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01 症状と受診

犬の椎間板ヘルニアとは?気づくサインと治療の流れ、家での過ごし方

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬の椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にあるクッション(椎間板)が変性して飛び出し、脊髄(神経)を圧迫して、痛みや麻痺などが出る病気のことです。
  • 抱っこで鳴く、段差に飛び乗らなくなる、背中を丸める、後ろ足がふらつく・引きずる、といった変化がサインになります。
  • 急に立てない、後ろ足が動かない、おしっこやうんちが出ない・もらすときは、様子を見ずにすぐ動物病院に電話してください。時間がたつほど回復しにくくなることがあるとされています。
  • ミニチュア・ダックスフンドなどは若いうちから、それ以外の犬種でも年をとってから起こることがあります。家では滑らない床と、段差・抱き方の工夫が助けになります。

犬の椎間板ヘルニアは、背骨の間のクッション(椎間板)が飛び出して神経を圧迫し、痛みや麻痺が出る病気です。抱っこで鳴く、段差に飛び乗らなくなる、背中を丸める、後ろ足がふらつく・引きずるといった変化がサインになります。急に立てない、後ろ足が動かない、おしっこやうんちが出ない・もらすときは、夜間や休日でも様子を見ずに、すぐ動物病院に電話してください。麻痺が重い場合は、時間がたつほど回復しにくくなることがあるとされています。

このページでは、どんな病気か、気づくサイン、すぐ電話したほうがいい様子と急ぎ度、病院で行われること、シニア犬で気をつけたいこと、家での過ごし方、費用の例を順に紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。

犬の椎間板ヘルニアとは?どんな病気?

犬の椎間板ヘルニアとは、背骨(椎骨)と背骨の間でクッションの役目をしている「椎間板」が変性して飛び出し、背骨の中を通る脊髄(神経)を圧迫して、痛みや麻痺などの症状が出る病気のことです。首から腰まで、どこの背骨でも起こりえます。

獣医師が監修した解説や獣医学の専門書では、起こり方は大きく2つに分けて説明されています。

起こり方どんなものか多いとされる犬
若いうちから椎間板が硬くなるタイプ椎間板の中身が早くから硬くなり、急に飛び出す。症状が急に強く出ることが多いミニチュア・ダックスフンド、フレンチ・ブルドッグ、ビーグル、シー・ズー、ペキニーズ、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークなど
年をとって少しずつ飛び出すタイプ年齢とともに椎間板が傷み、ゆっくり盛り上がって神経を押す。症状もゆっくり進むことが多い5歳以降の大型犬など。どの犬種でも起こりうる

出典:MSD Veterinary Manual「Degenerative Diseases of the Spinal Column and Cord in Animals」、価格.com保険「犬の椎間板ヘルニア」(獣医師 三宅亜希 監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

獣医学では、前者を「ハンセンI型」、後者を「ハンセンII型」と呼ぶことがあります。MSD獣医マニュアルでは、ミニチュア・ダックスフンドが一生のうちに椎間板の病気を起こす割合は約20%とされています。国内の獣医師が監修した解説では、年齢によるリスクから7歳以上は特に注意が必要とされています。

犬の椎間板ヘルニアの症状は?気づくサイン

症状は、どこの背骨で起こったか、どのくらい神経が押されているかで変わります。国内の獣医師が監修した解説では、重さによって次のような様子が挙げられています。

重さの目安気づくサインの例
軽い背中に触ると痛がる、抱っこで鳴く、ソファなどに飛び乗らなくなる、運動量が減る
中くらい足元がふらつく、後ろ足を引きずる、背中を丸めて歩く
重い立ち上がれない、足が動かない(麻痺)、おしっこ・うんちのコントロールができない

出典:オリコン ペット保険「犬の椎間板ヘルニア」(獣医師 安田賢 監修)、価格.com保険「犬の椎間板ヘルニア」(獣医師監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

首のヘルニアと、背中・腰のヘルニア

MSD獣医マニュアルでは、首で起こると首の痛み・こわばりが目立ち、前足をかばうこともあるとされています。背中から腰で起こると、背中の痛み、背中を丸める姿勢、動きたがらない様子が見られ、後ろ足のふらつきから麻痺、おもらしまで、首より重い症状になりやすいとされています。震えも、痛みのサインとして挙げられています。

