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01 症状と受診

犬のてんかんとは?症状と前兆、治療の流れ、家での過ごし方

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬のてんかんとは、脳の電気的な働きが乱れることで起こる発作を、くり返す病気のことです。24時間以上あけて2回以上、はっきりしたきっかけのない発作が起きた場合に、てんかんと考えられるとされています。
  • 発作が5分以上続く、発作が何度も続けて起こるときは、すぐ動物病院に電話してください。1回でおさまって元気に見えても、病院に相談しましょう。
  • てんかんはふつう若いうちに始まることが多く、6歳を過ぎて初めて発作が起きた場合は、ほかの病気が隠れていないか詳しく調べることがすすめられています。
  • 発作の日時・長さ・様子をメモし、できれば動画を撮っておくと、病院で伝えやすくなります。

犬のてんかんは、脳の働きが一時的に乱れることで発作をくり返す病気です。発作が5分以上続く、発作が何度も続けて起こるときは、すぐ動物病院に電話してください。発作が1回だけで、そのあと元気に見えても、必ず病院に相談しましょう。特に、年をとってから初めて発作が起きた場合は、てんかん以外の病気が隠れていないか調べることがすすめられています。

発作を目の前にすると、とても怖く、動揺してしまうと思います。この記事では、てんかんの症状と前兆、病院で行われること、シニア犬で気をつけたいこと、費用の例、家での過ごし方を紹介します。発作が起きたその場での対応は、老犬のけいれんの記事に詳しくまとめています。診断はしません。気になることは、かかりつけの獣医師に相談してください。

犬のてんかんとは?どんな病気?

犬のてんかんとは、脳の電気的な働きが乱れることで起こる発作を、くり返す病気のことです。米国の大学動物病院(ミズーリ大学)の飼い主向け資料では、24時間以上あけて2回以上、はっきりしたきっかけのない発作が起きた場合をてんかんとする、と説明されています。

国内の獣医師が監修した解説では、てんかんは、脳の構造は正常なのに働きだけに異常が起こる病気で、「突然脳に嵐が起こる」と表現されることもある、と紹介されています。

「てんかん」と「発作」「けいれん」は同じ?

発作(けいれん)は、てんかん以外の原因でも起こります。英国の動物病院チャリティ(PDSA)の資料では、てんかんは6か月〜6歳ごろの犬でよく見られる発作の原因で、ボーダー・コリーなど一部の犬種に多いとされる一方、脳の腫瘍、重い肝臓の病気、頭のけが、中毒(カフェイン、チョコレートなど)、低血糖なども発作の原因になると紹介されています。

発作の主な原因として挙げられているもの解説で紹介されていること
てんかん(原因がはっきりしないもの)6か月〜6歳ごろに始まることが多い
脳の病気(腫瘍・炎症など)脳の腫瘍は6歳を超えた犬でずっと多い
脳以外の病気重い肝臓の病気、低血糖など
中毒・けがカフェイン、チョコレート、ナメクジ駆除剤、頭のけがなど

出典:PDSA「Seizures in dogs」、International Veterinary Epilepsy Task Force「diagnostic approach to epilepsy in dogs」(2015)をもとに編集部作成(2026年10月23日に確認)

犬のてんかんの症状は?

発作の見え方は犬によってさまざまで、数秒で終わるものから、何分も続くものまであります。PDSAの資料では、発作中の様子として次のようなものが挙げられています。

  • 体のどこかの筋肉がぴくぴくする
  • ぼんやりして、呼んでも反応しない
  • 手足をばたつかせる、こぐように動かす
  • 倒れる、意識がなくなる
  • 体がこわばる、つっぱる
  • 目が上を向く、左右にゆれる
  • よだれが出る、口から泡を吹く
  • おしっこやうんちがもれる

国内の獣医師が監修した解説では、体の一部だけがぴくぴくする、口をくちゃくちゃ動かす発作(焦点性発作)と、全身がつっぱる・ガクガク動く発作(全般発作)があり、あくびをくり返すような小さな発作もあると紹介されています。

老犬のてんかんに前兆はある?発作の前と後に見られること

「老犬 てんかん 前兆」と調べる方も多いように、発作の前ぶれは気になるところです。発作の前に、落ち着きがなくなる、うろうろする、飼い主にくっつく、隠れる、といったいつもと違う様子が見られる犬もいると言われています。前兆がはっきりしない犬もいます。

発作のあとは、しばらくぼんやりする、ふらつく、目が見えにくそう、水をたくさん飲むなどの様子が見られることがあります。

前兆や発作後の様子は、病院で伝えるとてんかんかどうかを考える手がかりになります。気づいたことは、時刻と一緒にメモしておきましょう。

発作の前(落ち着かない・うろうろする)、発作のとき(時間を計る・動画を撮る)、発作のあと(ぼんやり・ふらつく・水をたくさん飲む)を3つに分け、時刻と一緒にメモすることを示した図
前兆や発作のあとの様子は、てんかんかどうかを考える手がかりになります。動画は、愛犬の安全を確保してから撮ってください。イラスト:いぬのながいき手帖

すぐ病院に電話したほうがいいサインは?

