犬のいびき。病気のサインかもしれないときと、老犬でいびきが増えたとき
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体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。
この記事のポイント
- 犬のいびきとは、眠っているときに鼻からのどまでの空気の通り道が狭くなり、空気が通るたびに粘膜がふるえて出る音のことです。
- 起きているときも音がする、急にいびきをかくようになった、音が大きく・回数が多くなった、息が苦しそう、歯ぐきや舌が紫っぽいときは、動物病院に相談してください。
- パグ、フレンチ・ブルドッグなど鼻の短い犬種はいびきが出やすい一方、英国の研究ではペキニーズやシー・ズーなどでも呼吸の問題が多く見られました。
- 年をとると、のどや首の筋肉がゆるんでいびきが増えることがあります。シニア犬の呼吸の変化は、動画を撮って病院で見てもらいましょう。
犬のいびきは、寝る姿勢や一時的な鼻づまりでも出ることがあり、それだけで病気とは限りません。けれど、起きているときもゼーゼー・ガーガーと音がする、急にいびきをかくようになった、音が大きく・回数が多くなった、息が苦しそう、歯ぐきや舌が紫っぽい、といったときは動物病院に相談してください。苦しそうな様子や、ぐったりして倒れたときは、夜間でもすぐ電話を。
年をとった犬は、のどや首の筋肉がゆるんで、いびきが増えることがあります。この記事では、病院に相談したほうがいいサイン、いびきの伝え方(動画の撮り方)、いびきをかきやすい犬種、シニア犬で気をつけたいこと、家でできることを順に紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。
犬のいびきとは?どうしていびきをかくの?
犬のいびきとは、眠っているときに、鼻からのどまでの空気の通り道(上気道)が狭くなり、空気が通るたびに粘膜がふるえて出る音のことです。国内の獣医師が監修した解説では、上気道が狭くなると、空気が通るたびに粘膜が振動して音が出る、と説明されています。
人と同じように、犬も次のようなときにいびきをかくことがあります。
- 寝る姿勢:あお向けで寝ると、舌がのどのほうへ下がって、いびきが出やすくなることがあります
- 一時的な鼻づまり:鼻が通りにくいと口で息をするようになり、いびきが出ることがあります
- 体重:首のまわりに脂肪がつくと、空気の通り道が狭くなることがあります
- 年齢:年をとると、のどや首の筋肉がゆるみやすくなります
- 犬種:鼻の短い犬種は、もともと空気の通り道が狭い傾向があります
- 刺激:たばこの煙、ほこり、強い香りなどが鼻の粘膜を刺激することがあります
このように、いびきの理由は一つではありません。ふだんのいびきの大きさや回数を知っておくと、「いつもと違う」に気づきやすくなります。
| よくある理由 | 見られやすい様子 |
|---|---|
| 寝る姿勢 | あお向けのときだけ。姿勢が変わると静かになる |
| 一時的な鼻づまり | 数日でおさまる。ほかに変わった様子はない |
| 体重が増えた | 太ってきたころから、いびきが増えた |
| 年齢 | 少しずつ、いびきが大きくなってきた |
| 鼻の短い犬種 | 若いころからいびきをかく。暑いと息が荒くなりやすい |
出典:オリコン ペット保険「犬のいびき」(獣医師監修)、価格.com保険「犬のいびき」(獣医師監修)、Medivet「Understanding Snoring In Dogs」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)
表は、よく挙げられる理由の例です。愛犬のいびきの理由を決めるものではありません。気になるときは、動画を撮って病院で聞いてみてください。
犬のいびきは病気のサイン?すぐ病院に相談したほうがいいときは?
