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犬のクッシング症候群とは?気づくサインと治療の流れ、家での過ごし方

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは、副腎から出るコルチゾールというホルモンが多すぎる状態が続く病気のことです。中高齢の犬に多いとされています。
  • 水をよく飲む・おしっこが増える、よく食べる、お腹が膨れる、左右対称に毛が薄くなる、息が荒い(パンティング)などが、飼い主が気づきやすいサインとして挙げられています。
  • 原因の多くは脳下垂体の腫瘍で、副腎の腫瘍によるものもあります。病院では血液検査・ホルモンの検査・超音波検査などで調べ、内服薬や手術などを相談して決めます。
  • 家では、水を飲む量・食欲・体重・皮膚と毛の様子を記録しておくと、受診や治療の調整のときに役立ちます。

犬のクッシング症候群は、副腎から出るホルモンが多すぎる状態が続く病気で、中高齢の犬に多いとされています。水をよく飲む・おしっこが増える、よく食べる、お腹がぽっこり膨れる、体の左右の毛が薄くなるといった変化で気づくことが多い病気です。「年のせいかな」と思う変化が重なっていたら、水を飲む量や体重をメモして、かかりつけの動物病院に相談しましょう。病院では血液検査やホルモンの検査、超音波検査などで調べ、原因に合わせて治療を考えていきます。

このページでは、どんな病気か、気づくサイン、すぐ電話したほうがいい様子、病院で行われること、シニア犬で気をつけたいこと、家での過ごし方、費用の例を順に紹介します。診断はしません。気になる変化があれば、かかりつけの動物病院に相談してください。

犬のクッシング症候群とは?どんな病気?

犬のクッシング症候群とは、副腎(腎臓の近くにある小さな臓器)から出る「コルチゾール」というホルモンが多すぎる状態が続き、体にさまざまな影響が出る病気のことです。正式には「副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)」といいます。

コルチゾールは、脳の下垂体から出るホルモン(ACTH)の指令を受けて副腎から出ます。獣医師が監修した解説や大学の資料では、原因は大きく次のように分けられています。

原因どんなもの割合の目安
下垂体性脳の下垂体の腫瘍が指令ホルモンを出しすぎる犬の約80〜85%
副腎腫瘍性副腎の腫瘍がコルチゾールを出しすぎる約10〜20%
医原性ステロイドの薬を長く使ったことによるもの—

出典:MSD Veterinary Manual「Cushing Syndrome (Hyperadrenocorticism) in Animals」、岐阜大学 獣医内科学研究室「副腎皮質機能亢進症の診療」、価格.com保険「犬のクッシング症候群」(獣医師監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

岐阜大学の資料では、下垂体の腫瘍の多くは良性とされる一方、大きくなると脳を圧迫して神経の症状が出ることがあると説明されています。ステロイドの薬を飲んでいる場合は、自己判断でやめず、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。

かかりやすい年齢・犬種

MSD獣医マニュアルは中年〜高齢の犬に多いとしており、国内の獣医師が監修した解説では、とくに8歳以上で発症のリスクが高まるとされています。プードル、ダックスフンド、ボストン・テリアなどで多いという報告がある一方、どの犬種でも起こりうるとされています。

犬のクッシング症候群の症状は?気づくサイン

国内の獣医師が監修した解説と、MSD獣医マニュアルでは、次のような変化が挙げられています。ひとつひとつは「年をとったから」と見過ごしやすい変化です。

気づくサインどんな様子か
水をよく飲む・おしっこが増える水入れがすぐ空になる、トイレの回数・量が増える、粗相が増える
よく食べる前より食べ物を欲しがる、あさる
お腹が膨れる太ったわけではないのに、お腹がぽっこり垂れ下がる
毛が薄くなる胴体の毛が左右対称に薄くなる、刈った毛が生えてこない
皮膚の変化皮膚が薄くなる、黒ずむ、皮膚のトラブルをくり返す
息が荒い暑くないのにハァハァと息をする(パンティング)
筋肉が落ちる足腰が弱って散歩に行きたがらない、疲れやすい

出典:価格.com保険「犬のクッシング症候群」(獣医師 三宅亜希 監修)、オリコン ペット保険「犬のクッシング症候群」(獣医師 安田賢 監修)、MSD Veterinary Manual をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

立っている犬の絵に、ハァハァする口元、胴体の毛、皮膚、お腹、足腰を示し、水をよく飲む・おしっこが増える、よく食べるという変化を添えた図
ひとつひとつは「年のせい」に見えやすい変化です。いくつか重なっているときは相談してみてください。イラスト:いぬのながいき手帖

岐阜大学の資料では、水をよく飲む・おしっこが多いという変化が受診のきっかけになることが多いとされています。下垂体の腫瘍が原因の場合、ぐるぐる歩く・夜鳴きなどの神経の症状をともなうことがあるとする解説もあります。

水をよく飲むときは、量を量ってみる

水を飲む量が増える理由は、クッシング症候群のほかにも、腎臓の病気や糖尿病などいくつもあります。量だけで病気は決められませんが、「どのくらい増えたか」は大切な手がかりです。朝に器へ入れた量と、翌朝に残った量の差をメモしておくと、病院で伝えやすくなります。くわしい量り方は犬が水をよく飲むときにまとめています。

すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

クッシング症候群は、ふつうはゆっくり進む病気です。ただ、次のような様子があるときは、様子を見ずにすぐ動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • 急に呼吸が苦しそう、横になれない、舌や歯ぐきの色が悪い
  • ぐったりしている、立てない、ふらつく
  • けいれんした、ぐるぐる回る・ぼんやりするなど、急に様子が変わった
  • 何度も吐く、水も飲めない
  • 治療の薬を始めてから、元気がない・食べない・吐く・下痢をする
  • 水を飲む量が急に増えたうえに、食欲が落ちてやせてきた

国内の獣医師が監修した解説では、クッシング症候群は糖尿病、膵炎、高血圧、血栓塞栓症(血のかたまりが血管につまる病気)などを併発しやすいとされています。急な変化があるときは、ほかの病気が隠れていることもあるので、早めに相談しましょう。

病院ではどんな検査・治療をする?

検査の流れ

病院では、問診と体の診察のあと、次のような検査を組み合わせて調べるのが一般的です。

  • 血液検査・尿検査:肝臓の数値(ALP)の上昇や、尿の濃さなどを見る
  • ホルモンの検査:薬を注射して、前後のコルチゾールの変化を見る(数回の採血が必要)
  • 超音波(エコー)検査:副腎の大きさや形、腫瘍がないかを見る
  • CT・MRI検査:下垂体の腫瘍の大きさを見る(全身麻酔が必要)

MSD獣医マニュアルでは、ホルモンの検査にはいくつかの種類があり、目的によって使い分けると説明されています。どの検査をするかは、愛犬の様子と体への負担を考えて獣医師が判断します。

治療の選択肢

治療どんなものか
内服薬コルチゾールの量を抑える薬を飲み続ける。下垂体性で基本となる治療
手術副腎の腫瘍を取り除く。副腎腫瘍性で第一の選択肢とされる
放射線治療下垂体の腫瘍が大きいときに検討される

出典:価格.com保険「犬のクッシング症候群」(獣医師監修)、オリコン ペット保険「犬のクッシング症候群」(獣医師監修)、MSD Veterinary Manual をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

獣医師が監修した解説では、下垂体性の場合、内服薬は生涯続けることが多く、根本から治す治療ではないとされています。副腎の腫瘍は手術が第一の選択肢ですが、ほかの臓器に広がっている場合は手術できないこともあります。MSD獣医マニュアルは、副腎の手術は体への負担が大きく、手術を受けられるかの見極めが大切だとしています。下垂体の手術ができる病院は限られています。

内服の治療を始めると、薬の量を調整するために定期的に検査を受けます。どのくらいの間隔で通うか、家で何を見ておけばいいかを、最初に聞いておきましょう。

シニア犬のクッシング症候群で気をつけたいこと

「年のせい」と見分けにくい

毛が薄くなる、お腹が出る、散歩に行きたがらない、たくさん食べる。どれもシニア犬ではよく見られる変化なので、病気のサインだと気づきにくいことがあります。いくつかが重なっているときや、水を飲む量が増えているときは、健康診断のついでに相談してみてください。定期的な健康診断についてはシニア犬の健康診断にまとめています。

ほかの病気と一緒に考える

年をとった犬は、ほかの持病を持っていることも多いものです。クッシング症候群は、糖尿病や膵炎などを併発しやすいとされています。MSD獣医マニュアルでも、クッシング症候群は体がインスリンに反応しにくい状態を起こし、糖尿病につながることがあると説明されています。持病の薬を飲んでいる場合は、すべて獣医師に伝えましょう。関連する病気は犬の糖尿病、犬の膵炎にまとめています。

治療をどこまでするか、家族で話しておく

検査や治療には、通院や麻酔をともなうものもあります。年齢や体力、ほかの病気、通院の負担、費用も考えて、「どこまで検査をするか」「どの治療を選ぶか」を獣医師と相談して決めてかまいません。迷うときは、選択肢ごとに「よいところ」と「負担」を聞いてみてください。

クッシング症候群と言われたら、寿命はどのくらい?

「クッシング症候群 寿命」で調べる方は多いと思います。けれど、原因が下垂体か副腎か、腫瘍の大きさ、ほかの病気、年齢、治療への反応などで、一頭一頭大きく違います。このページでは、寿命の数字はお伝えしていません。

不安なときは、愛犬の検査結果をもとに、かかりつけの獣医師に次のことを聞いてみてください。

  • 今の状態と、治療で目指すこと
  • これから考えられる変化と、そのときの選択肢
  • 家で気をつけてほしいサイン

犬の年齢の目安は犬の平均寿命にもまとめています。

クッシング症候群の犬との家での過ごし方

家でできること

  • 水はいつでも飲めるようにしておく(自己判断で水を減らさない)
  • 1日に飲む水の量、おしっこの回数・粗相を記録する
  • 体重を週1回量り、お腹の膨らみや毛・皮膚の様子を写真に残す
  • 粗相が増えたら、トイレの数を増やす、ペットシーツを広めに敷く
  • 欲しがっても、食事やおやつの量は病院と相談した量を守る
  • 皮膚が薄く傷つきやすいことがあるので、ブラッシングはやさしく
  • 毛が薄い部分は、寒さ・日差しから守る
  • 薬は決められた時間に。飲ませ忘れたときの対応は病院に聞いておく
  • 薬を始めたあとの元気・食欲・便の様子をメモする

