犬の肉球のひび割れ・乾燥・赤い・腫れ。病院に行くサインとシニア犬のケア
この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。
この記事のポイント
- 肉球とは、犬の足の裏にある、毛の生えていない厚い皮膚のふくらみのことです。体重を支え、地面からの衝撃をやわらげ、滑りにくくする役目があります。
- ひび割れから血が止まらない、赤く腫れて熱をもつ、足を引きずる、皮がむけた、しきりになめる・かじるときは、動物病院に相談してください。
- 年をとると、肉球がかたく厚くなったり、すり減ったりすることがあります。かたくなる変化はほかの病気でも起こるため、気づいたら一度見てもらうと安心です。
- シニア犬は、足裏の毛や伸びた爪で滑りやすくなります。足裏の毛と爪を短く保ち、滑りにくい敷物を敷くと、歩きやすくなります。
犬の肉球がひび割れて血が出ている、赤く腫れている、足を引きずる、しきりになめる。そんなときは動物病院に相談してください。とくに、血が止まらない、腫れて熱をもつ、皮がべろんとむけた、痛がって足をつかないときは、早めに電話を。乾燥による浅いひび割れでも、くり返す・広がるときは一度見てもらうと安心です。
年をとった犬では、肉球がかたく厚くなったり、すり減ったりすることもあります。また、足裏の毛や伸びた爪で床が滑りやすくなります。この記事では、すぐ電話したほうがいいサイン、ひび割れ・乾燥・赤み・腫れの見方、病院に伝えること、シニア犬で気をつけたいこと、家でできることを順に紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。
犬の肉球とは?ふだんはどんな状態?
肉球とは、犬の足の裏にある、毛の生えていない厚い皮膚のふくらみのことです。体重を支え、地面からの衝撃をやわらげ、滑りにくくする役目があります。犬は肉球の部分に汗をかく腺があり、鳥取県の案内でも、犬の汗腺は主に肉球にしかないと説明されています。
健康な肉球は、少し弾力があって、表面が適度にざらついています。毛の色や犬種によって、黒・ピンク・まだらなど色もさまざまです。「いつもと違う」に気づくために、ふだんの肉球の色やさわり心地を知っておきましょう。
肉球を見るときは、次のところを確かめます。
- 表面:ひび割れ、乾燥してガサガサ、かたく厚い、すり減ってツルツル
- 色:赤い、紫っぽい、色が抜けた、黒ずんだ
- 形:腫れている、ふくらみ・できものがある、皮がむけた
- 指の間:赤み、腫れ、膿、毛が抜けている、異物(草の実・トゲなど)
- 爪:伸びすぎて曲がっている、肉球に食いこんでいる、割れている
- 足裏の毛:伸びて肉球を覆っている、からまっている
犬の肉球が気になるとき、すぐ病院に電話したほうがいいサインは?
次のようなときは、様子を見ずに、早めに動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。
こんなときは、早めに動物病院に電話してください
- 傷やひび割れから血が出て、押さえても止まらない
- 肉球や指の間が赤く腫れて、熱をもっている
- 皮がべろんとむけた、ただれている(やけどの心当たりがあるときも)
- 足を引きずる、足をつかない、さわると鳴く・怒る
- 指の間にぷっくりしたできものがあり、膿や血がにじむ
- ガラス・トゲなどが刺さっている、刺さった心当たりがある
- しきりになめる・かじって、止められない
- 肉球が冷たく、色が紫っぽい・白っぽい
- 元気がない、食欲がないなど、ほかの変化も一緒にある
米国の獣医学の手引き(MSD Veterinary Manual)の飼い主向け版では、指の間に起こる膿のたまり(趾間せつ)は、痛み、その足を引きずる、なめる・かむといった様子をともなうとされています。米イリノイ大学獣医学部の記事でも、足の炎症や、足をなめすぎる様子があれば、早めに獣医師に見てもらうようすすめています。
足を引きずる・歩き方がおかしいときは、肉球ではなく関節や神経が関わっていることもあります。症状ごとの受診の目安は、すぐ病院か確かめるでも確かめられます。
肉球がひび割れる・乾燥するのはなぜ?
