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犬が草を食べるのはなぜ?すぐ病院のサインと、散歩中の除草剤・有毒植物の注意

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬が草を食べるのはよく見られる行動で、米国の大学の調査では、飼い主の約7割が「毎日〜毎週食べる」と答えました。食べる前に具合が悪そうな犬は多くないと報告されています。
  • 有毒な植物を食べた疑いがあるときは、様子が変わらなくても動物病院に電話を。何度も吐く、ぐったりする、ふるえる・けいれんするときはすぐ連絡してください。
  • 散歩道の草には除草剤や農薬がかかっていることがあります。国の通知では、公園や街路樹などで農薬をまくときは看板などで知らせることになっているので、看板を見かけたら近づけないようにしましょう。
  • シニア犬が急に草をよく食べるようになった、食べたあとに毎回吐く、食欲が落ちているときは、かかりつけの動物病院に相談を。

犬が草を食べるのは珍しいことではなく、元気・食欲があって、安全な場所の草なら、多くはあわてなくて大丈夫とされています。けれど、犬に有毒な植物を食べた疑いがあるとき、除草剤や農薬をまいた場所の草を食べたときは、様子が変わらなくても動物病院に電話して相談してください。食べたあとに何度も吐く、ぐったりする、ふるえる・けいれんするときは、すぐ連絡を。

年をとった犬が急に草をよく食べるようになった、食べると毎回吐く、というときも、一度相談してみると安心です。この記事では、犬が草を食べる理由についてわかっていること、すぐ電話したほうがいいサイン、散歩で気をつけたい除草剤・有毒植物・草むらの注意、家でできることを順に紹介します。診断はしません。迷ったら、かかりつけの動物病院に電話してください。

犬が草を食べるのはなぜ?

犬が草を食べるとは、散歩中や庭で、草や葉を口にしてかんだり飲み込んだりする行動のことです。英語では「plant eating」と呼ばれ、研究の対象にもなっています。

多くの犬に見られる、よくある行動

米国カリフォルニア大学デービス校の獣医学部の研究者は、2008年に、犬が植物を食べる行動について調査した結果を発表しました。インターネットで飼い主に聞いた調査(有効回答1,571件)の結果は次のとおりです。

質問結果
犬が植物を「毎日」または「毎週」食べる68%
植物を食べる前に、よく具合が悪そうに見える8%
植物を食べたあとに、よく吐く22%

出典:Sueda KLC, Hart BL, Cliff KD「Characterisation of plant eating in dogs」(Applied Animal Behaviour Science, 2008)、dvm360「Why do dogs and cats eat grass?」(2026年10月23日に確認)

この研究では、草を食べるのはふつうの犬によく見られる行動で、多くの場合は病気と結びついていない、と考えられています。また、吐くことは「草を食べた結果」であって、「吐くために草を食べている」わけではないのでは、とされています。

考えられている理由

なぜ草を食べるのかは、はっきりとはわかっていません。国内の動物看護の専門家が監修した解説では、次のような理由が挙げられています。

  • ストレスや退屈:さみしさ、運動不足、生活環境の変化など
  • 栄養の補給:食物繊維などが足りないとき
  • 胃腸の不調:消化不良や空腹、車酔いなどで、胃の中のものを吐き出そうとする
  • 好み・遊び:草の味や、かむこと自体を楽しんでいる

どの理由にあてはまるかは、犬によって違います。体調に変わりがなく、危険のない場所なら、無理にやめさせなくてもよいとする解説もあります。

草を食べたあと、すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

次のようなときは、様子を見ずに、すぐ動物病院に電話してください。夜間や休日なら、夜間救急の動物病院に電話して、向かったほうがいいか聞きます。

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • 犬に有毒な植物を食べた、または食べたかもしれない(様子が変わらなくても)
  • 除草剤や農薬をまいた場所の草を食べた
  • 何度も吐く、吐こうとしても何も出ない
  • ぐったりしている、ふらつく、倒れた
  • ふるえる、けいれんする
  • よだれが多い、口を気にして前足でこする
  • 水のような下痢、血の混じったうんち
  • お腹がふくれている、さわると痛がる

