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犬の膿皮症とは?皮膚炎のサインと治療の流れ、家での過ごし方

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体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬の膿皮症とは、皮膚にもともといる細菌(主にブドウ球菌)が増えて、皮膚に炎症が起きる病気のことです。アレルギーやホルモンの病気など、別の原因があって起こることが多いとされています。
  • 赤いブツブツ、膿をもった湿疹、輪のように広がるフケやかさぶた、毛が抜ける、かゆがるといった変化がサインとして挙げられています。
  • 痛がる、腫れて熱をもつ、血や膿がにじむ、においが強い、元気や食欲がないときは、早めに動物病院に電話してください。
  • 飲み薬や薬用シャンプーは、よくなって見えても指示された期間続けることが大切です。シャンプーの頻度や方法は、病院の指示に合わせましょう。

愛犬の皮膚に赤いブツブツや膿をもった湿疹、輪のように広がるフケが出てきたら、膿皮症かもしれません。かゆがる・なめる様子があれば、早めに動物病院で見てもらいましょう。痛がる、腫れて熱をもつ、血や膿がにじむ、元気がないときは、様子を見ずに電話してください。

膿皮症は、検査で細菌を確かめ、飲み薬・塗り薬・薬用シャンプーで治療するのが一般的です。費用は、通院1回で1万円前後という例が公表されています。このページでは、どんな病気か、皮膚炎との違い、気づくサイン、すぐ電話したほうがいい様子、病院で行われること、シニア犬で気をつけたいこと、家での過ごし方、費用の例を順に紹介します。診断はしません。気になる変化があれば、かかりつけの動物病院に相談してください。

犬の膿皮症とは?どんな病気?

犬の膿皮症とは、皮膚にもともといる細菌(主にブドウ球菌)が増えて、皮膚に炎症が起きる病気のことです。国内の獣医師が監修した解説では、ほかの皮膚の病気や免疫力の低下、合わないスキンケアなどで皮膚の抵抗力が落ちたときに起こりやすいとされています。犬の皮膚は人より薄く、性質も違うため、細菌が増えやすいとも説明されています。

米国の獣医学の手引き(MSD Veterinary Manual)の飼い主向け版では、膿皮症は「皮膚に膿がある状態」という意味の言葉で、犬でよく見られ、多くはアレルギーや寄生虫など、ほかの原因に続いて起こる浅い細菌の感染だとされています。

浅いもの・深いもの

膿皮症は、炎症が皮膚のどのくらいの深さまで及んでいるかで分けて説明されます。

種類解説で挙げられている様子
表面のもの皮膚の表面の赤み、かゆみ
浅いもの赤いブツブツ、膿をもった湿疹、毛が抜ける。あとからフケや黒ずみ
深いもの腫れ、毛が抜ける、ただれ、痛み、血や膿がにじむ、におい

出典:価格.com保険「犬の膿皮症」(獣医師 三宅亜希 監修)、MSD Veterinary Manual「Pyoderma in Dogs」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

唇や顔・首のしわ、わきの下、足先などの温かく湿りやすいところや、ひじなど床にあたるところに起こりやすいとされています。どの犬種でも起こり、ジャーマン・シェパードは治りにくい深い膿皮症になりやすいと書かれています。

アニコム損保の「家庭どうぶつ白書2025」でも、膿皮症・細菌性皮膚炎は、保険金の請求が多い病気として0〜4歳と5〜9歳で5位、10歳以上で8位に入っています。

「犬の皮膚炎」と膿皮症はどう違う?

「犬 皮膚炎」は、皮膚に炎症が起きている状態をまとめて呼ぶ言葉です。膿皮症は、その中でも細菌が増えて起こるものを指します。獣医師が監修した解説では、犬の皮膚炎・皮膚病には次のようなものが挙げられています。

種類解説で挙げられている特徴
膿皮症ブドウ球菌の感染。膿をもった湿疹、かゆみ、赤み、フケ
アトピー性皮膚炎花粉やハウスダストなどへの過敏な反応。かゆみ、赤み、湿疹。外耳炎を一緒に起こすことも
マラセチア皮膚炎皮膚の真菌(マラセチア)が増える。赤み、かゆみ、においが強い。皮脂の多い犬に多い
ノミアレルギー性皮膚炎ノミの唾液へのアレルギー。強いかゆみ、赤い発疹、毛が抜ける
皮膚糸状菌症真菌の感染。円い脱毛。人にうつることもある
毛包虫症(ニキビダニ症)ダニの一種が増える。脱毛、ただれ。子犬や高齢犬で全身に出ることがある
甲状腺機能低下症(ホルモンの病気)脱毛、フケ、元気がない、寝てばかりいる

