犬の外耳炎とは?耳が臭いときのサインと治療の流れ、家での過ごし方
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この記事のポイント
- 犬の外耳炎とは、耳の入口から鼓膜までの「外耳」に炎症が起きた状態のことです。犬で多い病気のひとつで、保険の請求データでも上位に入っています。
- 耳が臭い、耳あかが増えた・色が変わった、頭を振る、耳をかく・床にこすりつける、耳をさわられるのを嫌がる、といった変化がサインとして挙げられています。
- 首をかしげたまま戻らない、ふらつく、顔の片側が動きにくそう、痛がって耳をさわらせないときは、早めに動物病院に電話してください。
- 耳掃除のしすぎや綿棒の使用は、かえって悪化させることがあります。家でのお手入れのしかたは、かかりつけの動物病院に教えてもらいましょう。
犬の耳が臭い、耳あかが増えた、頭をよく振る。そんな変化に気づいたら、外耳炎かもしれません。自己判断で耳掃除をくり返すより、まずは動物病院で耳の中を見てもらいましょう。首をかしげたまま戻らない、ふらつく、痛がって耳をさわらせないときは、早めに電話してください。
外耳炎は、原因に合わせて耳の洗浄と薬で治療するのが一般的です。費用は、通院1回で数千円という例が公表されています。このページでは、どんな病気か、気づくサイン、すぐ電話したほうがいい様子、病院で行われること、シニア犬で気をつけたいこと、家での過ごし方、費用の例を順に紹介します。診断はしません。気になる変化があれば、かかりつけの動物病院に相談してください。
犬の外耳炎とは?どんな病気?
犬の外耳炎とは、耳の入口から鼓膜までの「外耳」に炎症が起きた状態のことです。犬の耳の穴(耳道)はL字のように曲がっていて、空気が通りにくく、湿気や熱がこもりやすいつくりになっています。
国内の獣医師が監修した解説では、主な原因として次のようなものが挙げられています。
| 原因 | 挙げられている内容 |
|---|---|
| 細菌・真菌(カビの仲間) | 増えることで悪化や長引く原因になる。湿度の高い時期に悪くなりやすい |
| 寄生虫 | 耳ダニ(ミミヒゼンダニ)。黒っぽい耳あかと強いかゆみ |
| アレルギー | アトピー性皮膚炎などがあると、外耳炎になりやすい |
| 異物 | 草の実や種(初夏の「ノギ」など)、小石、虫 |
| 耳のつくり | 垂れ耳、耳道が狭い、耳の中に毛が多い、耳あかが出やすい |
| その他 | 腫瘍など |
出典:価格.com保険「犬の外耳炎」(獣医師 三宅亜希 監修)、オリコン ペット保険「犬の外耳炎」(獣医師 松田唯 監修)、MSD Veterinary Manual「Ear Infections and Otitis Externa in Dogs」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)
米国の獣医学の手引き(MSD Veterinary Manual)の飼い主向け版では、外耳炎は犬の耳の病気でいちばん多いものとされ、原因をすべて治療しないとくり返しやすい、と説明されています。
かかりやすい犬種・年齢
垂れ耳の犬(コッカー・スパニエル、レトリバー、ダックスフンドなど)や、耳の中に毛が多く生える犬(テリア、プードルなど)がかかりやすいとされています。ただ、獣医師の解説では、犬種にかかわらず外耳炎になりやすいとも書かれています。
アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2025」でも、外耳炎(原因未定)は、保険金の請求が多い病気として0〜4歳で3位、5〜9歳で2位、10歳以上で4位に入っていて、どの年代でも身近な病気だとわかります。
犬の外耳炎の症状は?気づくサイン
外耳炎では、次のような様子がよく挙げられています。片方の耳だけのことも、両方のこともあります。
- 耳をかく、後ろ足で耳のあたりをかく
- 頭をよく振る
- 耳を床や家具にこすりつける
- 耳あかが増える、色が変わる
- 耳からいつもと違うにおいがする
- 耳の中が赤い、腫れている、湿疹がある
- 耳をさわられるのを嫌がる、怒る
耳あかの色とにおいの見方
獣医師が監修した解説では、耳あかの様子には原因ごとの特徴があるとされています。
