急いでいる方へ:すぐ病院か、様子を見ていいか

症状から確かめる →

01 症状と受診

犬が震える。すぐ病院に行くべきサインと、老犬で考えられること

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬が震える理由は、寒さ・怖さ・興奮のような暮らしの中のものから、痛み・吐き気・中毒・病気まで、一つではありません。
  • ぐったりしている、食べてはいけないものを口にした心当たりがある、震えが止まらない・強くなるときは、すぐ動物病院に電話します。
  • 年をとった犬では、足腰の筋肉が落ちて立っているだけで足が震えることや、関節などの痛みで震えることがあると、大学の獣医師が説明しています。
  • 震えている様子をスマートフォンで動画に撮っておくと、病院で様子を伝えやすくなります。

犬が震えるときは、まず寒さや怖さで震えているのか、それともほかにもいつもと違う様子があるのかを確かめます。ぐったりしている、食べてはいけないものを口にした心当たりがある、震えが止まらない・だんだん強くなる、というときは、様子を見ずにすぐ動物病院に電話してください。年をとった犬では、足腰の筋肉が落ちたことや痛みで、足が小刻みに震えることもあります。このページでは、電話の前に確かめることと、病院に伝えること、家でできることをまとめます。

犬の「震え」とは、体の一部または全身が、自分の意思とは関係なく小刻みにふるえる状態のことです。人が寒いときにガタガタ震えるのと同じように、犬もいろいろな理由で震えます。理由を決めつけず、「いつ・どこが・どのくらい」震えているかを見ておくことが、いちばんの手がかりになります。

犬が震えるのはなぜ?考えられる理由

犬が震える理由は、大きく分けて「暮らしの中のもの」と「体の不調によるもの」があります。英国のケネルクラブ(The Royal Kennel Club)は、次のような理由を挙げています。

分け方挙げられている例
気持ち興奮、怖さ、ストレス、不安(雷・花火・動物病院など)
まわりの環境寒さ(小型の犬、毛の短い犬、やせた犬は寒さを感じやすい)、ぬれたあとに体をふるう
体の不調吐き気、痛み、筋力の低下、耳の不調、てんかん、全身性の振戦(ふるえ)、中毒 など
中毒の原因になるものチョコレート、キシリトール、マカダミアナッツ、カフェイン、ニコチン、カビの生えた食べもの、ナメクジ駆除剤(メタアルデヒド) など
多くはないもの腎不全、脳の炎症、アジソン病、低血糖、低カルシウム など

出典:The Royal Kennel Club「Why does my dog shake?」(2026年10月23日に確認)

表の「体の不調」や「多くはないもの」は、震えが見られることがある状態として資料に挙げられているものです。震えているからといって、これらの病気だということではありません。どれに当てはまるかを判断できるのは獣医師だけなので、気になるときは動物病院で見てもらいましょう。

震えに気づいたら、まず確かめること

あわてて抱き上げる前に、少しだけ離れたところから、次のことを見てみてください。電話で病院に相談するときにも、そのまま伝えられます。

  • まわりの様子:部屋は寒くないか、ぬれていないか、雷・花火・工事の音・来客など、怖がるきっかけがなかったか
  • 震えている場所:全身か、足だけか、頭だけか。片側だけか
  • 呼びかけへの反応:名前を呼ぶとこちらを見るか、しっぽを振るか
  • 口にしたもの:テーブルの上の食べもの、ゴミ箱、落ちていた薬やガムなど、いつもと違うものを口にした形跡はないか
  • ほかの様子:吐いた、よだれが多い、ふらつく、背中を丸めている、触ると嫌がる、などはないか
  • 震えが続いた時間:時計やスマートフォンで、始まった時刻を確かめておく

まわりに怖がる理由があり、暖かく静かな場所に移して落ち着いたら止まった、ということであれば、気持ちや寒さによる震えだったのかもしれません。それでも、同じことが何度も続く場合や、飼い主から見て「いつもと違う」と感じる場合は、病院に相談してかまいません。

寒さや怖さで震えている場合は、暖かい場所で落ち着くと止まることが多いと、ウィスコンシン大学の獣医師は説明しています。反対に、落ち着ける環境にしても止まらない震えや、ほかの変化をともなう震えは、体の不調が関わっているかもしれません。

すぐ病院に電話したほうがいいサイン

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • 食べてはいけないもの(チョコレート、キシリトール入りのガムやお菓子、人の薬、殺虫剤・駆除剤など)を口にした心当たりがある
  • ぐったりしている、呼んでも反応がにぶい
  • 震えが止まらない、だんだん強くなる
  • 吐く・下痢・ふらつく・歩けないなど、ほかの様子もいつもと違う
  • 触ると痛がる、鳴く、体を丸めて動かない
  • 全身が突っ張る・倒れて手足をばたつかせるなど、けいれん発作が疑われるとき