いびきそのものは、健康な犬にも見られます。気にかけたいのは「いびきの変化」と「起きているときの様子」です。次のようなときは、様子を見ずに動物病院に相談してください。
こんなときは、すぐ動物病院に電話してください
- 息が苦しそう、口を大きく開けてハアハアし続ける、首をのばして息をしている
- 歯ぐきや舌が紫っぽい・青白い
- 倒れた、ぐったりしている、ふらつく
- 寝ているときも起きているときも、ゼーゼー・ガーガーという音がずっと続く
- 鼻から血が出る、顔(鼻のまわり)がはれている
次のようなときも、早めに動物病院に相談してください
- それまでかかなかったのに、急にいびきをかくようになった
- いびきの回数が増えた、音が大きくなってきた
- 散歩ですぐ疲れる、座り込む、暑さに弱くなった
- 吠える声がかすれる・変わった
- 食べたり飲んだりするときにむせる、咳が出る
- 鼻水が続く、片方の鼻だけ鼻水が出る
- 元気や食欲が落ちている
英国の動物病院グループ(Medivet)の飼い主向け解説では、起きているときにもいびきのような音がする、それまでかかなかった犬が急にいびきをかくようになった、息が苦しそう、歯ぐきや舌が青っぽい、倒れた、といった場合はすぐ獣医師へ、としています。いびきが大きくなってきた、咳や鼻水がある、食欲や元気が落ちた、声が変わった、といった場合も受診をすすめています。
国内の獣医師が監修した解説でも、いびきの回数が増えた・音が大きくなった、ほかの症状がある、起きているときも鼻息が荒く苦しそう、鼻血や顔のはれがある、といったときは受診を検討するように書かれています。
いびきのような音で、病気が見つかることも
いびきや呼吸の音の変化から、鼻やのど、気管の病気が見つかることがあります。獣医師が監修した解説では、鼻炎、鼻の中のできもの、鼻の短い犬種に多い呼吸の病気(短頭種気道症候群)、のどの奥のやわらかい部分が長い状態(軟口蓋過長症)、気管がつぶれやすくなる病気(気管虚脱)などが挙げられています。どれにあてはまるかは、病院で調べないとわかりません。
逆くしゃみ・咳と見分けにくいとき
起きているときに「ガーガー」「ブーブー」と鳴るときは、いびきではなく逆くしゃみや咳のこともあります。飼い主には見分けにくいので、音がしているときの動画を撮って、病院で見てもらうのがいちばん確かです。
病院に伝えること:いびきの動画を撮っておく
いびきは、病院で再現しにくい症状です。家で次のことを記録しておくと、相談しやすくなります。
- いつから:いびきに気づいた時期。急に始まったか、少しずつか
- 頻度と大きさ:毎晩か、ときどきか。音は大きくなってきたか
- 起きているときの様子:起きていても音がするか、散歩で疲れやすいか、声が変わったか
- 寝ているときの呼吸:1分間に何回胸が上下するか、息が止まるような間があるか
- ほかの様子:咳、鼻水、鼻血、くしゃみ、むせ、食欲・元気、体重の変化
- 生活の変化:太ってきた、暑い日が続いている、家族がたばこを吸う、新しい芳香剤を使い始めた など
動画の撮り方
スマートフォンで、いびきの音と、胸やお腹の動きが一緒にわかるように撮ります。30秒〜1分ほどあれば十分です。顔のアップだけでなく、体全体が映るように撮ると、呼吸のしかたが伝わりやすくなります。起きているときにも音がする場合は、その様子も撮っておきましょう。
寝ているときの呼吸の回数の数え方は、犬の呼吸が早いときにまとめています。
いびきをかきやすい犬種は?
パグ、フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグなど、鼻が短く顔が平らな犬種(短頭種)は、空気の通り道が狭い傾向があり、いびきが出やすいとされています。こうした犬種に多い呼吸の問題を「短頭種気道症候群(BOAS)」といいます。英国ケンブリッジ大学の獣医学部は、BOASは軽い呼吸の音から、運動・睡眠・暑さへの耐性に影響する重いものまで幅がある、としています。
2026年2月に発表されたケンブリッジ大学の研究では、パグ・フレンチ・ブルドッグ・ブルドッグ以外の14犬種、約900頭の呼吸を調べ、12犬種で呼吸の問題が見られました。
| 研究でのリスクの分類 | 犬種 |
|---|---|
| 高い | ペキニーズ、狆(ジャパニーズ・チン) |
| 中くらい | キング・チャールズ・スパニエル、シー・ズー、グリフォン・ブリュッセル、ボストン・テリア、ドーグ・ド・ボルドー |
| 軽い | スタッフォードシャー・ブル・テリア、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、チワワ、ボクサー、アーフェンピンシャー |
| 呼吸の問題が見られなかった | ポメラニアン、マルチーズ |
出典:University of Cambridge「Pekingese, Shih Tzu and Staffordshire Bull Terrier among twelve dog breeds at risk of serious breathing condition」(2026年2月)、Tomlinson F ほか(PLOS One, 2026)(2026年10月23日に確認)
この研究では、ペキニーズの89%、狆の82%に呼吸の問題が見られ、パグなどと同じくらいの割合だったと報告されています。また、キャバリア、シー・ズー、アーフェンピンシャーでは太っていることがリスクと関係していた、とされています。研究者は、見た目だけでなく呼吸の検査で確かめることがいちばん確かだと述べています。
表の犬種だからといって、必ず病気になるわけではありません。逆に、表にない犬種でもいびきが気になることはあります。鼻の短い犬種と暮らしている方は、暑い日や興奮したあとに息が苦しくなりやすいことを知っておくと安心です。
病院では、どんなことをするの?
