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01 症状と受診

犬の咳。すぐ病院に行くべきサインと、老犬の「カハッ」で考えられること

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬の咳とは、のどや気管、肺などへの刺激を外に出そうとして、強く息を吐き出す体の反応のことです。犬の咳は「カハッ」「ガーガー」と、吐きそうな音に聞こえることがあります。
  • 息が苦しそう、歯ぐきや舌が白い・青紫っぽい、ぐったりしている・倒れたときは、様子を見ずにすぐ動物病院に電話してください。
  • 毎日のように咳をする、急に激しい咳をくり返す、何日も続くときは、元気そうでも動物病院に相談を。シニア犬は早めの相談が安心です。
  • 咳は病院では出ないことが多いので、スマートフォンで動画を撮り、いつ・何をしたときに出るかをメモしておくと伝わりやすくなります。

犬が咳をしたら、まず「元気・食欲があるか」と「呼吸が苦しそうでないか」を見てください。息が苦しそう、歯ぐきや舌が白っぽい・青紫っぽい、ぐったりしている・倒れたときは、様子を見ずにすぐ動物病院に電話します。元気そうでも、毎日のように咳をする、急に激しい咳をくり返す、何日も止まらないときは相談を。年をとった犬は、軽く見えても早めに電話して聞くと安心です。

咳は病院に着くと出ないことがよくあります。この記事では、すぐ電話したほうがいいサイン、シニア犬の「カハッ」という咳で考えられること、逆くしゃみとの見分け方、動画の撮り方と病院に伝えること、家でできることを順に紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。

犬の咳とは?「カハッ」「ガーガー」はどんな音?

犬の咳とは、のどや気管、肺などに刺激があるときに、それを外に出そうとして強く息を吐き出す体の反応のことです。

人の咳は「コホン」「ゴホン」ですが、犬の咳は少し違って聞こえます。獣医師が監修したペット保険会社の解説では、犬の咳は「カッカッ」「ガーガー」「カハッ」などの音に聞こえることがあり、何かを吐き出したいような聞こえ方をするため、「えずいている」「吐きたいのに吐けない」と感じる飼い主が多いとされています。

聞こえ方の例飼い主が感じやすいこと
カハッ、カッカッ何かを吐き出そうとしている、えずいている
ガーガー、ガッガッアヒルやガチョウのような音、苦しそう
ゼーゼー、ヒューヒュー息をするたびに音がする
コンコン、ケホッ人の咳に近い

出典:オリコン ペット保険「犬の咳」(獣医師監修)、価格.com保険「犬の咳」(獣医師監修)、Washington State University Veterinary Teaching Hospital「The coughing dog」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

音の聞こえ方は犬によっても、聞く人によっても違います。音だけで原因を決めることはできないので、「どんな音か」は動画に残して病院で聞いてもらうのがいちばん確かです。

水を飲んだあとの1回の咳は?

国内の獣医師が監修した解説では、食事や水、ほこりを吸い込んだときの咳は体の自然な反応で、一時的でほかの症状がなければ心配はいらないとされています。ただし、同じ解説でも、毎日のように咳をする、急に激しい咳をくり返すときは、家で様子を見ずに病院へ、としています。

犬が咳をしたら、すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

次のようなときは、様子を見ずに、すぐ動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • 息が苦しそう(首をのばし、ひじを外に張って立ったまま息をする、お腹や胸を大きく動かして息をする)
  • 歯ぐきや舌の色が、白っぽい・青紫っぽい・灰色っぽい
  • ぐったりしている、ふらつく、倒れた
  • 寝ているときも、呼吸が早いまま落ち着かない
  • 落ち着かず、横になれない・眠れない
  • 咳が止まらず、苦しそうな状態が続いている
  • 何かを飲み込んだ・のどに詰まらせた心当たりがある
  • 咳と一緒に、血が混じったもの・ピンク色の泡のようなものが出た

