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01 症状と受診

犬の逆くしゃみ。ガーガー鳴くときの対処と、咳との見分け方

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬の逆くしゃみとは、鼻から勢いよく何度も空気を吸い込む反応のことです。ガーガー・ブーブーと苦しそうな音がしますが、多くは数十秒〜1、2分でおさまるとされています。
  • 頻繁に起こる、数分にわたって続く、終わったあとに倒れる・回復に時間がかかる、鼻水や咳など別の様子もあるときは、動物病院に相談してください。
  • 咳は息を強く吐き出し、逆くしゃみは鼻から強く吸い込みます。飼い主には見分けにくいので、動画を撮って病院で見てもらうのが確かです。
  • 起きているときは、あわてずに声をかけ、やさしくなでて落ち着かせます。

犬が急に「ガーガー」「ブーブー」と鼻を鳴らすように鳴き、苦しそうにしているときは、「逆くしゃみ」のことがあります。多くは数十秒〜1、2分でおさまり、そのあとはいつもどおりに戻るとされています。起きているときは、あわてずに声をかけ、やさしくなでて落ち着かせてください。ただし、頻繁に起こる、数分にわたって続く、終わったあとに倒れる・ぐったりする、鼻水や咳など別の様子もあるときは、動物病院に相談しましょう。

はじめて見ると、とても驚くと思います。この記事では、逆くしゃみとはどんなものか、起きているときの対処、病院に相談したほうがいいサイン、咳との見分け方、動画の撮り方を順に紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。

犬の逆くしゃみとは?どんな様子?

犬の逆くしゃみとは、鼻から勢いよく、何度も続けて空気を吸い込む反応のことです。ふつうのくしゃみは空気を外に吐き出しますが、逆くしゃみはその反対に、空気を吸い込みます。

米国テキサスA&M大学の獣医師の解説では、のどの奥の筋肉がけいれんして、気管の入り口が一時的にせまくなり、鼻から速く強く空気を吸い込む、反射的な反応だと説明されています。国内の獣医師が監修した解説でも、鼻の中への刺激で空気を思い切り吸い込むことで起こるとされています。

見るところ解説で書かれている様子
音大きく鼻を鳴らすような音、ガーガー(ガチョウのような音)、ブーブー、むせているような音
姿勢立ち止まってじっとし、首と前足をのばす
体の動き胸やお腹が速く動く
長さ数秒〜30秒ほど、長くても1、2分ほどでおさまることが多い
終わったあといつもどおりに戻ることが多い

出典:Texas A&M College of Veterinary Medicine & Biomedical Sciences「Gesundheit! Reverse Sneezing In Dogs」、PDSA「Reverse sneezing in dogs」、オリコン ペット保険「犬のくしゃみ」(獣医師監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

テキサスA&M大学の獣医師は、逆くしゃみは痛みや害のあるものではなく「犬よりも飼い主のほうがずっと怖い」と話しています。英国の動物病院チャリティ(PDSA)も、ほとんどの場合は害がないとしています。

犬が逆くしゃみをするのはなぜ?ガーガー鳴くきっかけは?

逆くしゃみの多くは、のどの奥や鼻の奥への刺激がきっかけと考えられています。解説では、次のようなきっかけが挙げられています。

  • 興奮したとき、はしゃいだとき
  • 散歩でリードを引っぱったとき
  • 食べたり飲んだりしたあと、運動のあと
  • ほこり、芳香剤などの強いにおい
  • 鼻水、アレルギー
  • 異物やできものなどによる刺激

PDSAの解説では、小型犬は大型犬より逆くしゃみをすることが多く、パグ、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、ペキニーズ、シー・ズーのような鼻の短い犬種は、のどの奥のやわらかい部分(軟口蓋)が長いことが多いため起こりやすい、としています。

項目研究で報告された内容(30頭)
体の大きさ5kg未満の犬が50%、5〜15kgの犬が27%
続いていた期間60%が3か月以上続いていた
頻度60%が週に1回以上
年齢・性別はっきりした傾向はみられなかった

出典:Talavera J ほか「Reverse Sneezing in Dogs: Observational Study in 30 Cases」Vet Sci. 2022(スペインの大学動物病院に紹介された30頭の記録を調べたもの)(2026年10月23日に確認)

この研究は、専門の病院に紹介されてきた30頭を調べたもので、すべての犬にあてはまるものではありません。研究者は、逆くしゃみはのどや鼻の奥の刺激のサインのこともあるので、回数が少なくても調べる価値がある、としています。

逆くしゃみが起きたら、どうすればいい?