こんなときは、すぐ動物病院に電話してください

  • 発作が5分以上続いている
  • 発作がおさまらないうちに、次の発作が起きる
  • 24時間のうちに何度も発作が起きる
  • 発作のあと、いつまでも意識が戻らない、立てない
  • 初めて発作が起きた(特にシニア犬)
  • 中毒や誤食、頭のけがの心当たりがある
  • 薬を飲んでいるのに発作が起きた、回数が増えた
  • 呼吸が苦しそう、歯ぐきや舌の色がおかしい

PDSAの資料では、発作が5分より長く続くとき、続けて発作が起きるときはすぐ獣医師に連絡するように、また、そのあと元気に見えても発作のあとは必ず獣医師に相談するように、としています。ミズーリ大学の資料でも、5分を超える発作や、短い間隔で続けて起こる発作は、動物病院での対応が必要とされています。夜間や休日なら、夜間・休日に動物病院を探すにはを参考に、救急の動物病院に電話してください。

発作が起きたその場で何をすればいいか(安全の確保、時間の計り方、してはいけないこと)は、老犬のけいれんにまとめています。

病院ではどんなことをする?検査と治療の流れ

検査や治療の内容は、犬の年齢や発作の様子、病院によって違います。ここでは一般的な流れだけを紹介します。

  1. 問診:発作の日時・長さ・様子、前後の様子、回数、誤食や持病の有無を聞かれる。動画があると伝わりやすい
  2. 体と神経の診察:発作のない時の体や神経の状態を診る
  3. 血液検査・尿検査:脳以外の病気(肝臓の病気、低血糖など)がないかを調べる
  4. 必要に応じて詳しい検査:脳の病気がないか、MRIや脳脊髄液の検査を検討することがある
  5. 治療の相談:発作の回数や続き方をふまえて、薬による治療を始めるか、経過をみるかを相談する

てんかんの診断について国際的な獣医師のグループ(IVETF)がまとめた提言では、発作が6か月未満または6歳を超えてから始まった犬などでは、MRIなどの詳しい検査がすすめられています。MRIなどは全身麻酔が必要になることが多く、できる病院が限られるため、紹介先の病院で受けることもあります。

治療の考え方

ミズーリ大学の資料では、てんかんの治療の目的は、副作用をできるだけ抑えながら、発作をよりよくコントロールすることとされ、発作の回数や副作用、薬の血中濃度を見ながら量を調整していくと説明されています。また、発作が完全になくなる犬は多くなく、治療は長く続くことが多いとされています。

薬は、決められた時間に、決められた量を続けることが大切です。自己判断でやめたり減らしたりせず、気になることはかかりつけの獣医師に相談してください。

シニア犬のてんかんで気をつけたいこと

年をとってから初めて発作が起きたら

てんかんは若いうちに始まることが多いとされています。そのため、年をとってから初めて発作が起きたときは、脳の腫瘍や、肝臓・腎臓など脳以外の病気、低血糖などがきっかけになっていないかを調べることがすすめられています。「てんかんだろう」と決めつけず、必ず病院で相談してください。

発作と見分けにくいもの

年をとった犬では、ふるえ、ふらつき、急に倒れるといった、発作と似て見える変化が起こることもあります。どれにあたるかを飼い主が見分けるのはむずかしいため、動画を撮って病院で見てもらうのがいちばんです。ふるえについては老犬がふるえるとき、夜中の行動の変化は犬の認知症も参考にしてください。

犬のてんかんと寿命。これからのことが気になるとき

「犬 てんかん 寿命」「老犬 てんかん 寿命」と調べて、不安になっている方も多いと思います。てんかんと言われてからの時間は、発作の原因、回数や続き方、治療への反応、ほかの病気などによって一頭一頭大きく違います。このページでは、愛犬に当てはまらない数字で不安にさせないよう、期間の数字は載せていません。

これからのことが気になるときは、次のようなことを、かかりつけの獣医師に聞いてみてください。

  • 今の発作の回数や続き方は、どう考えればいいか
  • これから、どんな変化が起こることが考えられるか
  • どんな発作のときに、すぐ連絡すればいいか
  • 家族として、今できることは何か

犬のてんかんの治療費は?

