急いでいる方へ:すぐ病院か、様子を見ていいか

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01 症状と受診

犬が下痢をしたとき。すぐ病院に行くべきサインと、シニア犬で気をつけること

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬の下痢とは、うんちがいつもよりやわらかく、水っぽくなったり、回数が増えたりすることです。
  • ぐったりしている、何度も吐く、血が混じる・黒い、水も飲めないときは、様子を見ずに動物病院に電話してください。
  • 元気や食欲があっても、下痢が続く・くり返すときは相談を。シニア犬は、軽く見えても早めに相談すると安心です。
  • いつから・何回・色・形を記録し、うんちの写真や新しいうんちを持っていくと、病院で伝えやすくなります。

犬が下痢をしたら、まず「元気があるか」「食欲があるか」「水を飲めているか」を見てください。ぐったりしている、何度も吐く、うんちに血が混じる・黒い、水も飲めないときは、様子を見ずにすぐ動物病院に電話します。元気そうでも、下痢が続く・くり返すときは相談を。年をとった犬は体力の余裕が少ないことがあるので、軽く見えても早めに電話して聞くと安心です。

病院では、いつから・何回・どんな色や形かを聞かれます。この記事では、すぐ電話したほうがいいサイン、病院に伝えることと記録のしかた、シニア犬で気をつけたいこと、家でできることを順に紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。

犬の下痢とは?うんちのどこを見ればいい?

犬の下痢とは、うんちがいつもよりやわらかくなったり、形がなく水っぽくなったり、回数が増えたりすることです。ドッグフードメーカーの解説では、下痢になると排便の回数が増え、うんちが液状や粘液状になることがあるとされています。

「いつもと違う」に気づくには、ふだんのうんちを知っておくことがいちばんの手がかりです。下痢かなと思ったら、次の点を見てみてください。

  • 形:いつもの形か、やわらかいか、形がないか、水のようか
  • 回数:1日に何回か。いつもより増えているか
  • 量:1回の量が多いか、少しずつ何度も出るか
  • 色:いつもの色か、黒っぽい、赤い血が混じる、白っぽい・灰色っぽいなど、ふだんと違う色か
  • ほかに混じるもの:ゼリーのような粘液、異物(布やおもちゃのかけら など)
  • 出し方:何度もいきむ、出にくそう、痛がる様子があるか
見るところメモの例
形形はあるがやわらかい/形がない/水のよう
回数朝から3回(いつもは2回)
量1回の量が多い/少しずつ何度も
色いつもの茶色/黒っぽい/赤い血が少し/白っぽい
混じるものゼリーのようなもの/異物
出し方何度もいきむ/痛がる

出典:ロイヤルカナン ジャポン「犬の消化器トラブルのサインを見つける」、オリコン ペット保険「犬の下痢」(獣医師監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

うんちの色や形が何を意味するかは、犬によって、また体の状態によって違います。色や形だけで原因を決めつけず、記録して病院に伝えることを大切にしてください。

犬が下痢をしたら、すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

次のようなときは、様子を見ずに、すぐ動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • ぐったりしている、呼んでも反応がにぶい、立てない・ふらつく
  • 何度も吐く、吐いたあとも吐こうとする
  • 水も飲めない、飲んでもすぐ吐く
  • うんちが黒くてタールのよう、または赤い血がたくさん混じる
  • 水のような下痢を何度もくり返す
  • お腹をさわると痛がる、お腹がふくれている
  • 誤食・誤飲の心当たりがある(おもちゃ、布、人の食べ物、薬 など)
  • 歯ぐきの色がいつもより白っぽい
  • 子犬、シニア犬、持病のある犬で、下痢が続いている

海外の動物病院グループ(VCA)の案内では、24時間に2回以上吐く、食べない・ぐったりしている、やわらかい・水のようなうんちを何度もくり返す、うんちに血が混じる、といった場合に受診をすすめ、立てない・歩けないほど具合が悪いときは救急病院へ、としています。米国の動物用医薬品メーカー(Merck Animal Health)の飼い主向け解説でも、軽い下痢でも獣医師に電話するのはよいことで、1〜2日以上続く、量が多い、血が混じる、食欲や水を飲む量が減る、吐くといった場合は早めに、ぐったりしているなら2日も待たずに連絡を、としています。

国内の獣医師が監修した解説でも、水のような下痢、1日に何回も起こる下痢、多量の出血、嘔吐や食欲不振・元気の低下を伴う下痢は、便を持って早めに受診するように書かれています。

黒いうんち・血が混じるうんちのとき

うんちが黒くてタールのようなとき、赤い血が混じるときは、犬の血便の記事にくわしくまとめています。黒いうんちは、すぐ病院に相談するようにすすめる獣医師の解説が多くあります。

吐いているとき

下痢と一緒に吐いているときは、体の水分が失われやすくなります。吐いたものの色や回数の見方は、犬が吐くときを読んでください。

元気も食欲もあるときは、様子を見てもいい?

