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02 家でのケア

犬が長生きするために、シニア期に気をつけたいこと

この記事の監修:獣医師 氏名非公開
体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

この記事のポイント

  • 犬の平均寿命は14.82歳です(一般社団法人ペットフード協会、2025年)。体の小さい犬ほど長い傾向があります。
  • 寿命を延ばす方法を断定することはできませんが、太りすぎを防ぐ、変化に早く気づく、定期的に動物病院で診てもらうことは、シニア期の土台になります。
  • 環境省のガイドラインは、高齢期をおおむね7〜8歳以降とし、シニア用フードへは1〜2週間かけて少しずつ切り替えるよう勧めています。
  • 「年のせい」と思っていた変化が、相談で楽になることもあります。食べる量・歩き方・寝ている時間を記録しておくと、病院で話しやすくなります。

犬に長生きしてもらうために、シニア期にできることの土台は、太りすぎを防いで体重を保つこと、ふだんの様子を記録して変化に早く気づくこと、定期的に動物病院で診てもらうこと、年齢に合わせて食事を少しずつ切り替えることの4つです。犬の平均寿命は14.82歳(ペットフード協会、2025年)で、体の小さい犬ほど長い傾向があります。寿命を延ばす方法を断定することはできませんが、毎日の小さな積み重ねで、元気に過ごせる時間を大切にすることはできます。

体重を保つ、ふだんの様子を記録する、定期的に病院で診てもらう、食事を少しずつ切り替える、のシニア期の4つの土台を並べた図
シニア期にできることの土台は、この4つです。イラスト:いぬのながいき手帖

犬の平均寿命は何歳?

平均寿命とは、ここでは、調査で集めた犬の寿命を平均した年齢のことです。国内でよく使われる調査には、ペットフード協会のアンケート調査と、ペット保険会社アニコムの保険契約のデータをもとにした集計があります。

調査犬全体小さい犬大きい犬
ペットフード協会(2025年)14.82歳超小型犬 15.28歳/小型犬 14.59歳中・大型犬 13.63歳
アニコム 家庭どうぶつ白書2025(2023年度)全体の数値は本文に明記なし混血犬 10kg未満 14.8歳混血犬 20kg以上30kg未満 13.2歳

出典:一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」2025年、アニコム「家庭どうぶつ白書2025」第2部第4章(2026年10月23日に確認)

アニコムの白書は、保険に入っていた犬の年齢ごとの頭数と、亡くなった頭数から「生命表」を作り、0歳の時点での平均余命を平均寿命としています。調べ方が違うので、2つの調査の数字は単純には比べられません。

大きさ別・年ごとの数字は、犬の平均寿命は何歳?にくわしくまとめています。平均寿命は全体の平均で、目の前の犬があと何年生きるかを示すものではありません。

長生きする犬の特徴は?

アニコムの白書では、犬種による違いも出ています。平均寿命が長かったのはトイ・プードル(15.3歳)、ビション・フリーゼ(15.0歳)、カニーンヘン・ダックスフンド(15.0歳)など。大型犬の犬種は短い傾向でした。混血犬でも、体重が軽いほど平均寿命が長くなっています。

体の大きさや犬種は変えられません。暮らしの中でできることとしてよく知られているのが、体重の管理です。

米国でラブラドール・レトリーバー48頭を対象に行われた研究では、きょうだいどうしを2つに分け、片方の食事量をもう片方より25%少なくして一生育てました。その結果、食事を控えめにしたグループの寿命の中央値は約13年、もう一方は約11.2年で、約1.8年の差がありました。

出典:University of Pennsylvania「Study finds dogs fed reduced-calorie diet live nearly two years longer」(Kealy RD, et al. JAVMA 2002 の紹介)(2026年10月23日に確認)

ただし、この研究は一つの犬種・48頭で行われ、ペットフード会社が資金を出して実施したものです。すべての犬にあてはまるとはいえません。「食事を減らせば長生きする」という意味ではなく、太りすぎない体型を保つことが大切、と受けとめてください。食事の量を変えるときは、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

シニア期はいつから?何が変わる?