次のようなときも、早めに動物病院に相談してください

  • 草を食べたあとに、毎回のように吐く
  • 最近になって、草を食べる回数が急に増えた
  • 食欲が落ちている、元気がない
  • うんちに草がたくさん混じる、出にくそう

国内の監修付きの解説では、有毒な植物を食べた疑いがあるときは、異変がなくても早めに動物病院へ行き、植物を持っていって、いつ・どのくらい食べたかを伝えるように、とされています。また、除草剤を口にした可能性があり、吐く・下痢などの様子があるときは受診するように、としています。

家で無理に吐かせようとするのは避けてください。まず電話で、何を・いつ・どのくらい食べたかを伝えて、指示を聞きましょう。

吐いているときの見方は犬が吐くとき、お腹が鳴るときは犬のお腹がキュルキュル鳴るとき、下痢のときは犬の下痢にまとめています。

散歩中の草で気をつけたいこと:除草剤・農薬

散歩道の草や植え込みには、除草剤や殺虫剤などの農薬がまかれていることがあります。監修付きの解説では、草に除草剤や農薬がついていると、吐く、下痢、けいれん、痛み、かゆみなどを起こすことがあり、量が多いと命にかかわる場合もある、とされています。

公園や街路樹では、看板で知らせることになっている

農林水産省と環境省は、2013年(平成25年)に「住宅地等における農薬使用について」という通知を出しています。この通知では、学校・保育所・病院・公園などの公共施設の植物、街路樹、住宅地の近くの農地(市民農園や家庭菜園を含む)などで農薬を使うときの注意をまとめています。

通知で求められていること(主なもの)内容
前もって知らせる農薬を使う目的、まく日時、農薬の種類、使う人の連絡先を、余裕をもって広く知らせる
立ち入らないようにする立て看板や立入制限の範囲を決めるなどして、まいているときやまいた直後に、ほかの人が入らないようにする
子どもへの配慮近くに学校や通学路があるときは、子どもが農薬を浴びないよう、まく時間帯に最大限配慮する

出典:農林水産省・環境省「住宅地等における農薬使用について」(平成25年4月26日 25消安第175号・環水大土発第1304261号)(2026年10月23日に確認)

この通知はペットについては書かれていませんが、散歩のときに「農薬散布」「除草剤散布」などの看板やお知らせを見かけたら、その場所の草には近づけないようにしましょう。自治体のホームページや、マンション・公園の掲示板で散布の日程を知らせていることもあります。

散歩で気をつけたいこと

  • 看板やお知らせがある場所、草が不自然に枯れている場所には近づけない
  • 畑や家庭菜園のまわり、よその家の植え込みの草は食べさせない
  • リードを短めに持ち、草を食べようとしたら声をかけて離す
  • 散歩から帰ったら、足や口のまわりをふく
  • 自宅の庭で除草剤や殺虫剤を使うときは、製品の表示を確認し、犬を近づけない時間をつくる
散歩で気をつけることを3コマで示した図。農薬散布の看板がある場所や枯れた草には近づけない、リードを短めに持ち声をかけて草から離す、帰ったら足と口のまわりをふく
看板やお知らせのある場所、草が不自然に枯れている場所には近づけないようにしましょう。イラスト:いぬのながいき手帖

自宅の庭で除草剤を使うときは、製品の「使用上の注意」にペットについての記載がないかを確かめ、まいたあと、いつから犬を庭に出してよいかはメーカーに問い合わせてください。

犬に有毒な植物は?

