、脱水などが見られ、すぐに治療しないと命に関わることがあるとされています。

また、インスリンの治療中は、血糖が下がりすぎる低血糖に気をつけます。米国動物病院協会(AAHA)の犬の糖尿病ガイドライン(2026年)では、低血糖のサインとして、ぐったりする、眠そうにする、いつもと違う行動、歩き方がおかしい、力が入らない、震える、倒れる、けいれんが挙げられています。

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • 水をよく飲む・おしっこが多い状態に加えて、食べない、吐く、ぐったりしている
  • 下痢や嘔吐が続き、水も飲めない
  • インスリンの治療中に、ふらつく、震える、力が入らない、ぼんやりする
  • 倒れた、けいれんした、呼んでも反応がにぶい
  • インスリンの量や回数を間違えた(多く打った・2回打った かもしれない)
  • ご飯を2回続けて半分も食べない(治療中の場合)

低血糖が疑われるときに家でどうするかは、犬の状態や使っているインスリンによって違います。治療を始めるときに、低血糖のサインと、そのとき家ですること、夜間の連絡先をかかりつけの獣医師に必ず聞いて、紙に書いて冷蔵庫などに貼っておきましょう。夜間・休日の連絡先は夜間・休日に動物病院を探すにはを参考にしてください。

病院ではどんな検査・治療をする?

検査

病院では、問診と体の診察のあと、血液検査で血糖値などを調べ、尿検査で尿に糖やケトン体が出ていないかを見るのが一般的です。ほかの病気(クッシング症候群、膵炎、感染症など)が隠れていないかも調べます。

治療の流れ

治療どんなものか
インスリン注射足りないインスリンを注射で補う。多くは生涯続き、飼い主が家で打つ
食事の管理食事の内容・量・時間をそろえる。療法食を使うこともある
体重の管理・運動決まった時間・量の散歩など、毎日のリズムをそろえる
入院での治療ケトアシドーシスなど重いときは、点滴などで体の状態を整える
定期的な検査血糖値の推移を見て、インスリンの量を調整する

出典:価格.com保険「犬の糖尿病」(獣医師監修)、MSD Veterinary Manual、AAHA「2026 AAHA Diabetes Management Guidelines for Dogs」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

治療を始めてしばらくは、インスリンの量を決めるために、何度か通院したり、血糖値を時間ごとに測ったりすることがあります。最近は、体につけて血糖の変化を記録する機器を使う病院もあります。

インスリン注射は「病院で教わる」

自宅でのインスリン注射は、薬の種類によって扱い方(混ぜ方など)や注射器が違います。**注射のしかた、量、時間、保管のしかたは、必ず動物病院で教わり、練習してから始めてください。**この記事では、手順や量は紹介していません。わからないことがあれば、何度でも病院に聞いてかまいません。

量を自己判断で増やしたり、回数を変えたりするのは危険です。AAHAのガイドラインでも、獣医師の指示なしに量や回数を増やさないように、としています。

シニア犬の糖尿病で気をつけたいこと

白内障と目の見え方

MSD獣医マニュアルでは、白内障は血糖のコントロールが難しい犬によく見られるとされ、国内の解説でも急に進みやすい合併症として挙げられています。目が見えにくくなったときは、家具の配置を変えない、段差に気をつけるなど、暮らしの工夫で安全を守りましょう。

食欲が落ちやすい

年をとると、歯の痛みやほかの病気で食欲にむらが出ることがあります。糖尿病の治療では「食べた量」と「インスリン」の関係が大切なので、食べなかったときにどうするかを前もって決めておくことがとくに大事です。食べないときの工夫は老犬がご飯を食べないときにもまとめています。

ほかの持病と一緒に考える

シニア犬では、腎臓の病気やクッシング症候群などの持病と一緒に治療することもあります。飲んでいる薬やサプリはすべて獣医師に伝えましょう。腎臓の病気は犬の慢性腎臓病にまとめています。

毎日の注射を続けられるか、正直に相談する

毎日決まった時間に注射とご飯をそろえるのは、家族の生活にも関わります。仕事や通院の都合、費用の心配があれば、遠慮せず獣医師に伝えてください。MSD獣医マニュアルでも、長く治療を続けるには飼い主の理解と協力が大切だとされています。できる範囲を一緒に考えてもらいましょう。

糖尿病と言われたら、寿命はどのくらい?

「犬 糖尿病 寿命」で調べる方も多いと思います。けれど、診断されたときの状態、ケトアシドーシスがあったか、ほかの病気、年齢、治療への反応などで、一頭一頭大きく違います。このページでは、寿命の数字はお伝えしていません。

不安なときは、かかりつけの獣医師に次のことを聞いてみてください。

  • 今の血糖のコントロールの状態
  • これから気をつけたい合併症
  • 家でできること、すぐ連絡してほしいサイン

犬の年齢の目安は犬の平均寿命にもまとめています。

糖尿病の犬との家での過ごし方

家でできること

  • ご飯とインスリンの時間を毎日そろえる(カレンダーやアプリで記録)
  • 打ったらすぐ記録して、家族で二重に打たないようにする
  • 食べた量(全部・半分・食べない)を毎回メモする
  • 水を飲む量・おしっこの量・体重を記録する
  • おやつは病院と決めたものだけ。家族みんなでルールを共有する
  • 散歩の時間と量をなるべく毎日同じにする
  • 低血糖のサインと連絡先を紙に書いて貼っておく
  • インスリンの保管は病院の指示どおりに
  • 目が見えにくいときは、家具の配置を変えず、段差にガードをつける