「下痢はしているけれど、元気でご飯も食べている」。こんなときがいちばん迷うかもしれません。

国内の獣医師が監修した解説では、成犬で水のような下痢や血便がなく、回数もふだんと変わらず、ほかの症状もなければ、食事量を少し控えて様子を見てもよい、とするものがあります。一方で、ひどくない下痢でも長く続く場合は受診を、ともされています。

様子考え方の目安
1回だけ。元気・食欲あり、水も飲める記録をつけながら様子を見ることも。気になれば電話で相談
元気・食欲はあるが、下痢が続く動物病院に相談
元気・食欲はあるが、下痢をくり返す動物病院に相談(くり返す間隔も伝える)
ぐったり、吐く、血が混じる、水も飲めないすぐ動物病院に電話

出典:価格.com保険「犬の下痢」(獣医師 三宅亜希 監修)、Merck Animal Health「Dealing with Diarrhea in Pets」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

様子を見てよいのは、表のいちばん上のように、下痢が1回だけで、元気・食欲があり、水も飲めているときです。その場合も、うんちの回数や形を記録しておきましょう。Merck Animal Healthの飼い主向け解説では、下痢が1〜2日以上続くときは獣医師に連絡するように、としています。日数を待つ必要はないので、迷ったらその時点で電話で相談してかまいません。シニア犬や持病のある犬は、元気そうに見えても、早めに電話して聞くと安心です。

下痢をくり返すけれど、元気なとき

「良くなったと思ったら、また下痢」をくり返すときは、くり返す間隔や、何をきっかけに起こるか(フードを変えた、おやつをもらった、留守番が長かった など)をメモしておくと、病院で相談しやすくなります。一度おさまっていても、くり返す場合は相談してみてください。

動物病院に伝えること:色・回数・写真・いつから

病院では、下痢の様子をくわしく聞かれます。電話のときも、受診のときも、次のことを伝えられるようにしておくと安心です。

  1. いつから:最初に下痢をした日時
  2. 回数:24時間で何回か。だんだん増えているか
  3. 形と量:やわらかい/形がない/水のよう、1回の量
  4. 色と混じるもの:黒い、赤い血、白っぽい、粘液、異物
  5. ほかの様子:吐いたか、元気・食欲、水を飲む量、おしっこの量
  6. 心当たり:フードやおやつを変えた、拾い食い、誤食、旅行・ペットホテル・来客などの出来事
  7. 飲んでいる薬:薬の名前がわかるもの(お薬手帳や袋)

うんちの写真と、持っていき方

うんちは、写真を撮っておくと色や形を伝えやすくなります。明るいところで、真上から撮ると見やすいです。

病院に持っていく場合は、できるだけ新しいものを、密閉できる袋や容器に入れます。英国の動物病院チャリティ(PDSA)の案内では、新しい便ほど正確な情報が得られるので、できるだけ早く病院に届けるように、容器には犬の名前と採った日時を書くように、としています。Merck Animal Healthの解説では、6時間以内の新しい便を少量持っていくようにすすめています。水のような下痢で採りにくいときは、とれる分だけでかまいません。

うんちの写真は明るいところで真上から撮り、病院に持っていくときは、できるだけ新しいものを密閉できる袋や容器に入れて、名前と採った日時を書く流れを2コマで示した図
写真は明るいところで真上から。持っていくときは、できるだけ新しいものを袋や容器に入れ、名前と日時を書いておきます。イラスト:いぬのながいき手帖

記録が診察の助けになる

10歳以上の犬・猫の飼い主と獣医師を対象にした民間の調査(2023年3月)では、獣医師の9割以上が、飼い主の日々の記録は診察に「役立つ」と答えています。完璧なメモでなくてかまいません。スマートフォンのメモに、時刻と回数を書くだけでも十分です。

シニア犬の下痢で気をつけたいこと

年をとった犬は、下痢をしたときに気をつけたいことがいくつかあります。

若いころより、早めに相談を

AAHA(米国動物病院協会)がシニア犬・猫の飼い主向けにまとめた資料では、吐いたり下痢をしたりしたときは獣医師に電話するように、また、うんちに血が混じる・黒くてタールのよう・白っぽいときも電話するように、としています。国内の獣医師が監修した解説でも、子犬やシニア犬は、より早めの受診が望ましいとされています。

年をとると、体の中の水分の余裕が少なくなったり、ひとつの不調がほかの不調につながったりしやすくなります。「若いころはすぐ治ったから」と思わず、早めに電話で相談してみてください。

下痢が長く続くとき・くり返すとき

シニア犬の下痢が長く続く、くり返す、体重が減ってきた、という場合は、そのまま様子を見ずに相談しましょう。体重は、週に1回など決まったタイミングで量っておくと、変化に気づきやすくなります。