身近な植物の中にも、犬が食べると中毒を起こすものがあります。米国動物虐待防止協会(ASPCA)は、犬に有毒な植物と無毒な植物の一覧を公開しています。日本の庭や公園、散歩道でもよく見かける植物の例を挙げます。

植物(日本でよく見かけるもの)見かける場所の例
ツツジ・サツキ・シャクナゲ公園や道路わきの植え込み、庭
アジサイ庭、公園、道路わき
スズラン庭、花壇
スイセン花壇、庭、土手
キョウチクトウ道路わき、公園
ソテツ庭、公園
アサガオ(特に種)庭、ベランダ、垣根
ジギタリス花壇、庭
イヌサフラン(コルチカム)庭、花壇

出典:ASPCA「Toxic and Non-Toxic Plant List — Dogs」、Honda Dog「犬が草を食べるのはなぜ?」(監修付き)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

これは一部の例です。ここにない植物が安全というわけではありません。監修付きの解説では、春は新芽やわらかい葉に興味を持ちやすく、特に注意が必要とされています。家の中や庭に植物を置くときは、犬に有毒でないかを確かめておくと安心です。

食べてしまったときは、どの植物か伝えられるように、植物そのものか、葉や花の写真を持っていきましょう。名前がわからなくても、写真があれば病院で調べてもらえることがあります。人の食べ物を含め、犬が口にしてはいけないものは犬が食べてはいけないものにまとめています。

草むらで気をつけたいこと:マダニ・草の種

草を食べようとして草むらに顔を入れると、草そのもの以外にも気をつけたいことがあります。

マダニ

千葉県柏市の案内では、森や茂み、河川敷などを歩くと、ペットにマダニがつくことがあるとして、ペット用のダニ駆除剤などで予防すること、散歩のあとは体を確認することをすすめています。マダニを見つけても、体に食い込んでいるときは無理に取らず、動物病院に連れて行くように、としています。マダニは人にうつる病気を運ぶこともあるので、ペットにさわったあとはよく手を洗いましょう。予防薬については、かかりつけの動物病院で相談してください。

草の種(ノギ)

英国の動物病院チャリティ(PDSA)の案内では、草の種が耳、まぶたの裏、足の指の間、わきの下などに入り込むことがあり、取り除かれないと皮膚の下に入り込んでしまうこともある、としています。頭をふる・耳をかく、目をしょぼしょぼさせる、足をしきりになめる、といった様子があれば、動物病院に相談してください。長い草むらを歩いたあとは、足の指の間、わきの下、顔のまわりを確認しておくと安心です。

シニア犬が急に草を食べるようになったときは?

年をとった愛犬が、最近になって急に草をよく食べるようになった、ということもあります。

若い犬より、体調の変化と結びついていることも

米国の大学の研究では、若い犬のほうが草をよく食べ、年をとった犬のほうが、食べる前に具合が悪そうに見えたり、食べたあとに吐いたりすることが多かった、と報告されています。もちろん、年をとった犬が草を食べるからといって病気とは限りません。ただ、次のような様子があるときは、かかりつけの動物病院に相談してみてください。

  • 急に草を食べる回数が増えた
  • 草を食べたあと、毎回のように吐く
  • 食欲が落ちている、体重が減ってきた
  • お腹が鳴る、下痢をするなど、ほかの様子もある

食べたものを飲み込みにくくなっていないか

年をとると、かむ力や飲み込む力が弱くなることがあります。かたい草や長い葉を飲み込みにくそうにしていたら、無理に食べさせないようにしましょう。食べにくそう、むせる、といった様子は、病院に伝えてください。

ご飯の様子も一緒に見る

シニア犬では、フードを食べる量が減ったぶん、草に興味を持つこともあるかもしれません。草を食べる回数と一緒に、ご飯をどのくらい食べているかもメモしておくと、相談しやすくなります。食べないときの工夫は老犬がご飯を食べないときにまとめています。

犬が草を食べるとき、家でできることは?