| 耳あかの様子 | 解説で挙げられている特徴 |
|---|---|
| 黄色く、ドロッとしている | 細菌によるもので見られやすい。膿のようなにおい |
| 茶色い | 真菌(マラセチアなど)によるもので見られやすい。独特のにおい |
| 黒く、量が多い | 耳ダニによるもので見られやすい。激しいかゆみ |
出典:価格.com保険「犬の外耳炎」「犬の耳がくさい」(獣医師 三宅亜希 監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)
ただし、黒っぽい耳あかは細菌や混ざった感染でも見られることがあると、MSD Veterinary Manual では説明されています。色やにおいだけで原因は決められません。写真を撮って、病院で見てもらうときの手がかりにしてください。
犬の耳が臭いのはなぜ?外耳炎とのちがい
「犬 耳 臭い」と調べる方はとても多くいます。耳の中は蒸れやすいので、犬らしいにおいがすることはあります。けれど獣医師が監修した解説では、感染や炎症がなければ、耳はそれほど臭くならないとされています。
耳が臭いときに考えられるものとして、解説では次のようなものが挙げられています。
- 耳の中の汚れがたまっている
- 外耳炎(細菌、真菌、耳ダニ、アレルギー、異物、腫瘍など)
- 中耳炎(外耳炎が奥に広がって起こることが多い)
- 内耳炎(長引いた中耳炎から進むことが多い)
「今までかいだことのないにおいがする」「においと一緒に、耳をかく・頭を振る様子がある」ときは、病院で耳の検査を受けるようにすすめられています。においに気づいたら、まずは左右どちらか、耳あかの色と量、いつからかをメモしておきましょう。
シニア犬の耳が臭いとき
年をとった犬は、耳のにおいに気づいても「年のせいかな」と思いやすいかもしれません。けれど、においの変化は耳の中で何かが起きているサインのことがあります。シニア犬は、自分で耳をかく力が弱くなったり、かゆみをうまく伝えられなかったりすることもあるので、においや耳あかの変化を、目で見て確かめてあげてください。
すぐ病院に電話したほうがいいサインは?
次のようなときは、様子を見ずに、早めに動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。
こんなときは、早めに動物病院に電話してください
- 首をかしげたまま戻らない、まっすぐ歩けない、ふらつく、ぐるぐる回る
- 目が左右に揺れるように動く
- 顔の片側が動きにくそう(まぶたが閉じにくい、口元が下がる など)
- 痛がって耳をさわらせない、さわると鳴く・怒る
- 耳から膿や血が出ている
- 耳の穴が腫れてふさがっている
- 耳たぶ(耳介)が急にぷっくり腫れた
- かゆみで眠れない、耳のまわりをかき壊して出血している
- 呼びかけへの反応がにぶい、聞こえにくそう
獣医師が監修した解説では、炎症が中耳まで広がると、頭を振る、首をかしげる、目の動きがおかしい、歩くとふらつくといった様子が見られ、顔の神経に影響すると顔の麻痺が出ることもあるとされています。内耳まで広がると、聞こえにくさや、瞳の大きさの左右差などが見られ、重い場合は入院が必要になることもあるとされています。
ほかの症状ごとの受診の目安は、すぐ病院か確かめるでも確かめられます。
病院ではどんな検査・治療をする?
ここでは、獣医師が監修した解説などに書かれている一般的な流れを紹介します。愛犬にどの検査や治療が必要かは、診察した獣医師が決めます。
検査の流れ
- 問診:いつから、どちらの耳か、かゆみや痛みはあるか、これまでの治療など
- 耳の外側と中の観察:赤み・腫れ・におい、耳あかの様子
- 耳鏡での確認:耳の穴の奥や鼓膜を見る。痛みが強い、汚れがひどいときは、鎮静や麻酔をして専用のカメラで見ることもある
- 耳あかの検査:顕微鏡で細菌・真菌・耳ダニなどを調べる。必要に応じて、どの薬が効くか調べる検査(培養)
- 原因を探す検査:くり返す・長引く場合や、片方だけの場合などに、アレルギーの検査、レントゲン・CT・MRIなど
治療の流れ
| 治療 | 解説で挙げられている内容 |
|---|---|
| 耳の洗浄 | 病院で行うほか、家で行うよう指導されることもある。汚れが残ると薬が効きにくくなるため、薬の前に洗浄する |