肉球のひび割れや乾燥は、季節や暮らしの中で起こることもあれば、体の変化のサインのこともあります。
| 考えられるきっかけ | 挙げられている内容 |
|---|---|
| 乾燥・寒さ | 空気が乾く季節に、肉球が乾いてひび割れることがある |
| 地面からの刺激 | 熱いアスファルト、砂利、雪や融雪剤、長い距離の散歩 |
| 年齢による変化 | 肉球がかたく厚くなる、すり減る |
| 皮膚の病気 | 膿皮症、指の間の炎症、アレルギー など |
| 体のほかの病気 | 肉球がかたく厚くなる変化は、自己免疫の皮膚の病気、ホルモンの病気などでも見られることがある |
出典:PetMD「Hyperkeratosis in Dogs」(獣医師執筆)、MSD Veterinary Manual「Pyoderma in Dogs」、鳥取県「熱中症に注意!」をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)
獣医師が執筆した海外の解説(PetMD)では、肉球や鼻の皮膚が必要以上にかたく厚くなる状態を「角化亢進(ハイパーケラトーシス)」と呼び、肉球がかたくなる、毛のような突起ができる、ひび割れて乾く、ひび割れから血が出るといった様子が挙げられています。多くは体質や年齢によるもので、急を要することは少ないとされる一方、似た変化は天疱瘡(自己免疫の皮膚の病気)、クッシング症候群、ジステンパー、亜鉛の不足などでも起こるため、獣医師に原因を確かめてもらうようにと書かれています。
ひび割れのとき、見ておくこと
- 何本の足の、どの肉球か(1か所だけか、全部の足か)
- ひび割れの深さ(表面だけか、中の赤い部分が見えるか)
- 血が出ているか
- 歩くときに痛がるか
- 鼻やひじなど、ほかの場所もかたく・ガサガサしていないか
肉球が赤い・腫れているときは?
肉球や指の間が赤い、腫れているときは、炎症や感染、ケガ、異物などが考えられます。
- 指の間の赤み・ブツブツ:MSD Veterinary Manual では、指の間に起こる膿のたまり(趾間せつ)は、はじめは指の間の発疹のような赤みや小さなブツブツで、進むと1〜2cmほどの赤紫色のふくらみになり、破れて血の混じった液が出ることがあるとされています。
- くり返すできもの:イリノイ大学獣医学部の記事では、指の間に痛みのあるできものが何度もできることがあり、毛の短い犬や、環境アレルギーなどがある犬で見られやすいと紹介されています。
- 異物:トゲや草の実が刺さった場合は、1か所だけにできることが多いとされています。
- やけど:夏の日中のアスファルトで、肉球がやけどして皮がむけることがあると、自治体が注意を呼びかけています。
赤みや腫れは、見た目だけで原因を決めることはできません。写真を撮っておき、病院で見てもらいましょう。指の間をしきりになめていると、湿って皮膚がふやけ、さらに悪くなることもあります。皮膚の細菌の病気については犬の膿皮症にまとめています。
肉球が冷たい・色が悪いとき
肉球が冷たいのは、寒い場所にいたあとなど、よくあることです。けれど、冷たいうえに色が紫っぽい・白っぽい、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、といった様子があるときは、体の循環に関わる変化のこともあるので、すぐ動物病院に電話してください。
動物病院に伝えること:場所・いつから・写真
病院では、肉球の様子をくわしく聞かれます。次のことを伝えられるようにしておくと安心です。
- 場所:どの足の、どの肉球か。指の間か
- いつから:気づいた日。急に変わったか、少しずつか
- 様子:ひび割れ・乾燥・赤い・腫れ・皮がむけた・かたい・できもの
- 痛み:足を引きずる、足をつかない、さわると嫌がる
- なめる・かじる:回数が増えたか
- 心当たり:散歩の場所や時間、熱い地面・砂利・雪、ケガ、新しい床材や洗剤
- ほかの変化:鼻やひじのかたさ、皮膚のかゆみ、元気・食欲・水を飲む量
写真の撮り方
肉球は、明るいところで、足を軽く持ち上げて真下から撮ると見やすくなります。指の間は、指をそっと広げて撮ります。同じ肉球を日を変えて撮っておくと、よくなっているか、悪くなっているかを比べやすくなります。痛がるときは無理に広げないでください。
シニア犬の肉球で気をつけたいこと
肉球がかたく厚くなる・すり減る