軽いうちは「最近あまり走らない」「年のせいかな」と見えることもあります。抱っこで「キャン」と鳴いた、階段の前で止まるようになった、という小さな変化を覚えておいてください。

すぐ病院に電話したほうがいいサインは?急ぎ度の目安

椎間板ヘルニアは、急に悪くなることがある病気です。次のような様子があるときは、様子を見ずに、すぐ動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。

こんなときは、夜間・休日でもすぐ動物病院に電話してください

  • 急に立てなくなった、後ろ足(または4本の足)が動かない
  • 後ろ足を引きずる、ナックリング(足の甲を地面について歩く)
  • おしっこが出ない、またはもらしてしまう。うんちをもらす
  • 数時間のうちに、ふらつきから立てない状態へと悪くなっている
  • 強く痛がって鳴く、触らせない、震えが止まらない
  • 首を動かすと痛がり、頭を下げたまま上げられない
様子急ぎ度の考え方の例
立てない・足が動かない・おしっこが出ないすぐ電話して受診(夜間・休日でも)
歩けるが、ふらつく・引きずるできるだけ早く、当日中に相談
歩けるが、痛がる・抱っこで鳴く・段差を嫌がる動かさずに安静にし、当日〜翌日に相談

出典:オリコン ペット保険「犬の椎間板ヘルニア」(獣医師監修)、MSD Veterinary Manual をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

椎間板ヘルニアが心配なときの急ぎ度を信号のような3段で示した図。立てない・足が動かない・おしっこが出ないときはすぐ電話して受診、歩けるがふらつく・引きずるときは当日中に相談、歩けるが痛がる・抱っこで鳴く・段差を嫌がるときは安静にして当日〜翌日に相談
急ぎ度はあくまで目安です。どの段か迷うときは、軽いほうに決めずに、まず動物病院に電話してください。イラスト:いぬのながいき手帖

この表は目安です。どの段にあてはまるか迷うときは、軽いほうに決めずに、まず動物病院に電話して相談してください。痛がるだけで歩けている場合も、抱っこや段差を控えて動ける範囲を狭くし、当日か翌日には相談しましょう。はじめは痛みだけに見えても、そのあとふらつく、引きずるといった様子が出てきたら、表の上の段の急ぎ度に変わります。年をとった犬や、ミニチュア・ダックスフンドなどヘルニアの多い犬種では、迷ったら早めに電話してください。

国内の獣医師が監修した解説では、後ろ足が動かない・引きずる、突然立ち上がれない、排せつをコントロールできない、といった症状が24時間以内に急に悪くなった場合は、速やかに受診するようにすすめています。重い場合は早急な手術が必要で、手術が遅れると回復率に影響するとされています。

MSD獣医マニュアルでは、麻痺がある犬で、足先をつねったときの深い痛みの感覚(深部痛覚)が残っているかどうかで、手術後に歩けるようになる見込みが大きく違うとされています。

状態(小型犬・背中〜腰のヘルニアで手術した場合)回復の割合
歩けないが、深い痛みの感覚は残っている85〜95%
深い痛みの感覚がなくなって24時間以内約50%
深い痛みの感覚がなくなって24時間以上50%未満

出典:MSD Veterinary Manual「Recovery Rates After Surgery for Intervertebral Disk Disease in Dogs」(2026年10月23日に確認)

この数字は、獣医師向けの専門書に載っている目安で、愛犬がどうなるかを示すものではありません。ただ、「立てない」ときに朝まで待たず、すぐ電話したほうがいい理由のひとつです。

病院に向かうまでにできること

立てない犬を運ぶときは、背中をまっすぐに保つように、板やバスタオルを担架がわりにして、体全体を支えます。首や背中をひねらないようにし、キャリーやクレートに入れて動き回らないようにします。痛がって咬むことがあるので、顔の近くには気をつけてください。人の痛み止めは与えないでください。

病院ではどんな検査・治療をする?