出典:オリコン ペット保険「犬の皮膚病」(獣医師 松田唯 監修)、価格.com保険「犬の皮膚病」(獣医師 三宅亜希 監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

これらは一緒に起こることも多く、たとえばアトピー性皮膚炎やノミのアレルギーでかゆくてかき壊したところに、膿皮症が起こることもあります。見た目だけで区別するのはむずかしいので、検査で原因を確かめてもらいましょう。皮膚の病気は、治るまで数週間から数か月かかることが一般的とされています。

皮膚炎の症状は?

皮膚炎全体で、次のような症状が挙げられています。

  • 赤み、発疹、湿疹、ただれ
  • 膿をもったブツブツ、かさぶた
  • 毛が抜ける、薄くなる
  • 皮膚がベタつく、フケが多い
  • かゆみ(なめる、かく、かじる、こすりつける)
  • 痛み、においがする

かゆみが強いと、眠れなくなったり、かき壊して血が出たりすることもあります。耳のかゆみやにおいもあるときは、犬の外耳炎も読んでみてください。

犬の膿皮症の症状は?気づくサイン

膿皮症で飼い主が気づきやすい変化として、次のようなものがあります。

  • お腹・わき・内もも・背中などに、赤いブツブツや膿をもった湿疹がある
  • 輪のような形に、フケやかさぶたが広がっている
  • 毛が抜けて、ところどころ薄くなっている
  • 治ったあとが黒ずんでいる
  • 体をなめる・かく回数が増えた
  • 皮膚からにおいがする

毛の短い犬では、じんましんのようなぽつぽつがいくつもできることがあり、じんましんと違って、その部分の毛が抜けやすいとされています。毛の長い犬は皮膚が見えにくいので、ブラッシングのときに毛をかき分けて見てあげてください。

横向きの犬の体で、唇・顔・首のしわ、わきの下、ひじ、足先、背中、お腹・内ももに印をつけた、皮膚を見ておきたい場所の図
膿皮症が起こりやすいとされる場所と、赤いブツブツや湿疹に気づきやすい場所です。イラスト:いぬのながいき手帖

すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

次のようなときは、様子を見ずに、早めに動物病院に電話してください。

こんなときは、早めに動物病院に電話してください

  • 皮膚をさわると痛がる、鳴く、怒る
  • 皮膚が腫れて熱をもっている
  • 血や膿がにじむ、ただれている
  • においが強い
  • 赤みやブツブツが急に広がっている
  • かゆみで眠れない、かき壊して出血している
  • 元気がない、食欲がない、熱っぽい
  • 足先が腫れて、歩き方がおかしい

MSD Veterinary Manual では、痛み、かさぶた、におい、血や膿のにじみ、腫れ、ただれなどが、深い膿皮症の様子として挙げられています。深いものは治療に時間がかかることが多いので、気づいたら早めに相談しましょう。

病院ではどんな検査・治療をする?

ここでは、獣医師が監修した解説などに書かれている一般的な流れを紹介します。愛犬にどの検査や治療が必要かは、診察した獣医師が決めます。

検査の流れ

  1. 問診と皮膚の観察:いつから、どこから始まったか、かゆみ、シャンプーや予防薬、これまでの治療など
  2. 皮膚の検査:皮膚の表面や膿を取って顕微鏡で細菌を見る。ダニがいないかを調べるため皮膚を少しこすり取る検査をすることも
  3. 細菌の培養:くり返す場合などに、どの薬が効くか調べる
  4. 原因を探す検査:血液検査(ホルモンなど)、アレルギーの検査、画像検査、皮膚の一部を取る検査(生検)など