PetMD の解説では、肉球がかたく厚くなる変化は、8〜12歳ごろのシニア犬でよく見られ、横になって過ごす時間が長くなることも関係するとされています。また、長年歩いてきたことで、肉球の表面がすり減ってツルツルになることもあります。
かたくなった肉球はひび割れやすく、ひび割れから細菌が入ると、歩くときに痛むこともあります。年のせいかなと思っても、ほかの病気が隠れていないか、健康診断のときなどに一度見てもらうと安心です。
足裏の毛で滑る
足裏の毛が伸びて肉球を覆うと、肉球が床にしっかりつかず、フローリングなどで滑りやすくなります。足裏の毛は、肉球からはみ出さない長さに短く整えましょう。肉球を傷つけないよう、先の丸いハサミやバリカンを使い、むずかしいときはトリミングサロンや動物病院にお願いしてもかまいません。
爪の伸びすぎで滑る・肉球を傷つける
年をとると散歩の距離が短くなり、爪が地面で削れにくくなります。爪が伸びると、肉球が床につきにくくなって滑りやすくなるほか、曲がって伸びた爪が肉球に食いこむこともあります。
米国のイヌの老化研究プロジェクト(Dog Aging Project)の獣医師による記事では、爪を短く保つと、犬は肉球を使って床をつかみやすくなるとしています。伸びすぎた爪は、血管や神経が通る部分を切らないよう、1〜2週間ごとに先の少しだけを数か月かけて切り、ちょうどよい長さになったら3〜4週間ごとに切ることをすすめています。爪が黒くて中が見えにくい犬や、足をさわられるのが苦手な犬は、動物病院やトリミングサロンで切ってもらいましょう。
床の滑りへの工夫
同じ記事では、滑りやすい床で転ぶとケガにつながりやすいとして、裏に滑り止めのついた敷物を、寝る場所やよく通る場所に敷くことをすすめています。はじめて使うときは、敷物がずれたり、つまずいたりしないか、そばで見てあげてください。滑り止めの靴下や靴、爪や肉球につける滑り止め用品もあります。かじる犬は誤って飲みこまないよう注意し、使ってよいか獣医師に相談してから選びましょう。
滑り止めマットや靴下の選び方は、シニア犬の滑り止めにまとめる予定です。歩行を助ける用品は老犬の介護用品や犬の車椅子も参考にしてください。
犬の肉球のために、家でできることは?
すぐ病院に電話するサインがなく、病院に相談したうえで家で様子を見るときは、次のことを心がけてください。
家でできること
- 散歩のあとは、肉球と指の間の汚れをぬるま湯でやさしく落とし、よく乾かす
- 指の間に草の実・トゲ・小石が挟まっていないか見る
- 夏は早朝や夜など涼しい時間に散歩し、出かける前に地面を手の甲でさわって確かめる
- 冬の雪道や融雪剤をまいた道を歩いたあとは、足を洗って乾かす
- 保湿剤を使うときは、犬用のものを選び、使い方を病院に確かめる
- 人用のクリームや薬を自己判断で塗らない
- 傷があるときは、なめないようにする方法(靴下・カラーなど)を病院に相談する
- 足裏の毛を短く整え、爪を伸ばしすぎない
- 寝床をやわらかくし、ひじや肉球への負担を減らす
保湿のこと
乾燥しやすい季節には、肉球に保湿剤を塗ってひび割れを防ぐ方法がよく紹介されています。PetMD の解説でも、肉球や鼻、ひじに保湿用のバームを塗ると、皮膚をやわらかく保ちひび割れを防ぐのに役立つことがあるとされています。ただし、犬はなめてしまうため、成分には気をつけたいところです。傷やただれがあるとき、くり返すときは、塗る前に病院で見てもらいましょう。
夏のアスファルトに注意
鳥取県の案内では、道路のアスファルトはかなりの熱をもち、肉球がやけどして皮がむけることがあるとして、日中の暑い時間の散歩を避けるよう呼びかけています。文京区も、犬は地面に近いところを歩くため地面からの熱を受けやすく、散歩は早朝や夜など涼しい時間にするようすすめています。シニア犬は暑さにも弱くなりがちなので、熱中症とあわせて気をつけましょう。
夜間・休日に気づいたら
夜中や休日に、血が止まらない、腫れて痛がる、皮がむけたといった様子があれば、清潔なガーゼなどで押さえ、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞いてください。探し方は夜間・休日に動物病院を探すにはにまとめています。
肉球は、ふだん目にしにくい場所です。なでるついでに足先もさわって、慣らしておくと、変化に早く気づけます。毎日のお手入れの時間が、愛犬とのふれあいの時間にもなりますように。
よくある質問
犬の肉球がひび割れていたら、すぐ病院に行くべきですか?