中毒が心配なときは、症状が出るのを待たないことが大切です。米国コーネル大学の獣医学部は、キシリトールを食べた犬では、食べてから30〜60分ほどで、元気がなくなる、ふらつく、震える、吐く、けいれんなどが出ることがあるとして、心当たりがあればすぐに獣医師に連絡するよう案内しています。食べたものの袋や箱があれば、病院に持っていくと、どのくらい食べたかを見積もる手がかりになります。

環境省の『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』も、犬にチョコレートを与えると、含まれるテオブロミンのために吐く、下痢、発熱、けいれんの発作などを起こすと注意しています。

夜間や休日で、かかりつけの病院につながらないときの探し方は、夜間・休日に動物病院を探すときとすぐ病院か確かめるにまとめています。

年をとった犬が小刻みに震えるのはなぜ?

年をとった犬の震えで、飼い主からよく聞かれるのが「後ろ足が小刻みに震える」「立っているときに足がぷるぷるする」というものです。

ウィスコンシン大学の獣医師は、次のような説明をしています。

  • 筋肉の疲れ:関節炎などで動く量が減ると筋肉が落ち、少し立っているだけで足が震えることがある
  • 痛み:筋肉・関節・神経の不調(椎間板の病気など)で、特に動いたときに足が震えることがある
  • はっきりした原因が見つからない震え:犬種によっては、年をとってから原因のわからない震えが出ることがあり、その場合も悪化するようなら診察を受け直すことがすすめられる

出典:University of Wisconsin–Madison School of Veterinary Medicine「Ask a UW Veterinarian: On Shaky Ground」(2026年10月23日に確認)

同じ説明の中で、まずは診察と、必要なら血液などの検査で、ほかの原因がないかを確かめることがすすめられています。「年のせいだから」と飼い主だけで決めてしまうと、痛みや病気に気づくのが遅れることがあります。

年をとった犬で、早めに相談したい変化

  • 震えが急に始まった、回数や時間が増えてきた
  • 歩き方が変わった、段差を嫌がる、散歩で座り込む
  • 震えと一緒に、食欲が落ちた・水をたくさん飲む・夜に落ち着かないなどの変化がある

年をとった犬は、寒さにも弱くなりがちです。季節の変わり目や冷房の効いた部屋で震えている場合は、まず室温や寝床の場所を見直してみてください。ただし、暖かくしても止まらない場合は、ほかの理由を考えて病院に相談しましょう。

震えと「けいれん」はどう違う?

震え(ふるえ)とけいれん発作は、見た目が似ていて、飼い主には見分けにくいことがあります。

見分けるときの手がかりは、意識があるかどうかです。米国の動物神経科の専門病院の解説では、震えのとき犬はふつう意識がはっきりしていて、呼びかけに反応し、動くこともでき、よだれやおしっこ・うんちがもれることはなく、おさまったあとはいつもどおりだとされています。一方、イリノイ大学の獣医学部の解説では、全身のけいれん発作では意識がなくなり、横に倒れて手足が自分の意思とは関係なく動いたり、おしっこやうんちがもれたりすることがあるとしています。英国の動物病院チャリティ(PDSA)の資料では、発作のあとにしばらくぼんやりする、ふらつくといった様子が見られることや、体の一部の筋肉だけがぴくぴくする発作もあることが紹介されていて、見た目だけでは区別できないこともあります。

震えとけいれん発作を、意識と呼びかけへの反応、おしっこ・うんちがもれるか、おさまったあとの様子の3つで比べた図
見分けるときの手がかりは、意識があるかどうかです。見分けがつかないときは、動画を撮って動物病院に電話してください。イラスト:いぬのながいき手帖

見分けがつかないときは、無理に判断しようとせず、動画を撮って動物病院に電話してください。発作が起きているときに口の中に手を入れると、かまれることがあります。

ぐるぐる回る、夜に落ち着かず歩き回るといった変化が一緒にある場合は、犬の認知症(認知機能不全症候群)とはも参考にしてください。ただし、こうした変化はほかの病気でも起こるため、まず病院で見てもらうことが大切です。