治療の流れ

治療解説で挙げられている内容
塗り薬・消毒表面のもので使われることが多い
飲み薬(抗菌薬)浅いもの・深いもので使われることが多い
薬用シャンプー皮膚を清潔にし、治療を助ける。頻度は獣医師が決める
毛を刈る深いものや、毛の長い犬で行われることがある
エリザベスカラーなめる・かじるときに
背景の病気の治療アレルギー、ノミ、ホルモンの病気など

出典:価格.com保険「犬の膿皮症」(獣医師監修)、MSD Veterinary Manual「Pyoderma in Dogs」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

治療期間について、国内の解説では、浅いものは3週間ほどでよくなることが多く、深いものは1か月以上薬を続ける必要があるとされています。MSD Veterinary Manual では、抗菌薬は少なくとも3週間(できれば4週間)続け、症状が消えてから少なくとも7日は続けること、くり返すもの・深いものは8〜12週間以上かかることもあるとされています。途中でやめると、細菌が残ってまた増え、くり返す原因になるとも説明されています。

シニア犬の膿皮症で気をつけたいこと

くり返すときは、ホルモンの病気なども一緒に考える

MSD Veterinary Manual では、膿皮症の背景として、ノミ、アレルギー、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、手入れ不足などが挙げられています。甲状腺機能低下症やクッシング症候群は、中高齢の犬で見られることがあるホルモンの病気です。年をとってから膿皮症をくり返すようになった、毛が薄くなった、水をよく飲む、元気がない、といった変化があれば、あわせて伝えてください。クッシング症候群については犬のクッシング症候群にまとめています。

床ずれ・おむつのところに注意

寝ている時間が長いシニア犬は、ひじや腰など床にあたるところ、おむつの中の蒸れやすいところで、皮膚のトラブルが起こりやすくなります。寝返りの介助、やわらかい寝床、おむつのこまめな交換で、清潔で乾いた状態を保つようにしましょう。用品は老犬の介護用品にまとめています。

できもの・イボとの見分け

年をとると、皮膚にできものやイボができることも増えます。膿皮症のブツブツと見分けにくいこともあるので、大きくなる、出血する、数が増えるといった変化があれば、写真を撮って相談してください。老犬のイボ・できものも参考にしてください。

シャンプーの負担を考える

治療で薬用シャンプーを指示されても、シニア犬は長く立っていられない、体が冷えやすいなど、負担が大きいこともあります。続けるのがむずかしいときは、回数や方法、ほかの治療の選択肢がないか、遠慮せず獣医師に相談してください。

膿皮症の犬との家での過ごし方

病院で治療を始めたら、家では次のことを心がけてください。

家でできること

  • 飲み薬・塗り薬は、言われた回数と期間を守る。見た目がよくなってもやめずに再診へ
  • 薬用シャンプーは、病院で教わった頻度・時間・すすぎ方で行う
  • シャンプーのあとは、皮膚までしっかり乾かす
  • 自己判断で人の薬や市販の塗り薬を使わない
  • なめる・かじるときは、エリザベスカラーや服について病院に相談する
  • 寝床やタオルはこまめに洗い、清潔で乾いた状態に
  • ノミ・マダニの予防を続ける
  • 暑さや湿気がこもらないよう、室温・湿度を整える
  • 皮膚の様子を同じ場所・同じ明るさで写真に撮って記録する

シャンプーの頻度は、病院の指示に合わせる

シャンプーは、皮膚を清潔に保つために大切です。一方で、洗いすぎや合わないシャンプーは、皮膚を守る皮脂を落としてバリアを弱め、かえって皮膚のトラブルにつながることがあると、獣医師の解説で注意されています。

治療中は、薬用シャンプーの回数を増やすよう指示されることがあり、MSD Veterinary Manual では、薬用シャンプーは皮膚に10分ほどつけておく必要がある、といった使い方も紹介されています。けれど、どのくらいの頻度で、どのシャンプーを使うかは、皮膚の状態によって違います。治療中も、よくなってからの予防のときも、かかりつけの獣医師に聞いて決めてください。

膿皮症・皮膚炎の治療にかかる費用は?