検査の流れ

  • 神経の検査:歩き方、足の反射、足先の感覚(深部痛覚)などを見て、どこの背骨か、どのくらい重いかを調べる
  • レントゲン検査:骨折や腫瘍などほかの病気がないかを見る。ただ、レントゲンだけではヘルニアの場所はわからないとされる
  • MRI・CT検査:飛び出した椎間板の場所と程度を確かめる。全身麻酔が必要

獣医師が監修した解説では、骨折や脱臼、腫瘍、脊椎炎でも似た症状が出るため、早めの検査がすすめられています。MRIやCTは、設備のある病院を紹介されることもあります。

治療の選択肢

治療どんなものか考えられることが多い場合
安静と薬(内科的な治療)ケージなどで数週間の安静を保ち、痛みや炎症を抑える薬を使う痛みが中心で、麻痺が軽い〜中くらい
手術背骨の一部を削って、飛び出した椎間板を取り除き、神経の圧迫をとる麻痺が重い、安静と薬で良くならない、くり返す
リハビリ手術や安静のあと、筋肉と歩き方を取り戻す治療のあとに段階的に

出典:MSD Veterinary Manual、価格.com保険・オリコン ペット保険「犬の椎間板ヘルニア」(獣医師監修)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

MSD獣医マニュアルでは、痛みと軽〜中くらいの麻痺の犬は、約2〜3週間のケージでの安静で良くなることが多い一方、安静にせずに痛み止めだけ使うと、動きすぎて悪化するおそれがあるとされています。国内の獣医師が監修した解説でも、症状が安定する前に普段の生活に戻すと、悪化して歩けなくなるおそれがあると書かれています。

シニア犬の椎間板ヘルニアで気をつけたいこと

「年のせい」と見分けにくい

散歩で歩きたがらない、ソファに乗らなくなった、抱っこを嫌がる。年をとった犬ではよくある変化ですが、背中や首の痛みのこともあります。とくに、急に変わったときや、触ると嫌がるときは相談してみてください。

ほかの病気と見分ける

年をとった犬では、関節の病気や、パテラ(膝蓋骨脱臼)、腫瘍、ゆっくり進む脊髄の病気(変性性脊髄症など)でも、後ろ足に力が入らなくなることがあります。痛みの有無や、進み方の速さも手がかりになるため、いつから・どう変わったかを記録しておきましょう。後ろ足の変化全般は犬の後ろ足に力が入らないときにまとめています。

手術をするかどうか、家族で話しておく

年をとってからの手術は、麻酔の負担や術後の介護も考える必要があります。「手術をした場合と、しない場合の見込み」「術後のリハビリの期間」「家での介護の内容」を聞いて、家族で話して決めてかまいません。急な場面では迷う時間が短いので、ミニチュア・ダックスフンドなど多い犬種と暮らしている場合は、元気なうちに「MRIや手術ができる病院はどこか」を聞いておくと安心です。

椎間板ヘルニアと言われたら、寿命はどのくらい?

「犬 椎間板ヘルニア 寿命」で調べる方は多いと思います。けれど、症状の重さ、場所、年齢、治療への反応などで一頭一頭大きく違います。このページでは、寿命の数字はお伝えしていません。

MSD獣医マニュアルでは、深い痛みの感覚がなくなった麻痺の犬の一部で、脊髄の傷みが広がる重い状態(進行性脊髄軟化症)が起こることがあると説明されています。こうしたことも含めて、愛犬の今の状態でどんな見込みがあるのかは、かかりつけの獣医師に聞いてください。

  • 今の重さと、歩けるようになる見込み
  • 治療の選択肢と、それぞれの負担
  • 家で気をつけてほしいサインと、すぐ電話してほしい様子
  • 再発を防ぐために家でできること

歩けなくなったあとも、車椅子やハーネスで外を楽しんでいる犬はたくさんいます。犬の車椅子もあわせて読んでみてください。

椎間板ヘルニアの犬との家での過ごし方

家でできること

  • 安静を指示されたら、ケージやサークルで動ける範囲を狭くし、指示された期間を守る
  • フローリングに滑り止めマットやカーペットを敷き、足裏の毛と爪を短く保つ
  • ソファ・ベッドへの飛び乗り、階段の上り下りをさせない(ゲートやスロープを使う)
  • 抱っこは、胸とお尻を両手で支えて、背中を水平に保つ。仰向け抱っこや脇の下だけ持つ抱き方はしない
  • 二本足で立たせる遊びをしない
  • 散歩は首輪より胴につけるハーネスで、首に負担をかけない
  • 体重を増やさないよう、食事量を病院と相談する
  • 麻痺があるときは、おしっこが出ているかを毎日確かめる(出し方は病院で教わる)
  • 寝たままの時間が長いときは、床ずれを防ぐためにやわらかい寝床にし、体の向きを変える