血が止まらない、赤く腫れている、痛がって足をつかない、なめ続けるといった様子があれば、動物病院に相談してください。浅いひび割れで痛がる様子がなくても、くり返す・広がる・肉球がかたくなってきたときは、一度見てもらうと安心です。
肉球にワセリンや人間用のハンドクリームを塗ってもいいですか?
犬はなめてしまうので、人用のクリームは成分によっては合わないことがあります。保湿をするなら、犬用として売られているものを選び、使ってよいか、どのくらい塗るかを、かかりつけの動物病院に聞いてください。傷やただれがあるときは、自己判断で塗らずに相談しましょう。
シニア犬の肉球がかたくなってきました。年のせいですか?
年をとって肉球がかたく厚くなることはあり、寝ている時間が長くなることと関係があるとする獣医師の解説もあります。ただ、同じような変化は皮膚の病気やホルモンの病気などでも見られることがあるため、年のせいと決めつけず、健康診断などのときに見てもらってください。
夏の散歩で肉球をやけどしないか心配です。
自治体の案内では、日中のアスファルトはかなりの熱をもち、肉球がやけどして皮がむけることがあるとして、早朝や夜など涼しい時間の散歩をすすめています。出かける前に、地面を手の甲でさわって確かめると安心です。
シニア犬が床で滑ります。肉球のケアで変わりますか?
足裏の毛が肉球を覆っていたり、爪が伸びて肉球が床につきにくくなったりすると、滑りやすくなります。足裏の毛と爪を短く保つこと、よく過ごす場所に滑りにくい敷物を敷くことが、すぐにできる工夫です。
肉球が気になるとき:病院に持っていくメモ
印刷して、終わったものに印をつけて使えます。
- どの足の、どの肉球か(前足・後ろ足、左右)
- いつから気づいたか
- 様子(ひび割れ・乾燥・赤い・腫れ・皮がむけた・かたい・できもの)の写真
- 血が出たか、止まったか
- 足を引きずる、足をつかない、さわると嫌がるか
- なめる・かじる回数が増えたか
- 指の間の赤み・腫れ・膿があるか
- 散歩の場所・時間(熱い地面、砂利、雪や融雪剤 など)
- ほかの肉球や鼻・ひじにも同じ変化があるか
- 元気・食欲・水を飲む量の変化
いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-nikukyu/
参考にした情報
- MSD Veterinary Manual(Pet Owner Version)「Abscesses Between the Toes (Interdigital Furunculosis) in Dogs」
- MSD Veterinary Manual(Pet Owner Version)「Pyoderma in Dogs」
- PetMD「Hyperkeratosis in Dogs」(Melissa Boldan, DVM)
- University of Illinois College of Veterinary Medicine「Dog's Painful Growths between Toes Removed by Laser」
- Dog Aging Project「Mobility Tips and Tricks for Senior Dogs」(Kellyn McNulty, DVM)
- 鳥取県「熱中症に注意!」(ペットの熱中症とアスファルトの熱)
- 文京区「ペットも熱中症に注意」
制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。
この記事の更新履歴
- 獣医師の監修を経て公開しました。
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この記事を書いた人
老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。