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、高齢期をおおむね7〜8歳以降としています。あわせて、老化の進み方には個体差があることも書かれています。シニア用フードへの切り替えの目安は、大型犬で6〜7歳、小型犬で8〜10歳ごろです。

年をとると、次のような変化が少しずつ出てきます。

  • 散歩の途中で座り込む、段差をためらう
  • 寝ている時間が長くなる、夜中に起きる
  • 食べる量や、好みが変わる
  • 呼んでも気づきにくくなる

犬の年齢を人の年齢に換算した目安は犬の年齢換算で、シニア期の始まりの考え方はシニア犬は何歳から?で確かめられます。

米国動物病院協会(AAHA)のシニアケアの指針は、「老いは病気ではない」と述べています。年をとること自体を心配しすぎず、変化に早く気づいて、できることを一つずつ足していきましょう。

犬が長生きするために、毎日できることは?

1. 体重と体型を毎月見る

環境省のガイドラインは、やせすぎも太りすぎも健康によくないとしています。体型は、あばら骨にさわれるか、上から見て腰のくびれがあるかなどで5段階に分けて見る方法(ボディコンディションスコア)が紹介されています。

体重を減らすときは、急に減らすのではなく、1週間に体重の1〜3%ほどをめやすに、少しずつ減らすよう書かれています。本格的なダイエットは、獣医師の指導のもとで行うことが勧められています。

体重を保つために、家でできること

  • 毎月同じ日に体重をはかり、記録する(抱っこして人の体重計に乗り、人だけの体重を引く方法もあります)
  • ご飯は「目分量」ではなく、はかりや計量カップではかる
  • おやつをあげた日は、そのぶんご飯を減らす
  • 家族それぞれがおやつをあげていないか、話し合っておく

2. 食事は年齢に合わせて、ゆっくり切り替える

環境省のガイドラインは、シニア用フードへ切り替えるときは、今までのフードに少しずつ混ぜて、1〜2週間かけて移すよう勧めています。急に変えると、嘔吐や下痢を起こすことがあるためです。持病があって療法食をすすめられている場合は、かかりつけの獣医師の指導のもとで与えます。

食が細くなってきたときの工夫は老犬がご飯を食べないときに、与えてはいけないものは犬が食べてはいけないもの一覧にまとめています。

3. 水をいつでも飲めるようにする

同じガイドラインは、いつでも新鮮な水を飲めるようにしておくことが大切だとしています。年をとって動くのがおっくうになった犬には、寝床の近くにも水を置くと飲みやすくなります。飲む量が急に増えた・減ったときは、病院に相談するときの手がかりになるので、メモしておきましょう。

4. 体に合わせて、体を動かす

環境省のガイドラインは、肥満を防ぐために適度な運動が大切だとしています。シニア期は、長い散歩を1回より、短い散歩を何回かに分けるなど、犬の様子を見ながら調整します。

歩くのがつらそうになってきたら、カートやハーネスなどの介護用品も選べます。老犬の介護用品を参考にしてください。

5. 歯と口のケア

環境省のガイドラインは、定期的に獣医師の診察を受け、歯垢や歯石をとってもらうことが重要だとしています。家での歯みがきのやり方は、かかりつけの病院で教えてもらうと安心です。

6. 暮らす場所を、年齢に合わせて見直す

足腰が弱くなってくると、家の中のちょっとした段差やすべりやすい床が、負担やけがのもとになることがあります。体に合わせて住まいを少しずつ整えていきましょう。

住まいで見直せること

  • フローリングに、すべりにくいマットやカーペットを敷く
  • ソファやベッドへの上り下りに、スロープやステップを置く
  • 寝床は、家族の気配がわかり、暑すぎず寒すぎない場所にする
  • 階段の上り下りが心配なときは、柵で区切る
  • 夜中に歩き回ることがあれば、家具の角をやわらかいもので覆う

7. 誤食を防ぐ

年をとると、目や鼻の感覚が変わり、落ちている薬や食べ物を口にしてしまうこともあります。家族の薬やサプリメント、キシリトール入りのガムなどは、犬の届かない場所にしまいましょう。食べてしまったときの連絡のしかたは、犬が食べてはいけないもの一覧にまとめています。

動物病院には、どのくらい通えばいい?