国内の獣医師が監修した解説では、肥満を防ぐこと、腰に負担のかかる姿勢を避けること、滑りにくい床にすること、首に負担をかけないようハーネスで散歩することなどが、予防と再発防止のために挙げられています。手術のあとは、獣医師の指示に従って段階的にリハビリを進めます。

おしっこの介助や体位の交換が続くと、飼い主もくたびれてしまいます。家族で当番を分けたり、介護用品を上手に使ったりしてください。用品は老犬の介護用品、後ろ足の補助は犬の後ろ足に力が入らないときにまとめています。

椎間板ヘルニアの治療にかかる費用は?

費用は、検査の内容(とくにMRI)、手術の有無、入院日数、体の大きさ、病院によって大きく変わります。全国でそろった公的な統計は見つかっていません。参考として、保険会社の請求データとして公表されている例を紹介します。

項目金額の例
診察1,500円
入院(5泊6日)20,400円
検査39,700円
MRI89,000円
全身麻酔15,000円
手術127,300円
点滴12,200円
処置7,100円
注射23,000円
お薬2,450円
合計337,650円

出典:価格.com保険「犬の椎間板ヘルニア」(ミニチュア・ダックスフンド、3歳、手術1回・入院6日。アイペット損害保険提供の請求例。平均や水準を示すものではありません)(2026年10月23日に確認)

国内の獣医師が監修した別の解説では、内科的な治療は数万円程度、手術を含む入院治療は30万円以上になるケースもあるとされています。手術のあとは、通院やリハビリの費用もかかります。

夜間に救急病院へ行く場合は、時間外の料金がかかることもあります。ペット保険に入っている場合は、補償の対象になるか、手術や入院の上限を確かめておきましょう。保険の選び方はシニア犬のペット保険、夜間の病院の探し方は夜間・休日に動物病院を探すにはにまとめています。症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。

よくある質問

犬の椎間板ヘルニアは、どのくらい急いで病院に行けばいいですか?

立てない、後ろ足が動かない、おしっこが出ない・もらすといった様子があるときは、夜間や休日でもすぐ動物病院に電話してください。獣医学の専門書では、麻痺が重い場合、早く手術を受けたほうが回復の見込みが高いとされています。痛がるだけで歩けている場合も、当日か翌日には相談を。

安静にしていれば治りますか?

痛みが中心で、麻痺が軽い場合は、数週間のケージでの安静と薬で良くなることがあるとされています。ただ、良くなる前に普段どおり動き回ると悪化することがあり、症状が重い場合は手術がすすめられることもあります。どの方法がいいかは、かかりつけの獣医師と相談してください。

椎間板ヘルニアと言われました。寿命は短くなりますか?

症状の重さ、場所、年齢、治療への反応などで一頭一頭大きく違うため、このページでは寿命の数字はお伝えしていません。「歩けるようになる見込み」「この先気をつけること」を、かかりつけの獣医師に聞いてみてください。

手術の費用はどのくらいですか?

保険会社が公表している請求の一例では、ミニチュア・ダックスフンド(3歳)のMRI検査・手術・入院6日で合計337,650円という例があります。内科的な治療なら数万円程度という獣医師監修の目安もあります。病院や体の大きさで変わるので、事前に見積もりを聞いておきましょう。

一度治っても、また再発しますか?

獣医学の専門書では、安静と薬で治療した場合、30〜40%で症状がまたあらわれるとされています。良くなったあとも、床や段差の工夫、体重管理を続けることが大切です。

椎間板ヘルニアかも:病院に電話する前のメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • 様子が変わった日時(急に/数日かけて)
  • 立てるか、歩けるか(ふらつく/引きずる/まったく動かない)
  • 前足・後ろ足のどこに力が入らないか
  • 痛がる様子(抱っこで鳴く、背中や首を触ると嫌がる、震える)
  • 最後におしっこ・うんちが出た時刻、もらしていないか
  • きっかけ(ソファから飛び降りた、階段、走った など)
  • 歩く様子・立とうとする様子の動画
  • これまでのヘルニアの治療歴と、飲んでいる薬

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-tsuikanban-hernia/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。

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この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

急ぎの方:すぐ病院か確かめる