費用は、検査の内容、体の大きさ(薬の量)、治療期間、病院によって大きく変わります。参考として、保険会社が公表している例を紹介します。

項目金額の例
診察1,000円
皮膚の検査2,500円
細菌の培養検査7,000円
薬2,000円
合計12,500円

出典:価格.com保険「犬の膿皮症」(獣医師 三宅亜希 監修)。ゴールデン・レトリーバー(3歳)が1回通院した例で、保険金請求データにもとづく参考例。平均を示すものではなく、金額は病院によって異なる(2026年10月23日に確認)

年齢請求割合年間診療費の平均値年間診療費の中央値
0〜4歳4.0%20,590円9,900円
5〜9歳4.2%31,858円14,025円
10歳以上3.5%42,035円16,610円

出典:アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書2025」。膿皮症・細菌性皮膚炎で保険金請求があった犬の、通院・入院・手術を含む年間診療費(2023年4月〜2024年3月開始の契約)(2026年10月23日に確認)

同じ白書では、アレルギー性皮膚炎(抗原特異的)で請求があった5〜9歳の犬の年間診療費は平均65,107円と、皮膚の病気の中でも高めでした。皮膚の病気は長く付き合うことも多いので、治療を始める前に「1か月あたりいくらか」を聞いておくと計画が立てやすくなります。ペット保険の補償については保険会社に確かめましょう。選び方はシニア犬のペット保険にまとめています。

膿皮症と言われたら、病院で聞くこと

  1. 浅いものか、深いものか
  2. 背景に考えられる原因は何か。原因を探す検査は必要か
  3. 薬の種類・使い方・期間。次の再診はいつか
  4. シャンプーの頻度・使うもの・方法
  5. すぐ電話してほしい様子は何か
  6. 同居の犬や家族に気をつけることはあるか
  7. 費用の見込み(今回、1か月あたり)

この記事の最後に、印刷できるメモを用意しました。皮膚の写真を日付ごとに残しておくと、治療の効き具合を獣医師と一緒に確かめやすくなります。

よくある質問

膿皮症は人やほかの犬にうつりますか?

膿皮症の多くは、その犬の皮膚にもともといる細菌が増えて起こるもので、背景にアレルギーなど別の原因があることが多いとされています。同居の犬や家族への影響が心配なときは、かかりつけの獣医師に聞いてください。

膿皮症はどのくらいで治りますか?

皮膚の浅いところのものは3週間ほど、深いところまで及ぶものは1か月以上の治療が必要とする解説があります。くり返すもの・深いものは8〜12週間以上かかることもあるとされます。症状が消えたあとも、獣医師に言われた期間は薬を続けてください。

シャンプーはどのくらいの頻度ですればいいですか?

愛犬の皮膚の状態や使う薬用シャンプーによって違うため、かかりつけの獣医師に聞いてください。治療中は回数を増やすよう指示されることがある一方、洗いすぎは皮膚のバリアを弱めることもあるとされています。

膿皮症をくり返すのはなぜですか?

アレルギー、ノミ、甲状腺の病気やクッシング症候群などのホルモンの病気といった、背景にある原因が治療されていないことや、薬を途中でやめたことが、くり返す理由として挙げられています。くり返すときは、原因を探す検査について獣医師に相談してください。

膿皮症や皮膚炎で寿命は縮みますか?

膿皮症や皮膚炎そのものについて、寿命を数字でお伝えすることはできません。背景にほかの病気がある場合はその病気によっても変わります。かゆみや痛みは毎日の過ごしやすさに関わるので、今の状態とこれからのことを、かかりつけの獣医師と話してみてください。

皮膚が気になるとき:病院に持っていくメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • いつから気になったか、どこから始まったか
  • 場所(お腹・わき・背中・足先・顔 など)と、広がり方
  • 見た目(赤いブツブツ・膿・輪のようなフケ・かさぶた・脱毛・黒ずみ)の写真
  • かゆみの強さ(なめる・かく・かじる回数、夜眠れているか)
  • 痛がる・さわると嫌がるか、においがあるか
  • シャンプーの頻度と使っているシャンプー
  • ノミ・マダニ予防をしているか
  • 最近変えたもの(フード・おやつ・寝床・洗剤)
  • 水を飲む量・食欲・体重・元気の変化
  • これまでの皮膚の治療歴と、使った薬(とくにステロイド)

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-nouhisho/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。
  •  アニコム白書の表で、平均値・中央値の列を確かめました。

内容の誤りや古い情報にお気づきの方は、お問い合わせからお知らせください。

この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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