AAHAのガイドラインでは、ご飯やおやつ、運動のタイミングをそろえることがすすめられています。記録は完璧でなくてかまいません。「時刻・食べた量・打った量」を書くだけでも、病院で相談するときの大きな手がかりになります。

低血糖のサイン・家ですること・夜間の連絡先を書いた紙を冷蔵庫に貼り、時刻・食べた量・打った量を記録する表を示した図
記録は「時刻・食べた量・打った量」だけで十分です。打ったらすぐ書くと、家族で二重に打つのを防げます。イラスト:いぬのながいき手帖

糖尿病の治療にかかる費用は?

費用は、インスリンの種類と量(体の大きさ)、検査の回数、病院によって大きく変わります。全国でそろった公的な統計は見つかっていません。参考として、保険会社が公表している請求の一例を紹介します。

項目金額の例
診察料1,000円
血液検査6,000円
インスリン5,000円
シリンジ(注射器)1,500円
合計13,500円

出典:価格.com保険「犬の糖尿病」(アニコム損害保険への請求の一例。ミニチュア・シュナウザー。平均や水準を示すものではありません)(2026年10月23日に確認)

インスリンと注射器は毎月続けて必要になり、そのほかに定期的な検査の費用がかかります。ケトアシドーシスなどで入院すると、費用はさらにかかります。年間の診療費について、出典のはっきりした統計は見つかりませんでした。

治療を始める前に「1か月あたりの目安」を病院で聞いておくと、家計の計画が立てやすくなります。ペット保険に入っている場合は、補償の対象になるかを保険会社に確かめましょう。保険の選び方はシニア犬のペット保険にまとめています。

病院で聞くこと

糖尿病と言われたら、家で治療を続けることになります。次のことを聞いて、紙に書いてもらうと安心です。この記事の最後に、印刷できるメモも用意しています。

  1. インスリンの種類・量・打つ時間
  2. 注射のしかたと保管のしかた(その場で練習させてもらう)
  3. ご飯を食べない・少ししか食べないとき、打ち忘れたときはどうするか
  4. 低血糖のサインと、そのとき家ですること・夜間の連絡先
  5. ご飯の種類・量、おやつ、散歩で気をつけること
  6. 次の検査と、家で記録してほしいこと
  7. 1か月あたりの費用の見込み

毎日の注射は、はじめは誰でも緊張します。慣れるまで病院に何度聞いてもかまいません。家族で分担して、ひとりで抱えこまないようにしてくださいね。

よくある質問

犬の糖尿病は治りますか?

MSD獣医マニュアルでは、ほかに原因となる病気がない犬の糖尿病は、一般に生涯つきあっていく病気とされています。インスリンの注射を続けながら、体調を保つことを目指します。くわしくは、かかりつけの獣医師に聞いてください。

糖尿病と言われました。寿命はどのくらいですか?

糖尿病と言われてからの時間は、診断されたときの状態、ほかの病気、年齢、治療への反応などで一頭一頭大きく違うため、このページでは数字をお伝えしていません。愛犬の状態をもとに、かかりつけの獣医師に「これからどんなことに気をつければいいか」を聞いてみてください。

インスリンの注射は家でできますか?

犬の糖尿病では、多くの場合、飼い主が家で注射を続けることになります。注射のしかた、量、時間、インスリンの保管のしかたは、薬の種類や犬によって違うため、必ず動物病院で教わり、練習してから始めてください。この記事では手順や量は紹介していません。

ご飯を食べないときも、インスリンを打っていいですか?

食べないときの対応は、あらかじめかかりつけの獣医師に決めてもらっておきましょう。食べない状態が続くときは、病院に電話してください。自己判断で量を増やしたり、回数を変えたりはしないでください。

治療費はどのくらいかかりますか?

保険会社が公表している請求の一例では、診察・血液検査・インスリン・注射器で合計13,500円という例があります。インスリンと注射器、定期的な検査の費用が続けてかかるので、1か月あたりの目安を病院で聞いておくと安心です。

糖尿病:病院で聞くことリスト

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • インスリンの種類・量・打つ時間(紙に書いてもらう)
  • 注射のしかたと、インスリンの保管のしかた
  • ご飯を食べない・半分しか食べないときはどうするか
  • 打ち忘れた・打ったかわからないときはどうするか
  • 低血糖のサインと、そのとき家ですること・連絡先
  • ご飯の種類・量・時間、おやつは何をどのくらいまでか
  • 散歩の量で気をつけること
  • 次の検査はいつか。家で記録してほしいこと
  • 1か月あたりの費用の見込み

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-tonyobyo/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。
  •  出典と数字を確認し、確認できなかった点の書き方を直しました。

内容の誤りや古い情報にお気づきの方は、お問い合わせからお知らせください。

この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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