病院に伝えること

動物病院に電話するときや受診するときは、次のことを伝えると、様子が伝わりやすくなります。記事の最後に、印刷して使えるメモも用意しています。

  1. いつから、どのくらい:最初に気づいた日時、1回に続く時間、1日に何回くらいか
  2. どこが震えるか:全身か、足だけか、頭だけか。後ろ足か前足か
  3. 震えている間の様子:呼びかけに反応したか、立っていられたか、よだれや失禁はあったか
  4. きっかけ:寝起き、散歩のあと、雷や来客のあと、ご飯の前など
  5. 口にしたもの:いつもと違うものを食べた心当たり、拾い食い、ゴミあさり
  6. ほかの変化:食欲、水を飲む量、おしっこ・うんち、歩き方、元気
  7. 持病と薬:ふだん飲んでいる薬やサプリ、最近変えたフード

震えは病院に着くころには止まっていることも多いので、震えている最中の動画がとても役に立ちます。全身が写るように、できれば30秒〜1分ほど撮っておきましょう。

家でできること

病院で「様子を見ましょう」と言われたときや、寒さ・怖さで震えているとわかっているときに、家でできることです。

暮らしの中で試せること

  • 室温を見直し、寝床を床の冷えや冷房の風が当たらない場所に移す
  • 毛の短い犬や小型の犬は、散歩のときに服を着せる
  • 雷や花火の日は、カーテンを閉めて、落ち着ける場所(クレートや部屋の奥)を用意する
  • チョコレート、キシリトール入りの食品、人の薬、たばこなどを、犬の届かない場所にしまう
  • 足腰が弱ってきた犬は、すべりにくいマットを敷いて、立ち上がりやすくする
  • 震えた日時と様子を、カレンダーやスマートフォンにメモしておく

足腰が弱ってきた犬の床の工夫や介護用品は、老犬の介護用品の選び方にまとめています。

痛みが疑われるときに、人の痛み止めを飲ませるのはやめてください。人の薬の中には、犬にとって危険なものがあります。薬は、必ず動物病院で処方されたものを使いましょう。

震える病気が心配なときは

「震える 病気」と調べて、たくさんの病名が出てきて不安になった方もいるかもしれません。震えは、体のいろいろな不調で起こりうるサインの一つです。病名を自分で当てはめるより、いつもと違う変化を記録して、獣医師に見てもらうことが、いちばんの近道です。

年をとった犬は、ちょっとした変化が体の不調のサインであることもあれば、年齢による変化であることもあります。気になることがあっても、次の健康診断まで待つべきか迷ったら、電話で相談してかまいません。愛犬の今の状態を知るために、介護ステージチェックも使ってみてください。

よくある質問

犬が震えていますが、寒いだけかどうかわかりません。

暖かい部屋に移して落ち着かせ、しばらくして震えが止まるかを見てください。止まらない、ほかにもいつもと違う様子がある、という場合は、かかりつけの動物病院に電話して相談しましょう。

老犬の後ろ足が小刻みに震えます。年のせいでしょうか?

年をとって筋肉が落ちると、立っているだけで足が震えることがあると説明されています。ただ、痛みやほかの病気が隠れていることもあるため、自分で年のせいと決めずに、次の受診で獣医師に見てもらいましょう。急に始まった、歩き方も変わった、という場合は早めに相談してください。

震えとけいれんは、どう見分ければいいですか?

見分けがつかないときは、動画を撮って動物病院に電話し、判断してもらうのが確かです。

震えているとき、抱っこしてもいいですか?

寒さや怖さで震えているときは、やさしく声をかけ、愛犬が嫌がらなければ抱っこしたり毛布で包んだりして落ち着かせてかまいません。触ると痛がる・鳴く・体を丸めて動かないときは、無理に抱き上げず、すぐ動物病院に電話してください。けいれん発作のように見えるときは、かまれることがあるので顔や口のまわりに手を近づけず、階段など落ちると危ない場所から離して、動画を撮りながら病院に電話しましょう。

愛犬が震えたとき、病院に伝えることメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • 震えに気づいた日時と、続いた時間(何分くらいか)
  • 震えていた場所(全身/足だけ/頭だけ など)
  • 震えている間、呼びかけに反応したか
  • 震える前に何をしていたか(寝起き・散歩のあと・雷や来客のあと など)
  • 食べてはいけないものを口にした心当たり(チョコレート、キシリトール入りのガム、人の薬など)
  • ほかの様子(吐いた・下痢・ぐったり・食べない・歩き方が違う・痛がる)
  • 持病と、ふだん飲んでいる薬
  • 震えている様子の動画

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/roken-furueru/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。

内容の誤りや古い情報にお気づきの方は、お問い合わせからお知らせください。

この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

急ぎの方:すぐ病院か確かめる