英国の王立獣医大学(RVC)の解説では、呼吸が早い・ハァハァが止まらない、落ち着かない、ひじを外に張り首をのばして立つ、胸やお腹の動きが大きい、歯ぐきが青い、倒れる、といった様子を「呼吸困難」のサインとして挙げ、呼吸困難はすべて緊急として扱うべきだとしています。英国の動物病院チャリティ(PDSA)も、息ができない、倒れた、歯ぐきが白・灰色・青っぽい、急に悪くなっているときは、すぐ動物病院へ、向かう途中で電話を、と案内しています。

呼吸の早さを見るときは、犬の呼吸が早いときの「寝ているときの呼吸数の数え方」も参考にしてください。

元気があるときは、様子を見てもいい?

咳はしているけれど、元気でご飯も食べている。こんなときがいちばん迷うと思います。

様子考え方の目安
水を飲んだあとなどに1回だけ。元気・食欲・呼吸はいつもどおり記録をつけながら様子を見ることも。気になれば電話で相談
毎日のように咳をする動物病院に相談
急に激しい咳をくり返す様子を見ずに動物病院に相談
何日も続き、おさまる様子がない動物病院に相談
息が苦しそう、歯ぐきの色が悪い、ぐったりすぐ動物病院に電話

出典:価格.com保険「犬の咳」(獣医師 三宅亜希 監修)、Washington State University Veterinary Teaching Hospital「The coughing dog」、Royal Veterinary College「Respiratory distress in cats and dogs」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

米国のワシントン州立大学の動物病院の解説では、何日も咳が続いておさまる様子がないときは獣医師に診てもらうのがよい、としています。

老犬の咳が止まらないときは?

年をとった愛犬の咳が止まらないと、見ているほうもつらくなりますね。

まず、咳が止まらず苦しそうなとき、歯ぐきや舌の色が悪いとき、ぐったりしているときは、上のサインにあてはまります。すぐ動物病院に電話してください。

苦しそうではないけれど、咳がくり返し出る・日に日に増えている、という場合も、そのまま様子を見続けずに相談しましょう。そのときに役立つのが次の記録です。

  • 1日に何回くらい咳が出るか(増えているか)
  • 夜や明け方に多いか
  • 寝ているときの呼吸数(1分間に何回か)
  • 散歩で疲れやすくなった、歩きたがらないなど、ほかの変化

米国の動物病院グループ(VCA)の飼い主向け資料では、寝ているときの呼吸数を家で数えて記録する方法を紹介しています。咳と一緒に呼吸数も記録しておくと、病院で状態を伝えやすくなります。

老犬が「カハッ」と咳をする・咳き込むのはなぜ?

「カハッ」と吐きそうにするのに、何も出てこない。年をとった犬で、こんな咳が気になる方は多いようです。

咳の理由はひとつではありません。獣医師が監修した解説や大学の動物病院の解説では、犬の咳に関係するものとして、次のようなものが挙げられています。

解説で挙げられているもの解説で触れられていること
気管の病気(気管虚脱 など)興奮したとき・首輪を引いたとき・水を飲んだときに出やすく、ガチョウのような音と表現される。中年〜高齢の小型犬に多いとされる
心臓の病気大きくなった心臓が気管を圧迫して咳が出ることがある。運動や興奮のあとに出ることがある。中年〜高齢の小型犬に多いとされる
肺の病気(肺炎・肺水腫 など)気道や肺に水分などがたまると、湿った咳になることがある
のど・食道の病気食べているときに咳が出やすい
感染症(ケンネルコフ など)若い犬に多く、ほかの犬と接したあとに出ることがある
異物・腫瘍異物がのどや気道を刺激することがある。腫瘍による咳は高齢の犬に多いとされる
アレルギー・鼻炎ほこりや刺激で咳が出ることがある

出典:価格.com保険「犬の咳」(獣医師 三宅亜希 監修)、オリコン ペット保険「犬の咳」(獣医師 松田唯 監修)、Washington State University Veterinary Teaching Hospital「The coughing dog」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

この表は、解説で挙げられているものを並べたもので、愛犬の咳がどれにあたるかを判断するためのものではありません。音やきっかけが似ていても、理由が違うことはよくあります。原因を探すのは病院の役目です。気になる咳があれば、動画とメモを持って相談してください。

病院ではどんなことをする?