逆くしゃみが起きたら、まずは飼い主が落ち着くことが大切です。解説で紹介されている方法は次のとおりです。

逆くしゃみが起きているときにできること

  • あわてずに、やさしい声で話しかける
  • 体をやさしくなでて、落ち着かせる
  • のどのあたりを、やさしくさする
  • 無理に押さえつけたり、口の中に手を入れたりしない
  • スマートフォンで動画を撮っておく
  • おさまったあとも、いつもどおりに戻ったかを見る

PDSAは、落ち着いて声をかける、やさしくなでる、のどをやさしくさする、片方または両方の鼻の穴をそっとふさぐ(飲み込む動きをさせるため)といった方法を、飼い主が試している方法として紹介しています。テキサスA&M大学の獣医師は、やさしい声で話しかけながらのどをさする、顔にそっと息を吹きかけて飲み込ませる、といった方法を挙げています。

どの方法が合うかは犬によって違います。鼻をふさぐ方法などは、かかりつけの獣医師にやり方を確かめてから試すと安心です。苦しそうな状態が続く、おさまらないときは、病院に電話してください。

ふだんからできること

  • 首輪ではなくハーネスを使い、リードを引っぱらない
  • 部屋のほこりをこまめに掃除する
  • 強い香りの芳香剤やたばこの煙を近づけない
  • どんなときに起こるかをメモしておく

逆くしゃみで病院に行ったほうがいいサインは?

ときどき起こり、すぐおさまって、そのあとはいつもどおりなら、多くは心配いらないとされています。けれど、次のようなときは動物病院に相談してください。

こんなときは、動物病院に相談してください

  • 終わったあとに倒れた、気を失った、ぐったりしている
  • 終わったあと、いつもどおりに戻るまで時間がかかる
  • 数分にわたって続く
  • 頻繁に起こる、回数が増えてきた
  • それまでなかったのに、急に起こるようになった
  • 鼻水・鼻血・くしゃみ・咳など、ほかの様子もある
  • ふだんから呼吸が苦しそう、元気がない

PDSAは、急に逆くしゃみをするようになった、頻繁またはひどくて暮らしに影響している、終わったあとに倒れた、回復に時間がかかる、というときは獣医師に連絡するように、としています。国内の獣医師が監修した解説でも、頻繁に起こる場合や数分にわたって長く続く場合は相談を、とされています。テキサスA&M大学の獣医師は、咳や鼻水、呼吸が苦しそう、くり返す、具合が悪そうなときは受診を、としています。

歯ぐきや舌が白っぽい・青紫っぽい、ずっと息が苦しそう、倒れたまま起き上がれないというときは、逆くしゃみではないかもしれません。すぐ動物病院に電話してください。英国の王立獣医大学(RVC)は、呼吸困難はすべて緊急として扱うべきだとしています。

病院ではどんなことをする?

逆くしゃみは、診察中に起こることはあまりありません。PDSAは、受診の前に動画を撮っておくように、としています。

ときどき起こる程度で、獣医師が診て体にほかの問題が見つからなければ、治療はいらないことが多いとされています。回数が多い場合などは、獣医師の判断で、麻酔をかけてレントゲンや鼻・のどの内視鏡検査を行うことがあります。

逆くしゃみと咳の見分け方は?

逆くしゃみと咳は、どちらも「ガーガー」「カハッ」のような苦しそうな音がするので、見分けにくいものです。いちばんの違いは、空気を吸い込むか、吐き出すかです。

逆くしゃみ咳
空気の向き鼻から強く吸い込む強く吐き出す
聞こえ方の例ブーブー、ガーガー、鼻を鳴らすような音カハッ、カッカッ、ガーガー
様子の例立ち止まって首と前足をのばし、胸やお腹が速く動く。口は閉じていることが多い頭を下げ、何かを吐き出そうとする・えずくように見える
終わったあといつもどおりに戻ることが多い何か吐き出すことがある。くり返すことがある

出典:Texas A&M College of Veterinary Medicine & Biomedical Sciences「Gesundheit! Reverse Sneezing In Dogs」、PDSA「Reverse sneezing in dogs」、オリコン ペット保険「犬の咳」(獣医師監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

国内の獣医師が監修した解説では、犬の咳は「カッカッ」「ガーガー」「カハッ」などの音に聞こえることがあるとされていて、逆くしゃみの音とよく似ています。見分けがつかないときは、自分で決めずに、動画を撮って病院で見てもらいましょう。咳については犬の咳にくわしくまとめています。

逆くしゃみは鼻から強く空気を吸い込み、数十秒〜1、2分でおさまることが多い。咳は頭を下げて強く吐き出す。2つの違いを犬の横顔と矢印で比べた図
いちばんの違いは、空気を吸い込むか、吐き出すかです。見分けにくいときは、動画を撮って病院で見てもらいましょう。イラスト:いぬのながいき手帖

老犬の逆くしゃみで気をつけたいことは?