費用は、検査の内容(特にMRIなどの詳しい検査をするか)、薬の種類、通院の回数、病院によって大きく変わります。全国でそろった公的な統計は見つかっていません。参考として、ペット保険会社が提供した治療費の例を紹介します。

項目金額
診察800円
半日入院2,500円
検査11,000円
全身麻酔15,000円
MRI78,000円
点滴3,000円
お薬1,600円
合計111,900円

出典:価格.com保険「犬のてんかん」(獣医師 三宅亜希 監修)に掲載の治療費例(第一アイペット損害保険の提供。ダックスフンド5歳、入院1日)(2026年10月23日に確認)。実際の支払い例や平均を示すものではありません。

続けて治療するときの月々の費用(薬代と定期的な血液検査)について、出典のはっきりした公表例は見つかりませんでした。治療を始めるときに、病院で見込みを聞いておきましょう。

これは検査を受けた日の1つの例です。治療が長く続く場合は、薬代や定期的な検査の費用もかかります。治療を始める前に「1か月あたり」「検査1回あたり」の目安を病院で聞いておくと、家計の計画が立てやすくなります。保険についてはシニア犬のペット保険にまとめています。

てんかんの犬との家での過ごし方

家でできること

  • 発作の日時・長さ・前後の様子を「発作日記」に記録する
  • 発作が起きたら、できれば動画を撮っておく(安全を確保してから)
  • 処方された薬は、決められた時間・量を守る。飲み忘れたときの対応は事前に病院に聞いておく
  • 薬を自己判断でやめたり減らしたりしない
  • 階段や段差にゲートをつけ、発作のときに落ちないようにする
  • 寝床のまわりに、ぶつかると危ない家具や角を置かない
  • 発作が起きたときの病院の連絡先(夜間救急も)を、家族みんながわかる場所に貼っておく
  • 留守番中の様子が心配なら、見守りカメラを使う

PDSAの資料では、発作がいつ起き、どのくらい続き、何が起きたかを書きとめる「発作日記」をつけることがすすめられています。記録があると、薬の量を調整するときの大切な手がかりになります。記事の最後に、印刷して使える記録メモを用意しています。

てんかんの犬との暮らしは、いつ発作が起きるかわからない緊張が続き、家族も疲れやすくなります。発作のときの役割(時間を計る人、動画を撮る人、病院に電話する人)を家族で決めておくと、いざというときに慌てにくくなります。疲れを感じたら、老犬の介護に疲れたときも読んでみてください。

病院で聞くこと

てんかんと言われたら、次のことを確かめておくと安心です。

  1. 今の状態:てんかんと考えられるか、ほかの病気を調べる必要があるか
  2. 薬のこと:飲ませ方、飲み忘れたときの対応、副作用で気をつける様子
  3. すぐ電話してほしい発作:何分続いたら、何回起きたら連絡すればいいか
  4. 次の検査:いつ、何を調べるか(薬の血中濃度など)
  5. 費用の見込み:1か月あたりの薬代と、検査の費用

発作のことで急いだほうがいいか迷ったら、すぐ病院か確かめるも参考にしてください。

よくある質問

犬のてんかんは、寿命に影響しますか?

てんかんの原因、発作の回数や続き方、治療への反応などによって一頭一頭違うため、このページでは期間の数字は載せていません。気になるときは、かかりつけの獣医師に「今の発作の状態で、これから気をつけることは何か」を聞いてみてください。

老犬のてんかんに前兆はありますか?

発作の前に、落ち着きがなくなる、飼い主にくっつく、隠れるなど、いつもと違う様子が見られる犬もいると言われています。ただ、前兆がはっきりしない犬もいます。前兆らしい様子に気づいたら、メモして病院に伝えてください。

シニア犬に初めて発作が起きました。てんかんですか?

年をとってから初めて起きた発作は、てんかん以外の原因(脳や肝臓の病気、低血糖など)のこともあるとされています。見た目だけでは区別できないため、必ず動物病院で相談してください。

てんかんの薬は、一生飲み続けるのですか?

てんかんの治療は長く続くことが多いとされていますが、どのくらい続けるかは発作の様子や検査結果で変わります。自己判断で薬をやめたり減らしたりせず、かかりつけの獣医師に相談してください。

発作が起きたとき、どうすればいいですか?

まずは落ち着いて、周りの危ないものをどけ、口に手を入れないようにして、発作の長さを計ります。発作中の対応は、老犬のけいれんの記事に詳しくまとめています。5分以上続く、続けて起こるときは、すぐ動物病院に電話してください。

発作の記録メモ(病院に見せる用)

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • 発作が起きた日時
  • 発作の長さ(何分何秒)
  • 発作の前の様子(落ち着かない・くっつく・隠れる など)
  • 発作中の様子(全身か体の一部か、手足をばたつかせる、よだれ、おしっこ・うんちが出た など)
  • 発作のあとの様子と、元に戻るまでの時間
  • 24時間で何回起きたか
  • 発作の動画(撮れたときだけ)
  • 発作の前に食べた物、誤食の心当たり
  • 飲んでいる薬と、飲み忘れがなかったか

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-tenkan/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。
  •  出典と数字を確認し、確認できなかった点の書き方を直しました。

内容の誤りや古い情報にお気づきの方は、お問い合わせからお知らせください。

この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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