いびきや呼吸の音が気になって受診すると、一般的には、問診(いつから・どんなときか)、体の診察、鼻やのど・胸の音を聞く、といったことから始まります。必要に応じて、レントゲン検査や、鎮静・麻酔をかけてのどや鼻の中を見る検査が行われることもあります。VCAの解説では、のどの動き(喉頭)の状態は、多くの場合、鎮静をかけて調べるとされています。
治療のしかたは、原因によってまったく違います。獣医師が監修した解説では、軟口蓋過長症や鼻の穴が狭い状態(外鼻孔狭窄)は主に手術で治療し、状態によっては手術をせずに管理することもあるので、獣医師とよく相談することが大切、とされています。どんな検査や治療が合うかは、愛犬の年齢や体の状態をふまえて、かかりつけ医と相談してください。
老犬のいびきが増えたとき、気をつけたいことは?
年をとった愛犬のいびきが大きくなってきた、という声はよく聞かれます。国内の獣医師が監修した解説では、年をとるとのどや首の筋肉が衰え、若いころよりいびきが出やすくなる、とされています。
「年のせい」と決めつけず、変化を伝える
Medivetの解説では、シニア犬がいびきをかきやすくなる理由として、のどの筋肉のはりが弱くなること、運動量が減って体重が増えること、年齢とともに起こりやすいのどの病気などを挙げ、シニア犬の呼吸の変化は獣医師にみてもらうようにすすめています。
ゆっくり進む変化は、毎日いっしょにいるとかえって気づきにくいものです。「半年前より音が大きい」「最近は昼寝でもかく」といった変化があれば、動画を撮って、健康診断や通院のついでに相談してみてください。
散歩で疲れやすい・声が変わったときは
米国の動物病院グループ(VCA)の解説では、中高齢の犬、特にラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーなどで、のどの動きが悪くなる病気(喉頭麻痺)が見られることがあり、運動したがらない、呼吸の音がうるさい、ハアハアが激しい、吠える声が変わる、食べたり飲んだりするときにむせる、といった様子が挙げられています。こうした様子は「年をとったから」と見過ごされやすいとも書かれています。暑い日に悪化しやすいこと、首輪よりハーネスがすすめられることも紹介されています。
息が苦しそう、歯ぐきが紫っぽい、倒れた、というときは、すぐ病院に電話してください。
寝ているときの呼吸の回数も見ておく
シニア犬では、いびきとは別に、寝ているときの呼吸が早くなることもあります。心臓の病気がある犬では、寝ているときの呼吸数を家で数えるようにすすめられることがあります。心臓の病気については犬の心臓病を読んでください。
犬のいびきが気になるとき、家でできることは?