すぐ病院に電話するサインがなく、病院に相談したうえで様子を見るときは、次のことを心がけてみてください。

家でできること

  • 草を食べた日・場所・量と、そのあとの様子をメモする
  • 散歩道に農薬・除草剤の看板がないか確かめ、ある場所は避ける
  • 有毒な植物がある植え込みや花壇には近づけない
  • リードを短めに持ち、草むらに長く顔を入れさせない
  • 散歩後に、足の指の間・耳・目のまわり・わきの下を確認する
  • マダニなどの予防は、かかりつけの動物病院で相談する
  • 家や庭に置く植物は、犬に有毒でないか確かめる
  • 退屈やストレスが気になるときは、かむおもちゃや散歩コースの工夫で気分転換を
  • 人の薬や市販薬は、自己判断で与えない

監修付きの解説では、ストレスや栄養不足、胃腸の不調が原因で草を食べていると思われる場合も、早めに動物病院で体調を確認してもらうように、とされています。フードの見直しなどを考えるときも、自己判断で変えるより先に、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

夜間・休日に気になったら

夜中や休日に、有毒な植物を食べた疑いがある、何度も吐く、ぐったりしている、といった様子があれば、夜間救急の動物病院に電話してください。探し方と、電話で伝えることは夜間・休日に動物病院を探すにはにまとめています。症状ごとの受診の目安はすぐ病院か確かめるでも確かめられます。

草のにおいをかいだり、少しかじったりするのは、散歩の楽しみのひとつでもあります。安全な場所を選んであげれば、年をとった愛犬との散歩の時間も、きっと穏やかに過ごせます。

よくある質問

犬が草を食べても大丈夫ですか?

草を食べること自体は多くの犬に見られ、米国の大学の調査では、ふつうの行動と考えられています。ただし、除草剤や農薬がかかった草、犬に有毒な植物、マダニのいる草むらには注意が必要です。食べたあとに何度も吐く、元気がないといった様子があれば、動物病院に相談してください。

犬は、吐くために草を食べるのですか?

そう言われることもありますが、米国の大学の調査では、草を食べたあとによく吐くと答えた飼い主は約2割で、食べる前に具合が悪そうだったという犬も1割に満たなかったと報告されています。吐くことは草を食べた結果で、吐くために食べているわけではないのでは、と研究者は考えています。

老犬が急に草をたくさん食べるようになりました。

米国の大学の調査では、若い犬のほうが草をよく食べ、年をとった犬のほうが食べる前に具合が悪そうだったり、食べたあとに吐いたりすることが多かったと報告されています。年をとってから急に食べるようになった、食べると吐く、食欲が落ちているときは、かかりつけの動物病院に相談してください。

有毒な植物を食べたかもしれないとき、吐かせたほうがいいですか?

家で無理に吐かせるのは避けてください。すぐ動物病院に電話して、何を・いつ・どのくらい食べたかを伝え、指示を聞きましょう。食べた植物(または写真)を持っていくと伝わりやすくなります。

草を食べるのをやめさせたほうがいいですか?

安全な場所の草で、体調に変わりがなければ、無理にやめさせなくてもよいとする監修付きの解説があります。一方で、除草剤や農薬、有毒な植物、寄生虫の心配がある場所では、リードを短く持つなどして近づけないようにしましょう。

草を食べたあと、病院に電話する前のメモ

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • 何を食べたか(植物の名前、わからなければ写真)
  • いつ食べたか(時刻)
  • どのくらい食べたか(ひと口/たくさん)
  • どこで食べたか(公園・植え込み・畑の近く・庭 など)
  • 除草剤・農薬の看板や、まいたばかりの様子があったか
  • 吐いたか(回数・吐いたものに草が混じるか)
  • 下痢、よだれ、ふるえ、ふらつきがあるか
  • 食欲・元気・水を飲む量
  • 草を食べる回数が最近増えたか
  • 散歩後に耳・目・足の指の間を気にしていないか
  • 食べた植物そのもの、または写真

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-kusa-taberu/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。
  •  出典と数字を確認し、確認できなかった点の書き方を直しました。

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この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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