病院では、話を聞いたうえで、聴診(胸の音を聞く)などの診察をし、必要に応じてレントゲンや心臓の超音波検査、血液検査などを行うことがあります。どの検査をするかは、犬の状態や年齢によって違います。検査や治療について不安なことは、遠慮なく獣医師に聞いてみてください。

健康なうちから定期的に健康診断を受けておくと、変化に気づきやすくなります。シニア犬の健康診断にまとめています。

咳と逆くしゃみ・吐きそうなとき(えずき)の見分け方は?

犬が「ガーガー」「ブーブー」と苦しそうな音を出すとき、咳ではなく「逆くしゃみ」のこともあります。逆くしゃみとは、鼻から勢いよく、何度も空気を吸い込む反応のことです。

咳逆くしゃみ
空気の向き強く吐き出す鼻から強く吸い込む
聞こえ方の例カハッ、カッカッ、ガーガーブーブー、ガーガー、鼻を鳴らすような音
様子の例吐き出そうとする、えずくように見える立ち止まって首と前足をのばし、胸やお腹が早く動く
続く時間の例1回〜何回か続く数十秒〜1、2分ほどでおさまることが多いとされる

出典:Texas A&M College of Veterinary Medicine & Biomedical Sciences「Gesundheit! Reverse Sneezing In Dogs」、オリコン ペット保険「犬のくしゃみ」(獣医師監修)、オリコン ペット保険「犬の咳」(獣医師監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

実際には、飼い主が見分けるのは難しいことが多いです。どちらかわからないときは、動画を撮って病院で見てもらいましょう。逆くしゃみについては犬の逆くしゃみでくわしく紹介しています。

吐こうとしている(えずき)のか、咳なのかも見分けにくいものです。吐いたものがあるときは、犬が吐くときも参考にしてください。

動物病院に伝えること:動画・時間帯・きっかけ

咳は、病院に着くと出ないことがよくあります。獣医師が監修した解説でも、咳の特徴をつかむために、動画を撮ってから受診するとよいとされています。

動画の撮り方

  • 咳が出はじめたら、すぐにスマートフォンで撮る(音が入るように)
  • できれば顔から胸・お腹まで、体全体が映るように
  • 咳が終わったあとの呼吸の様子も、少し撮っておく
  • 撮った日時がわかるようにしておく

無理に咳をさせる必要はありません。撮れなくても、メモだけで大丈夫です。

スマートフォンの画面に犬の体全体が映っている図。咳が出はじめたらすぐ撮る、音が入るように、終わったあとの呼吸も、日時がわかるように、の4つのポイントを並べている
顔から胸・お腹まで映るように撮ると、咳のしかたや呼吸の様子が伝わりやすくなります。イラスト:いぬのながいき手帖

伝えること

  1. いつから:最初に咳に気づいた日
  2. 回数:1日に何回くらいか、増えているか
  3. 音:カハッ、ガーガー、ゼーゼーなど
  4. 時間帯:夜、明け方、寝起き、食後など
  5. きっかけ:興奮、散歩、水を飲む、首輪を引く、抱っこなど
  6. 咳のあと:何か吐いたか(泡、痰のようなもの、食べ物)
  7. ほかの様子:元気・食欲、疲れやすさ、寝ているときの呼吸数
  8. 持病と薬:薬の名前がわかるもの

ワシントン州立大学の動物病院の解説でも、咳の音、いつ出るか、何がきっかけかを伝えることが、原因を探す手がかりになるとしています。

犬が咳をするとき、家でできることは?