| 点耳薬 | 原因に合わせて、細菌・真菌・炎症を抑える成分の薬を使う |
| 飲み薬・注射 | 炎症が強い、長引いている、中耳まで広がっている疑いがあるときなど |
| 原因への治療 | 耳ダニの駆除、異物の除去、アレルギーの治療など |
| 手術 | 慢性化して治りにくい場合に検討されることがある |
出典:価格.com保険「犬の外耳炎」(獣医師監修)、オリコン ペット保険「犬の外耳炎」(獣医師監修)、MSD Veterinary Manual「Ear Infections and Otitis Externa in Dogs」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)
軽いものは1週間ほどでよくなることが多いとする解説がある一方、MSD Veterinary Manual では、細菌や真菌によるものは2〜4週間ほど再診が必要なことが多く、長引いたものは数か月かかったり、ずっとケアが必要になったりすることもあるとしています。見た目がよくなっても、自己判断で薬をやめず、再診で「やめてよい」と言われるまで続けましょう。
シニア犬の外耳炎で気をつけたいこと
くり返すときは、原因を一緒に探す
外耳炎をくり返すときは、耳だけでなく、アレルギーや皮膚の病気、ホルモンの病気など、体のほかの状態が関わっていることもあります。年をとった犬では、ほかの持病と一緒に考える必要が出てくることもあります。「また外耳炎になった」と感じたら、くり返す理由を探す検査について、獣医師に聞いてみてください。皮膚のトラブルが一緒にある場合は、犬の膿皮症も参考にしてください。
麻酔が必要と言われたとき
痛みが強い耳や、奥までふさがった耳を調べたり洗ったりするとき、鎮静や麻酔が必要になることがあります。シニア犬だと心配になりますよね。麻酔の前にどんな検査をするか、麻酔をしない場合にできることは何か、それぞれのよいところと負担を、遠慮なく聞いてかまいません。
聞こえにくさ・年のせいと決めつけない
年をとると耳が遠くなることがありますが、外耳炎や中耳炎で聞こえにくくなることもあります。呼んでも振り向かない、急に耳をさわられるのを嫌がるようになった、といった変化も、健康診断や受診のときに伝えておきましょう。年に1〜2回の健康診断で耳の中も見てもらうと安心です。
外耳炎の犬との家での過ごし方
病院で治療を始めたら、家では次のことを心がけてください。
家でできること
- 点耳薬・飲み薬は、言われた回数と期間を守る。よくなってもやめずに再診へ
- 家での耳の洗浄は、病院で教わったやり方・頻度・洗浄液で行う
- 綿棒で耳の奥をこすらない(汚れを奥に押しこむことがある)
- お酢など、自己流の液を耳に入れない
- シャンプーのときは、耳に水が入らないようにする。入ったらやさしくふき取る
- トリミングのあとは、耳の中に水が残っていないか見る
- 耳の中の毛を抜く・切るのは、獣医師に相談してから
- においや耳あかの様子を、写真やメモで記録する
- かき壊すときは、エリザベスカラーなどについて病院に相談する
耳掃除のやり方と頻度は、病院で教わる
耳掃除は、耳を清潔にするために必要とされる一方で、やりすぎたり、やり方をまちがえたりすると、耳を傷つけて外耳炎の原因や悪化につながることがあると、獣医師の解説で注意されています。MSD Veterinary Manual でも、綿棒は汚れを奥に押しこむので避けること、獣医師がすすめる洗浄液を使うこと、治療の初めは毎日、その後は週1〜2回など、獣医師の指示に合わせることが書かれています。
どのくらいの頻度で、何を使って、どこまで掃除するかは、耳の状態によって違います。家で無理をするより、病院で定期的に洗ってもらうほうがよい場合もあるとされています。かかりつけの動物病院で、実際にやって見せてもらうと安心です。
梅雨や夏は、こまめに耳を見る
湿度が高い時期は外耳炎が悪くなりやすいとされています。梅雨や夏は、耳の中をのぞいて、赤み・耳あか・においをこまめに確かめましょう。耳をさわられるのが苦手な犬は、ふだんから耳のまわりをやさしくなでて、慣らしておくと、いざというときに見やすくなります。
外耳炎の治療にかかる費用は?