ステロイドの薬で治療中の病気がある場合は、自己判断で薬をやめず、必ず獣医師に相談してください。

おしっこの量が増えると、夜中のトイレや片づけで飼い主も疲れてしまいます。家族で当番を分けたり、介護用品を上手に使ったりして、ひとりで抱えこまないようにしてくださいね。用品は老犬の介護用品にまとめています。

クッシング症候群の治療にかかる費用は?

費用は、検査の内容、体の大きさ(薬の量)、治療の方法、病院によって大きく変わります。全国でそろった公的な統計は見つかっていません。参考として、保険会社や獣医師監修の解説で公表されている例を紹介します。

項目金額の例
診察料1,000円
血液検査10,000円
超音波検査3,500円
内服薬3,000円
合計17,500円

出典:価格.com保険「犬のクッシング症候群」(アニコム損害保険への請求の一例。ポメラニアン。平均や水準を示すものではありません)(2026年10月23日に確認)

国内の獣医師が監修した別の解説では、内科的治療の目安として小型犬で月2〜3万円程度、初診時の検査で4〜5万円程度、定期検査は1回5千〜1万円程度、手術は15〜25万円(入院費別)といった目安が紹介されています。いずれも目安で、病院によって違います。

治療を始める前に「初めの検査でいくらか」「1か月あたりいくらか」を病院で聞いておくと、家計の計画が立てやすくなります。ペット保険に入っている場合は、補償の対象になるかを保険会社に確かめましょう。保険の選び方はシニア犬のペット保険にまとめています。

病院で聞くこと

診断を受けたときや治療を始めるときは、次のことを聞いておくと、家での過ごし方が考えやすくなります。この記事の最後に、印刷できるメモも用意しています。

  1. 原因は下垂体か、副腎か。それはどの検査でわかったか
  2. 治療の選択肢と、それぞれのよいところ・負担
  3. 薬を始めたら、家で何を見ておけばいいか。すぐ電話してほしい様子は何か
  4. 次の検査はいつか。どのくらいの間隔で通うか
  5. ほかに気をつけたい病気(糖尿病など)があるか
  6. 費用の見込み(初めの検査、1か月あたり)

ひとりで聞くのが不安なときは、メモを持っていく、家族と一緒に行く、説明をメモしてよいか聞く、といった方法もあります。

よくある質問

犬のクッシング症候群は治りますか?

原因によって違います。脳下垂体の腫瘍が原因の場合は、内服薬でホルモンの量を抑える治療を続けるのが基本で、根本から治すものではないとする獣医師の解説があります。副腎の腫瘍で、手術で取りきれる場合は、治療の選択肢が変わります。愛犬の場合どうなるかは、検査結果をもとにかかりつけの獣医師に聞いてください。

クッシング症候群と言われました。寿命はどのくらいですか?

原因(脳下垂体か副腎か)、腫瘍の大きさ、ほかの病気、年齢、治療への反応などで一頭一頭大きく違うため、このページでは数字をお伝えしていません。「今の状態と、これから考えられる変化」を、かかりつけの獣医師に聞いてみてください。

水をたくさん飲むのは、クッシング症候群のせいですか?

水を飲む量が増える理由は、クッシング症候群のほかにも、腎臓の病気や糖尿病などいくつもあります。飲む量だけで病気は決められません。1日にどのくらい飲んでいるかを量ってメモし、動物病院に相談してください。

治療を始めたら、家で気をつけることはありますか?

薬が効きすぎたときなどに、元気がない、食べない、吐く、下痢をするといった様子が出ることがあるため、薬を始めたあとの様子は記録しておき、気になる変化があればすぐ病院に電話してください。

治療費はどのくらいかかりますか?

保険会社が公表している請求の一例では、診察・血液検査・超音波検査・内服薬で合計17,500円という例があります。内服治療を続ける場合は、薬代と定期的な検査の費用がかかります。体の大きさや病院によって変わるため、始める前に1か月あたりの目安を病院で聞いておくと安心です。

クッシング症候群:病院に持っていくメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • 1日に飲む水の量(器に入れた量-残った量)を数日分
  • おしっこの回数・量・粗相が増えたか
  • 食欲の変化(前より欲しがる、食べ物をあさる など)
  • 体重(週1回)と、お腹の膨らみ方
  • 毛が薄くなった場所(写真)、皮膚の黒ずみ・薄さ
  • 息が荒い時間帯(暑くないのにハァハァする など)
  • 散歩の様子(歩きたがらない、疲れやすい)
  • これまでに飲んだ薬(とくにステロイドの薬)
  • 病院で聞きたいこと(原因・治療の選択肢・費用・次の検査)

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-cushing/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。

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この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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