年をとってから逆くしゃみをするようになった、回数が増えてきた、というときは、一度動物病院で相談してみてください。PDSAが「急に起こるようになったとき」を連絡の目安に挙げているように、それまでと違う変化は、相談のきっかけにしてよいサインです。

年をとった犬では、口や鼻、のどのまわりの変化、ほかの呼吸の変化(咳、いびき、呼吸が早い など)が重なっていることもあります。逆くしゃみと一緒に、鼻水や鼻血、くしゃみ、口のにおい、咳などがないかも見ておくと、病院で伝えやすくなります。

呼吸の様子が気になるときは、犬の呼吸が早いときの「寝ているときの呼吸数の数え方」も参考にしてください。健康診断で口や鼻の中を見てもらうのもよい機会です。シニア犬の健康診断にまとめています。

動物病院に伝えること:動画の撮り方

逆くしゃみは、病院で起こることはあまりありません。家で起きたときに動画を撮っておくのがいちばんの手がかりです。

動画の撮り方

  • 起こったら、すぐにスマートフォンで撮る(音が入るように)
  • 顔から胸・お腹まで、体全体が映るように
  • 終わったあとの様子も、少し撮っておく
  • 撮った日時がわかるようにしておく

撮ることを優先して、苦しそうな愛犬をそのままにする必要はありません。落ち着かせながら、撮れる範囲でかまいません。

伝えること

  1. いつから:起こるようになった時期
  2. 長さ:1回が何秒〜何分くらいか
  3. 頻度:1日に何回、週に何回
  4. 状況:興奮、散歩、食べたり飲んだりしたあと、寝起きなど
  5. 終わったあと:すぐいつもどおりか、ぐったりしたか
  6. ほかの様子:鼻水、鼻血、くしゃみ、咳、いびき
  7. 持病と薬:薬の名前がわかるもの

夜間や休日に、逆くしゃみかどうかわからず苦しそうな状態が続くときは、夜間救急の動物病院に電話して相談してください。探し方は夜間・休日に動物病院を探すにはにまとめています。症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。

はじめて逆くしゃみを見たときは、誰でも驚きます。あわててしまっても大丈夫です。次に起きたときのために、この記事のメモを手元に置いておいてくださいね。

よくある質問

逆くしゃみは放っておいて大丈夫ですか?

ときどき起こり、すぐおさまって、そのあとはいつもどおりなら、多くは大きな問題ではないとされています。ただし、頻繁に起こる、長く続く、急に起こるようになった、ほかにも気になる様子があるときは、動物病院に相談してください。

逆くしゃみを止める方法はありますか?

英国の動物病院チャリティや米国の大学の獣医師は、落ち着いて声をかける、やさしくなでる、のどをやさしくさするといった方法を紹介しています。無理に押さえつけたりせず、苦しそうな状態が続くときは病院に電話してください。

老犬になってから、逆くしゃみをするようになりました。

年をとってから急に始まった、回数が増えてきた、という場合は、一度動物病院で相談してみてください。英国の動物病院チャリティは、それまでなかった逆くしゃみが急に起こるようになったときは、獣医師に連絡するように案内しています。動画を撮っておくと伝わりやすくなります。

逆くしゃみと咳は、どう見分ければいいですか?

咳は息を強く吐き出す反応で、逆くしゃみは鼻から強く吸い込む反応です。逆くしゃみのときは、立ち止まって首と前足をのばし、胸やお腹が早く動くことが多いとされています。ただ、見分けにくいことも多いので、動画を撮って病院で見てもらいましょう。

逆くしゃみ(ガーガー):病院に伝えることメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • いつから起こるようになったか
  • 1回の長さ(何秒〜何分くらいか)
  • どのくらいの頻度か(1日に何回/週に何回)
  • 起こったときの状況(興奮・散歩でリードを引いた・食べたり飲んだりしたあと・寝起き など)
  • 終わったあとの様子(すぐいつもどおり/ぐったり/倒れた)
  • 鼻水・鼻血・くしゃみ・咳など、ほかの様子
  • 持病と、飲んでいる薬
  • ガーガー鳴いている様子の動画

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-gyaku-kushami/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

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この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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