費用は、検査の内容、通院の回数、治療の方法、病院によって大きく変わります。参考として、保険会社が公表している例を紹介します。
| 項目 | 金額の例 |
|---|---|
| 診察 | 800円 |
| 処置 | 800円 |
| 薬 | 1,400円 |
| 合計 | 3,000円 |
出典:価格.com保険「犬の外耳炎」(獣医師 三宅亜希 監修)。トイ・プードル(3歳)が1回通院した例で、アイペット損害保険のデータにもとづく参考例。平均や実際の支払い例を示すものではなく、金額は病院によって異なる(2026年10月23日に確認)
| 年齢 | 請求割合 | 年間診療費の平均値 | 年間診療費の中央値 |
|---|---|---|---|
| 0〜4歳 | 8.1% | 18,121円 | 10,560円 |
| 5〜9歳 | 7.0% | 25,021円 | 13,211円 |
| 10歳以上 | 5.8% | 28,936円 | 14,080円 |
出典:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2025」。外耳炎(原因未定)で保険金請求があった犬の、通院・入院・手術を含む年間診療費(2023年4月〜2024年3月開始の契約)(2026年10月23日に確認)
年齢が上がるほど年間の診療費の平均が高くなっていて、くり返したり長引いたりすることがうかがえます。治療を始める前に「今回の検査と治療でいくらか」「何回くらい通うか」を聞いておくと安心です。ペット保険に入っている場合は、補償の対象になるかを保険会社に確かめましょう。選び方はシニア犬のペット保険にまとめています。
外耳炎と言われたら、病院で聞くこと
- 原因は何か(細菌・真菌・耳ダニ・アレルギー・異物など)。それはどの検査でわかったか
- 鼓膜や中耳は大丈夫か
- 薬の使い方と期間。次の再診はいつか
- 家での耳の洗浄は必要か。必要なら、やり方・頻度・洗浄液
- すぐ電話してほしい様子は何か
- くり返す場合、原因を探すためにどんな検査があるか
- 費用の見込み
診察室では緊張して聞きそびれることもあります。この記事の最後に、印刷できるメモを用意しました。家族に様子を伝えるときは、このページを送って共有するのもおすすめです。
よくある質問
犬の耳が臭いのは、外耳炎ですか?
耳のにおいだけでは決められません。ただ、獣医師が監修した解説では、感染や炎症がなければ耳はそれほど臭くならないとされ、いつもと違うにおい、耳あかが増えた、かゆがるといった様子があるなら、病院で耳の検査を受けるようすすめられています。においの種類、耳あかの色、いつからかをメモして相談してください。
外耳炎は、家の耳掃除で治りますか?
外耳炎になっている場合、耳掃除だけでは治らないとする獣医師の解説があります。原因(細菌、真菌、耳ダニ、アレルギー、異物など)によって使う薬が違うため、まず病院で調べてもらいましょう。家での洗浄が必要なときは、やり方と頻度を病院で教えてもらってください。
外耳炎はどのくらいで治りますか?
原因や程度によって違います。軽いものは1週間ほどでよくなることが多いとする解説がある一方、長く続いているものは数か月かかったり、治療を続ける必要があったりすることもあります。見た目がよくなっても、再診で「やめてよい」と言われるまで続けることが大切です。
外耳炎で寿命が縮みますか?
外耳炎そのものについて、寿命を数字でお伝えすることはできません。ただ、くり返したり長引いたりすると、かゆみや痛みで眠れないなど、毎日の過ごしやすさに関わります。今の状態とこれからのことは、かかりつけの獣医師と話してみてください。
治療費はどのくらいかかりますか?
保険会社の請求データをもとにした一例では、通院1回で合計3,000円(診察・処置・薬)という例があります。アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2025」では、外耳炎(原因未定)で請求があった10歳以上の犬の年間診療費は、平均28,936円・中央値14,080円でした。病院や治療の内容によって変わります。
耳が気になるとき:病院に持っていくメモ
印刷して、終わったものに印をつけて使えます。
- いつから気になったか(においに気づいた日、かき始めた日)
- 左右どちらの耳か、両方か
- においの感じ(いつもと違う、すっぱい、膿のよう など)
- 耳あかの色と量(黄色・茶色・黒、増えたか)。できれば写真
- 頭を振る・耳をかく・床にこすりつける回数が増えたか
- 耳をさわると嫌がる・怒るか
- 首をかしげる、ふらつく、顔の片側が動きにくい様子があるか
- 最近のシャンプー・トリミング・水遊び、家での耳掃除のしかた
- 皮膚のかゆみや赤みなど、耳以外の変化
- これまでの外耳炎の治療歴と、使った薬
いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-gaijien/
参考にした情報
- 価格.com保険「犬の外耳炎」(獣医師 三宅亜希 監修)
- 価格.com保険「犬の耳がくさい」(獣医師 三宅亜希 監修)
- 価格.com保険「犬の中耳炎」(獣医師 三宅亜希 監修)
- オリコン ペット保険「犬の外耳炎」(ガイア動物病院 院長 松田唯 監修)
- MSD Veterinary Manual(Pet Owner Version)「Ear Infections and Otitis Externa in Dogs」
- アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2025」第2部第3章 どうぶつの診療費と診療内容
制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。
この記事の更新履歴
- 獣医師の監修を経て公開しました。
- アニコム白書の表で、平均値・中央値の列を確かめました。
内容の誤りや古い情報にお気づきの方は、お問い合わせからお知らせください。
この記事を書いた人
老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。