すぐ病院に電話するサインがなく、病院に相談したうえで家で過ごすときは、次のことを心がけてください。

家でできること

  • 首輪ではなく、首に負担がかかりにくいハーネスを使う
  • 散歩で引っぱらないよう、ゆっくり歩く。暑い時間はさける
  • 興奮させすぎないよう、来客や遊びの時間を調整する
  • たばこの煙、強い香りの芳香剤、ほこりを近づけない
  • 部屋の温度と湿度を整え、乾燥しすぎないようにする
  • 食事で咳が出るときは、少しずつ与える。水は飲みやすい器で
  • 寝ているときの呼吸数と、咳の回数をメモする
  • 人の薬・咳止め・のど飴は与えない

国内の獣医師が監修した解説では、食事で咳が出る場合は少量ずつ与える、早食いを防ぐ食器を使う、給水ボトルより床に置いたお皿のほうが飲みやすい場合がある、といった工夫が紹介されています。大学の動物病院の解説では、気管の病気について、首輪を引っぱることや興奮がきっかけになることがあるとされています。体重管理が大切な場合もあるので、食事の量は病院に相談してください。

夜間・休日に咳が苦しそうになったら

夜中や休日に、咳が止まらず苦しそう、歯ぐきの色が悪い、ぐったりしているときは、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞いてください。探し方と、電話で伝えることは夜間・休日に動物病院を探すにはにまとめています。症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。

「寿命が近いの?」と心配なとき

年をとった愛犬の咳が続くと、「もう長くないのでは」と不安になる方も多いと思います。けれど、咳だけで寿命がわかるわけではありません。咳の理由はさまざまで、治療やお世話の工夫で楽にしてあげられることもあります。ひとりで抱えずに、かかりつけの動物病院に今の状態と見通しを聞いてみてください。犬の年齢の目安は犬の平均寿命にまとめています。

夜中の咳が続くと、飼い主も眠れずに疲れてしまいます。家族で見守る時間を分けるなど、自分の体も休めるようにしてくださいね。

よくある質問

犬が1回だけ咳をしました。病院に行ったほうがいいですか?

水を飲んだときやほこりを吸ったときなどに1回だけ咳をして、そのあと元気・食欲があり、呼吸もいつもどおりなら、記録をつけながら様子を見ることもあります。咳がくり返す、毎日出る、ほかにもいつもと違う様子があるときは、動物病院に相談してください。

老犬が「カハッ」と吐きそうにしますが、何も出ません。咳ですか?

犬の咳は「カハッ」と、何かを吐き出したいような音に聞こえることがあり、吐こうとしているのか咳なのか、飼い主には見分けにくいとされています。自分で決めずに、動画を撮って動物病院に見てもらうのが確かです。

咳が夜や朝方に多い気がします。伝えたほうがいいですか?

はい。咳が出る時間帯(夜・明け方・寝起き など)や、出るきっかけ(興奮したとき・水を飲んだとき・首輪を引いたとき など)は、病院で原因を探す手がかりになります。メモして伝えてください。

人の咳止めやのど飴をあげてもいいですか?

人の薬や市販薬、のど飴は、自己判断で与えないでください。犬には合わない成分が入っていることがあります。薬が必要かどうかは、動物病院で相談しましょう。

老犬の咳が止まらないのは、寿命が近いサインですか?

咳だけで寿命はわかりません。咳の理由はさまざまで、治療やお世話で楽にしてあげられることもあります。不安なときこそ、かかりつけの動物病院に相談して、今の状態と見通しを一緒に話してみてください。

犬の咳:病院に電話する前のメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • いつから咳が出ているか(最初に気づいた日)
  • 1日に何回くらいか。増えているか
  • 咳の音(カハッ/ガーガー/ゼーゼー/コンコン など)
  • 出る時間帯(夜・明け方・寝起き・食後 など)
  • 出るきっかけ(興奮・散歩・水を飲む・首輪を引く・抱っこ など)
  • 咳のあとに何か吐いたか(泡・痰のようなもの・食べ物)
  • 寝ているときの呼吸数(1分間に何回か)
  • 元気・食欲・散歩の様子(すぐ疲れる・歩きたがらない など)
  • 持病と、飲んでいる薬
  • 咳をしている様子の動画

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-seki/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

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この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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