すぐ病院に電話するサインがなく、病院に相談したうえで家で過ごすときは、次のことを心がけてみてください。
家でできること
- いびきの様子を、ときどき動画で残しておく(変化に気づきやすくなる)
- 体重を週に1回など決まったタイミングで量る。太りぎみなら、食事量や運動は病院と相談して調整する
- 家の中でたばこを吸わない。強い芳香剤やスプレーは寝床の近くで使わない
- 寝床のほこりを減らし、こまめに洗う。部屋の換気をする
- 夏は部屋を涼しく保ち、暑い時間の散歩は避ける
- 首を圧迫しないよう、首輪よりハーネスを使う
- 横向きでも寝やすいよう、ふちのあるベッドなど寝床を整える
国内の獣医師が監修した解説では、肥満の改善、たばこの煙など鼻の粘膜への刺激を避けること、飲んでいる薬が鼻炎の原因になっていないか獣医師に確認することなどが紹介されています。英国の動物病院グループの解説でも、横向きで寝やすい寝床、健康的な体重、刺激物を減らすこと、寝る場所の換気などが挙げられています。
ダイエットは、年をとった犬や持病のある犬では体に負担がかかることもあります。急に食事を減らさず、どのくらいのペースで体重を落とすかは、かかりつけの動物病院で相談しましょう。
夜間に苦しそうになったら
夜中に、息が苦しそう、歯ぐきの色が悪い、ぐったりしている、といった様子があれば、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞いてください。探し方と、電話で伝えることは夜間・休日に動物病院を探すにはにまとめています。症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。
いびきは、愛犬がぐっすり眠っている証拠のようで、ほほえましく聞こえることもありますよね。その音をときどき動画に残しておくことが、いざというときの手がかりになります。
よくある質問
犬がいびきをかくのは、病気ですか?
いびきだけで病気かどうかはわかりません。寝る姿勢や一時的な鼻づまりで、健康な犬もいびきをかくことがあります。ただ、起きているときも音がする、急にかくようになった、音が大きくなった、苦しそう、といった変化があるときは、動物病院に相談してください。
老犬になってから、いびきが大きくなりました。様子を見ていいですか?
年をとるとのどや首の筋肉がゆるみ、いびきが出やすくなるとする獣医師の解説があります。一方で、英国の動物病院グループは、シニア犬の呼吸の変化は獣医師にみてもらうようにすすめています。急な変化や、昼間の様子(疲れやすい、声が変わった など)もあるときは、早めに相談しましょう。
いびきは、どうやって病院に伝えればいいですか?
スマートフォンで、いびきの音と、お腹や胸の動きがわかるように30秒〜1分ほど動画を撮っておくと伝わりやすくなります。いつから、どのくらいの頻度か、起きているときにも音がするかもメモしておきましょう。
いびきをやめさせる方法はありますか?
原因によって違うので、決まった方法はありません。太りぎみなら獣医師と相談しながら体重を整える、たばこの煙など鼻への刺激を避ける、寝床の空気をきれいにする、といった工夫を紹介する獣医師の解説があります。息が苦しそうな様子があるときは、家での工夫より先に病院に相談してください。
鼻の短い犬種なら、いびきは気にしなくていいですか?
鼻の短い犬種は、もともといびきが出やすいとされています。国内の獣医師の解説では、起きているときに異常がなければ、ふだんのいびきは心配しすぎなくてよいとされる一方、いびきの回数が多い・音が大きいときは受診をすすめています。暑さで息が苦しくなりやすいので、夏は特に注意しましょう。
犬のいびき:病院に相談する前のメモ
印刷して、終わったものに印をつけて使えます。
- いつから(いびきに気づいた時期、急に始まったか)
- 頻度(毎晩/ときどき)と、音の大きさの変化
- 起きているときにも、ゼーゼー・ガーガーと音がするか
- 寝ているときの呼吸の回数(1分間)
- 息を止めるような間があるか
- 散歩で疲れやすい、すぐ座り込むか
- 吠える声が変わったか
- 咳、鼻水、鼻血、顔のはれがあるか
- 食べたり飲んだりするときにむせるか
- 体重の変化
- いびきと胸・お腹の動きがわかる動画
いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-ibiki/
参考にした情報
- オリコン ペット保険「犬のいびき」(ガイア動物病院 院長 松田唯 監修)
- 価格.com保険「犬のいびき」(獣医師 三宅亜希 監修)
- Medivet「Understanding Snoring In Dogs」
- University of Cambridge「Pekingese, Shih Tzu and Staffordshire Bull Terrier among twelve dog breeds at risk of serious breathing condition」(2026年2月)
- Tomlinson F, Liu N-C, Sargan DR, Ladlow JF. A cross-sectional study into the prevalence and conformational risk factors of BOAS across fourteen brachycephalic dog breeds. PLOS One. 2026(DOI: 10.1371/journal.pone.0340604)
- University of Cambridge Department of Veterinary Medicine「Vet School researchers advancing knowledge of BOAS in dogs」
- VCA Animal Hospitals「Laryngeal Paralysis in Dogs」
制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。
この記事の更新履歴
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この記事を書いた人
老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。