「寿命が近いの?」と心配なとき

年をとった愛犬が下痢をすると、「もう寿命が近いのでは」と不安になる方も多いと思います。けれど、下痢だけで寿命がわかるわけではありません。下痢の理由はさまざまで、相談することで楽にしてあげられることもあります。不安なときこそ、ひとりで抱えずに、かかりつけの動物病院に相談してください。犬の年齢の目安は犬の平均寿命にまとめています。

下痢とおむつ

寝たきりや、トイレまで間に合わないシニア犬では、おむつを使っていることもあると思います。下痢のときは、おむつの中で皮膚がうんちにふれる時間が長くなり、かぶれやすくなります。

  • こまめに替えて、汚れたままにしない
  • お尻まわりは、ぬるま湯でやさしく洗うか、ふき取る
  • 洗ったあとは、よく乾かしてからおむつをつける
  • 赤み・ただれがあれば、病院に伝える

おむつの中のうんちも、替えるときに色や形を見て、記録や写真に残しておきましょう。介護用品の選び方は老犬の介護用品にまとめています。

犬が下痢をしたとき、家でできることは?

すぐ病院に電話するサインがなく、病院に相談したうえで家で様子を見るときは、次のことを心がけてください。

家でできること

  • いつでも飲めるように、新しい水を用意しておく
  • 水を飲む量・おしっこの量を気にかけておく
  • 食事を抜くか、量を減らすかは、自己判断せず病院に相談する(シニア犬・持病のある犬は特に)
  • 人の薬や市販薬は与えない
  • おやつや新しいフードは、おさまるまでお休みする
  • うんちの時刻・回数・色・形をメモし、写真を撮る
  • お尻まわりを清潔にし、寝床が汚れたら替える
  • 体を冷やさないよう、寝床をあたたかく整える
  • 拾い食いができないよう、床の物を片づける

食事について、国内の獣医師が監修した解説の中には、健康な成犬なら半日〜1日食事を抜いて胃腸を休ませる方法を紹介しつつ、子犬・シニア犬・持病のある犬は、体に負担がかかるおそれがあるので事前に獣医師へ相談するように、としているものがあります。どのくらい食べさせるか、何を食べさせるかは、愛犬の年齢や体の状態によって違います。かかりつけの動物病院に聞いてください。

ご飯を食べないときの工夫は、老犬がご飯を食べないときにまとめています。

夜間・休日に下痢が始まったら

夜中や休日に、ぐったりしている・吐く・血が混じるなどの様子があれば、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞いてください。探し方と、電話で伝えることは夜間・休日に動物病院を探すにはにまとめています。症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。

下痢が続くと、飼い主も夜中の片づけで疲れてしまいます。家族で当番を分ける、汚れてもいいシーツを敷いておくなど、自分の体も休めるようにしてくださいね。

よくある質問

犬が下痢をしても、元気と食欲があれば様子を見ていいですか?

1回だけで、元気・食欲があり、水も飲めているなら、記録をつけながら様子を見ることもあります。ただし、下痢が続く・くり返す、回数が多い、血が混じるときは相談してください。シニア犬や持病のある犬は、早めに病院に電話して聞くと安心です。

下痢のとき、ご飯は抜いたほうがいいですか?

自己判断で食事を抜くのは避け、かかりつけの動物病院に相談してください。年をとった犬や持病のある犬は、食事を抜くことで体に負担がかかる場合があるとする獣医師の解説もあります。

人間用の下痢止めを飲ませてもいいですか?

人の薬や市販薬は、自己判断で与えないでください。犬には合わない成分が入っていることがあります。薬が必要かどうかは、動物病院で相談しましょう。

病院には、うんちを持っていったほうがいいですか?

持っていくと、検査や説明の手がかりになります。できるだけ新しいものを、密閉できる袋や容器に入れて持っていきます。持っていけないときは、スマートフォンで写真を撮っておきましょう。

老犬の下痢は、寿命が近いサインですか?

下痢だけで寿命はわかりません。年をとると体の変化が起こりやすくなるので、下痢が続くときは、かかりつけの動物病院に相談して、理由を一緒に探してもらいましょう。

犬の下痢:病院に電話する前のメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • いつから(最初の下痢の日時)
  • 24時間で何回か
  • うんちの形(やわらかい/形がない/水のよう)
  • 色(いつもの色/黒い/赤い血が混じる/白っぽい)
  • 粘液(ゼリーのようなもの)が混じるか
  • 吐いたか、何回か
  • 元気・食欲・水を飲む量(いつもと比べて)
  • 最近変えたもの(フード・おやつ・環境・預け先)
  • 拾い食い・誤食の心当たり
  • 飲んでいる薬
  • うんちの写真(または密閉した新しいうんち)

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-geri/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

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この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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