環境省のガイドラインは、体調の変化に気づいたら早めに獣医師に診てもらうと、悪くなるのを防げるとしています。かかりつけの病院の電話番号を、メモしておくことも勧められています。

シニア期の健康診断の間隔や内容は、犬の年齢や持病によって変わります。次の健康診断のときに、かかりつけの病院で「これからどのくらいの間隔で来ればいいか」を聞いてみてください。

こんなときは、健康診断を待たずに動物病院に電話してください

  • 食欲がない日が続く
  • 水を飲む量やおしっこの量が急に増えた
  • 数日続く嘔吐、せき
  • 急に立てない・歩けない

通院や検査にかかるお金が心配な場合は、シニア犬のペット保険もあわせて読んでみてください。

「年のせい」と決めつけないために

年をとった犬の変化は、ゆっくり進むため、毎日一緒にいる家族ほど気づきにくいものです。「年のせいだから仕方ない」と思っていたことが、病院に相談して楽になることもあります。

変化に気づくいちばんの方法は、記録をつけることです。体重、ご飯と水の量、散歩の距離、寝ている時間を、カレンダーやスマホのメモに書いておくだけで十分です。病院では「いつから・どのくらい」を聞かれることが多いので、記録があると話しやすくなります。

この記事の最後にある「毎月見ておきたいことリスト」は、印刷して冷蔵庫に貼っておけます。いまの介護の段階は介護ステージチェックで確かめられます。急に様子が変わったときは、すぐ病院か確かめるも使ってみてください。

長生きしてほしい気持ちと、向き合い方

「少しでも長く一緒にいたい」と思うのは、自然な気持ちです。けれども、どれだけ気をつけていても、寿命や病気は思いどおりにならないことがあります。何かが起きても、それまでの世話が足りなかったということではありません。

長さだけでなく、毎日を穏やかに、その犬らしく過ごせているかにも目を向けてみてください。好きな場所で日なたぼっこをする、短くても外のにおいをかぐ。そんな時間も、シニア期の大切な過ごし方です。

介護が必要になってきたときは、ひとりで抱え込まず、家族や預け先の力も借りましょう。介護する人の疲れについては老犬の介護に疲れたときに、預け先は老犬ホームを探すにまとめています。

よくある質問

犬の平均寿命は何歳ですか?

一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査では、2025年の犬の平均寿命は14.82歳でした。大きさ別では、超小型犬15.28歳、小型犬14.59歳、中・大型犬13.63歳です。

長生きする犬に、共通することはありますか?

体の大きさや犬種で寿命の傾向は違います。暮らし方では、ラブラドール・レトリーバーを対象にした研究で、食事の量を控えめにして体型を保った犬のほうが、長く生きる傾向がありました。ただし一つの研究で、すべての犬にあてはまるとはいえません。

シニア犬になったら、健康診断はどのくらいの間隔で受ければいいですか?

犬の年齢や持病によって変わるので、かかりつけの動物病院で相談してください。

長生きのためのサプリメントは、飲ませたほうがいいですか?

この記事では、サプリメントの効果は扱っていません。環境省のガイドラインは、サプリメントを与えるときは、必要な成分を獣医師に相談してからにするよう勧めています。

シニア期に入ったら、毎月見ておきたいことリスト

印刷して、終わったものに印をつけて使えます。

  • 体重(毎月同じ日に。前の月と比べる)
  • 体型(あばら骨にさわれるか、上から見て腰のくびれがあるか)
  • ご飯と水の量(いつもと比べて増えた・減った)
  • 散歩の距離と歩き方(段差をためらう、途中で座り込む など)
  • 寝ている時間と、夜中に起きる回数
  • おしっこ・うんちの回数と様子
  • 次の健康診断の予定と、病院で聞きたいこと

いぬのながいき手帖 https://inu-nagaiki.com/articles/inu-nagaiki/

参考にした情報

制度や料金は変わることがあります。最新の情報は、各機関・施設の公式サイトや窓口でご確認ください。

この記事の更新履歴

  •  獣医師の監修を経て公開しました。
  •  ペットフード協会の2025年調査の数字に更新しました。
  •  出典と数字を確認し、確認できなかった点の書き方を直しました。

次に内容を見直す予定:2027年4月ごろ

内容の誤りや古い情報にお気づきの方は、お問い合わせからお知らせください。

この記事を書いた人

いぬのながいき手帖 編集部

老犬の介護・預け先・お別れについて、環境省・厚生労働省・自治体などの公的な情報と、獣医師の監修をもとに記事を作成しています。受診の目安など体に関わる内容は、獣医師の確認を経たものだけを公開します。

この記事の監修者

氏名非公開(獣医師)

体に関わる記事(受診の目安・家でのケアなど)は、獣医師が内容を確認しています。氏名は公開していません。

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